17904224_698958873622790_8156746381918102969_nのコピー4

メグさん(松元恵さん)が語る(2)ルーツは鹿児島の海

あたしの両親は2人とも鹿児島出身。松元の「元」がつく名前のルーツはほとんど鹿児島なの。父は鹿児島市内の出身だったけど、母の生まれは県南の吹上浜ってところ。

あたしが生まれるころ、両親は鹿児島から出てきて三鷹に住み込みで働いてるときだったんだけど、そこには赤ん坊は住めないってことで、母がいったん鹿児島に帰ってあたしを産んで、あたしは2歳半ぐらいまで鹿児島のおばあちゃんのところにいたの。自分では覚えてないけどね。

その後はすぐ東京に戻ってきたんだけど、小学校の夏休みに親に連れられて1回か2回、鹿児島に行ったのかな。母の実家から吹上浜まで歩いて1キロぐらいなんだけど、ずっと砂丘みたいな松林みたいな景色で、地元の子たちと一緒にみーんなで松林を抜けてね。緩い斜面を上って上って下りたところに、海がばーっ!って広がってるわけ。向こうもあっちも全部砂浜なの! ほかには何も見えないくらい。

それでもう服なんか脱いで、わぁ~!って海に入って遊んでるでしょ。波がざーって引くと、貝がとととー…って歩いてたり。あと、ウミガメが上がってきて砂浜に卵を産むのね。生まれたての子ガメを集めて持って帰って、母の実家の庭先でクルクル回してホイッ!ってやると、ホントに海の方向くかなぁ、って実験したりとか。向いたかどうかは忘れちゃったけど! アハハ! そうやって海で遊んだのがあたしのルーツだよね。

吹上浜よりもっと南の先端に坊津(ぼうのつ)ってところがあるんだけど、中学生のとき、ひと夏、そこで過ごしたことがあった。ちょっとやんちゃしてた時期で、坊津の叔父さんに預けられたってわけ。

おじさんは民宿もやってる漁師だったの。一緒に小舟に乗って海に出て、たぶんゴーグルだけ付けたのかな、忘れちゃったけど、わーって潜って、「しったか」って三角のちっちゃな貝を取って、湯がいて食べて…。あの辺がもう、本格的に海を好きになったルーツだね。

(つづく)

*第3回は、メグさんの内に秘めた「野性」に迫ります。お楽しみに!

(聞き書き・鈴木慈子、構成/編集・小島和子)