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メグさん(松元恵さん)が語る(4)20歳の誓い「最後は海女!」

将来は海女になるんだって話してたっけ? もう着々と計画が進んでるのよ。実は倒れる前、3年ぐらい前に、南伊豆のほうに家も借りてて、住民票はもう移してあるの。2015年に下田で素潜りの大会を開いたこともあって、ありがたいことにご縁ができたからね。徐々に向こうにシフトしようと思いつつ、今はまだ行ったり来たりだけど。ちょこちょこと通って、少しずつ地域に溶け込もうとしているところ。

海女になるのって結構タイヘンなの。漁業権が必要なんだけど、「ください」って言って「はい、どうぞ」というわけにはいかなくて。土地によってだいぶ違うんだけど、あたしが家を借りてる集落では、ある程度そこに住んでないと取れない。よそ者がいきなり取れない仕組みなの。お金を出せばパッと買える地域もあるんだけど。

住民票を移したころ、地域のみなさんに挨拶する機会があって、いろんな人が集まってきたんだけど、よそ者には慎重な土地柄だから、「歓迎派」ばかりじゃなかった。あたしの紹介文には、「世界大会に出て6分も息止めて70メートルくらい潜る」とか書いてあったから、海女さんなんかはね、「耳抜きってこうやるの?」とか、「深く潜るにはどんな呼吸法がいいの?」とか聞きに来たりして、興味持ってたくれたみたい。でも「反対派」からすると、「あんな人がうちの部落に来て海女やったら、オレたちの仕事も全部持っていかれるぞ!」なんて見えてたみたいね。

そんなこんなもありつつ、去年はリハビリ中でそれどころじゃなかったから大会はお休みにしたけど、早くも「今年は復活ですよね」とかって言ってくれる関係者もいることだし、また下田に通うことになりそう。継続することが大事だからね。

あたしもこの12月で60代になるわけよ。そう、還暦! あたしがやらなきゃいけない仕事もたくさんあるから、あと数年はBIG BLUEを続けようと思ってるけど。まだ役割があるから生きて戻ってこれたんだと思うし。あと5年続けたとして65歳で30周年。そこまでやればいいかな。

あとは南伊豆で海女よ! だって20歳のときからずっと思ってたの。60〜70代になったら最後は海女になろうって。顔が生き生きしてるって? アハハ! 

*以上4回をもって、メグさん(松元恵さん)のシリーズは終了です。お読みいただき、ありがとうございました!

(聞き書き・鈴木慈子、構成/編集・小島和子)