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たかちゃん(岩谷孝子さん)が語る(1)「陸の哺乳類」としてどこを目指すのか?

恒例「聞き書きインタビュー」シリーズ第4弾。今回はたかちゃん(岩谷孝子さん)の登場です。これまで、マーロン、ヒゲさん、どんぐりのお三方がそろって話題にしていたように、Be-Nature School立ち上げの立役者といえばたかちゃん。ですが、開講してからのかかわりは案外短かったこともあり、ちょっぴりミステリアスな存在かも!? その魅力的な人柄と、信州高遠での精力的な取り組みをご紹介します!

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Be-Nature Schoolが20年ってすごいよね! マーロンと初めて会ったときのこと覚えてる。私は当時、クリスタルの原石やトルコ石を売る仕事をしていて、マーロンはいわゆる「取引先の人」。サラリーマンだったんだけど、ちょっとアンテナが立っててさ、ググッとくるというか、

「あ、仲良くなれるな」っていう感じは最初からあったんだよね。それで実際、1991年に立ち上げたアイサーチ・ジャパンの運営や「国際イルカ・クジラ会議」を一緒にやるようになったの。

アイサーチは本当にインパクトがあったのよ! イルカ・クジラ会議で東京のいいところを全部いただいたなって思う。やっぱりネットワークだよね。自然関係の人とたくさん知り合えたから。メグ(松元恵さん)にしても民ちゃん(中野民夫さん)にしても、アイサーチがなければ出会っていないと思う。

その頃って、みんないいことやってるのに、それぞれ個別に活動してたのね。でも、自然とのつながりを実感するのって、単発プログラムでは足りないなぁ、こういうネットワークでできたらなって思ってた。ちょうど訪ねてきたヒゲさんとメグに話したら「すごくいいね!」って言ってくれて。それでBe-Nature Schoolが始まった感じ。

イルカ・クジラ会議を通してひとつ気づいたのは、自分の立ち位置が「陸の哺乳類」になったこと。イルカやクジラは海の哺乳類でしょう? 地球の7割を占める海の哺乳類に対して、私たちは3割の陸の哺乳類なの。イルカとの出会いの中でそこに気づいて、「陸の哺乳類として、どっちに向かって進化していくの?」って思った。

イルカやクジラたちにも陸の哺乳類の時代があって、それがまた海に帰って、環境に合わせて進化していったわけじゃない? ザトウクジラの雄みたいにコミュニケーション能力を発達させて、仲間同志とも調和してね。そういう調和の方向に行っている。

かたや人類はどう? その昔、2本足で立ったところから、手を使い、火を起こすようになって、自分たちを守るために環境に手を加えてきたよね。もっと速く、もっと便利に!という方向で。「この先もまだそこを目指すのかな?」っていう疑問が生まれてきた。

アイサーチは元々オーストラリアの団体なんだけど、あちらでの会議には、必ずアボリジニの長老たちが来るのね。ネイティブの人たちは、すごく大切なことを決めるときに、7世代先の未来を考える。そこまで先を見据えた長老会議ができる長老がいるわけ。そういう中で暮らしているから、いざ長老になったときには真理を見据える術が身についているってことよね。でも、日本にはそういう暮らしがもうない。成熟した大人になるための経験が積めないわけ。

なんか、いま大人がゆとりを失ってると思うの。真実なるものという自然っていうか、真理っていうのかな。そういうものが見えない状態が連続する毎日の中にいるわけでしょ。大人がそんな状態だから、子供だってゆとりが持てないの。シュタイナーは、人は28歳になれば成熟して、本当に物事が見える大人になれるって言ってるけど、現実にはなかなかそうはならない。だから、そういう経験の入り口という意味で、Be-Nature Schoolはこれからもすごく必要だと思うよ。

(つづく)

*第2回は、信州は高遠での暮らしぶりをたっぷりお届けします! お楽しみに!

(聞き書き・鈴木慈子、構成/編集・小島和子)