J1 第21節 ヴィッセル神戸 vs G大阪 レビュー

さて8月に入り梅雨も明けいよいよ夏本番というところですが、みなさまどうお過ごしでしょうか。どうもかわです。

今回は神戸vsガンバの試合を振り返るのですが、相当長くなりそうなので時間があるときにゆっくり読んでいただけたらと思います。では早速。

まずは試合結果、スタッツから見ていきましょう。

結果は2-2のドロー。ポゼッションは57%と神戸が上回るものの...

次にスタメン。

両チーム、システムこそ変わらないもののメンバーがかなり変わっています。ガンバは名古屋戦で宇佐美を2トップの一角としてアデミウソンと組ませていましたが、今節に関しては左のインテリオールでの起用。監督のアデミウソンは捨てたくないという欲張りな場面が見えました。

神戸は、継続した4-3-3システム。大きな違いを挙げるとしたら、藤谷が西からスタメンを奪ったことでしょうか。西は日本人屈指のサイドバックではありましたが、ここのところイマイチなパフォーマンスだったなかで、藤谷がバルサ戦でジョルディアルバ、ラングレを持ち前のスピードで手玉に取っていました。フィンク監督もサッリほどスタメン固定にこだわっているわけではなさそうですので、今回起用となりました。飯倉もです。(なじみ過ぎて忘れてた)

チーム全体のコンディション

今節は異常に動きが悪い、頭もキレていないなというのが率直な感想です。特にイニエスタ、古橋は見ていられないほどでした。一方サンペールは、チームの中でもかなりコンディションが良く、モチベーションも高くプレーしていたという印象です。

上手くいかない神戸のビルドアップ

俗にいうサリーダをいつも通り神戸は試みていました。ボランチ、ピボーテが2CBの間orサイドに落ちてくるという戦術ですね。

サンペールが右に落ちてくることもあったので、一概に上の図ということにはなりませんが、一時的な3-4-3になることが理想とされます。

ただ二つ問題が。それは、LCBの大崎が左に張り切れず最終ライン(サンペール、大崎、ダンクレー、飯倉)の距離感が詰まり過ぎてしまった。もう一つは、飯倉への理解度。具体的には、どこまで出てくるのか、何をするのか等々でサンペールと被り気味になるような場面も見られました。

LCBの大崎が左に張れないのは右利きなのでまあしょうがないといえば、しょうがないです。それが出来るのはマルディーニぐらいでしょう。しかし張れないとなると、必然的に初瀬は落ちてこざるを得ません。なぜなら、右のキックに対応したポジションを取らなくてはいけないから。そこからのビルドアップを考えると、イニエスタが落ちてこなくてはいけなくなります。

この試合はイニエスタはメディアプンタ(トップ下)での起用でしたので、多少のカバーの動きはあるにせよイニエスタが落ちるとそのあとが続かない、イニエスタが下がってこないとビルドアップすらままならずに中盤がスッポリ空くということが試合を通してありました。因みにイニエスタがボランチ起用されてた時には、両SHが絞る動きをしていたのである程度のビルドアップが出来ていましたが、今節に関しては両ワイドのFW(小川、古橋)が主にサイドに張る役割をしていたので左利きセンターバックの重要性がもろに現れました。

蛍がいるじゃないか」と思った方。僕も初めはそう思いました。ただ彼の動きを見ている限り、ビルドアップの手助けという仕事もありますが、それ以上に刈り取り役、ボールサイドの強度を買われたのか常にサンペールを軸として衛星のような動きをしていました。

大崎は左利きではないので、ガンバの2トップを引き付けきれずにパスを出してしまったことも一つ要因としてあるでしょう。

ビジャの隠れた凄さ

彼はFWのためドリブル、フィニッシュ等々攻撃の部分に目を付けられがちです。攻撃の部分に関してはまったく文句のつけようがない選手です。一つ不満を上げるとするなら年齢もあってか足が縺れるところですが、それを差し引いても、10点を取っていてJリーグでは2位のゴール数ですから、神戸のエースストライカーと言って問題ないでしょう。

しかし、ビジャの欠場で今節チームに見えた穴は得点力、攻撃の部分ではなく、むしろ守備の部分でした。彼のファーストディフェンスの貢献度たるや、途轍もなく大きかったことが身に沁みました。これまでの試合(特に大分戦)で、コースの切り方、プレスへの体の持って行き方、相手のロングパスへの危機管理能力、効果的なランニングは凄いなと思うところではありましたが、今回ほど如実に数字に表れた試合はありませんでした。それだけに2,3週間の離脱は攻守ともにチームにとって痛手になるでしょう。

狙い通りのガンバ、神戸の全体的な守備意識

失点シーンを図にしてみました。


結果として、初瀬がギャップを作りだしてしまい倉田にそこを突かれてゴールという形になりました。このゴールはガンバ側としてはかなり準備してきたものでしょう。2トップの強力ブラジル人で神戸の2CBを釣って、神戸の最大の弱点である初瀬に対して小野瀬、倉田で数的優位を作る。ガンバ側からしたらしてやったりなゴールと言えるでしょう。名古屋戦でも同じロングボールでの攻略をしていたので、対策が出来てるのかなと思っていただけに個人的にとても残念な失点でした。

このゴールは神戸として守りようのないものだったのでしょうか。私はそんなことはないと思います。この時に足りなかったのは、見出しにも書いた通り全体としての守備意識であると言えます。前項でビジャのファーストディフェンスの話をしましたが、まさしくこの失点が彼の欠場によるものと言えるでしょう。しかし、この場面で矢島にプレスに行けるのはウェリントンのみと言ってもいいでしょう。正直、この守備はそこまで難しくないものでしょう。そう考えると、ロングボールに対する具体的な対策がフィンク監督の頭の中には最終ラインの整備だけしかなかったと思えてきます。もしくは、ウェリントンの意識があまりにも低いかどちらかでしょう。ハイラインにおけるファーストディフェンスの重要性は飯倉選手が試合終了後のコメントにも残しているので、最終ラインの整備も含めて彼に少しでも補正してもらえたらと思うばかりです。ダンクレーの扱い方も考えなくてはいけないところでしょう。ボール奪取には素晴らしいものがありますが、抜かれたあとの傷口があまりにも大きすぎる感じは否めません。

両ワイドの有用性とスペースの活用

この試合では小川と古橋がワイドの選手となり幅を取る役目を担っていました。しかし両者、右利きであったため順足ウイングのポジションを取るときには、あまり相手を引きつけられていないようでした。

そして5バックに対しては、ワイドの選手がいくら引き付けたところで2列目がイニエスタだけだと噛み合わせが悪すぎて、無理やりドリブルで持ち込む場面が相当数ありました。そういうところも考えると、私が以前から提唱している、右はSBに張らせてワイドの選手を絞らせる。左に関しては、ワイドの選手をそのまま張らせて、一時的にイニエスタと右ワイドの選手の2インテリオールを作りだすというものが良いのかなと思ったりもします。

ワイドの選手、特に古橋ですがカットイン大好きマンになっていました。これに関しては悲しい限りです。本人の焦りなのか、湘南戦での成功例があったからなのか理由は定かではありませんが早急に改善してほしいところです。それでは張らせた意味が全くなくなってしまう。さらにウェリントンのスペースまで食い荒らしていたので、スペースの有効活用が皆無でした。バルサでデンべレが窮屈にしてる理由と考えは同じですね。

4-3-3でのウェリントン Part2

前節のマリノス戦で4-3-3のCFウェリントンについて色々お話しましたが、やはり今節でも良いところはあまりなかったように思います。まず一つに暑さなのか、自身のコンディションが異様に悪かったですね。

そして前線でハイボールも収まらなくなっているし、タメも作れない。ウェリントンがCBをもっと引っ張ってほしい場面で焦れて落ちてくる。焦れてCFが落ちてきて良かった試しは世界的プレーヤーでもほとんどないです。(トッティ、メッシの0トップは除く)なぜなら、その時点で監督の望むプロセスから外れてしまい、全選手にとって計算外のことが起きてしまうためです。

先ほど言った、ファーストディフェンスもあまり出来ない。クロスにも合わせられない。守備で下がってくるのはいいけど(本当はよくない)奪った後にスプリントがほとんどない。

何よりイニエスタを活かせない。バルサだとスアレスもなかなかいかついCFではありますが体の強さだけでなく一瞬のスピードの上げ方、スペースの見つけ方、抜け出し方には素晴らしいものがあります。ああいった選手がいるからこそ、イニエスタのようなパサーが活きますね。キツイ言い方をすれば、ただの邪魔な置物にしかなっていなかったように見えました。彼も気持ちよくプレーできていないみたいでしたし、2トップでこそ輝く選手だなと改めて感じました。

みんな大好きサンペール

彼は今回とても良いパフォーマンスを見せてくれたと思います。しかし、初めに言った通り、ビルドアップが上手く行かなかった原因にサンペールからのパスコースを設けられなかったことも挙げられます。山口蛍が下がってきてしまうこともあり、ただイニエスタまでは遠いといった状況が起きていました。それを考えても、LCBの重要性が分かることかと思います。田中順也との交代のあとベンチで相当悔しがっていたようですね。悔しさをバネにしてほしいです。

2失点目

完全にこれは緩々でした。CBもっと走ってくれ。としか言いようがない。

オープン戦開幕、そしてイニエスタ

2失点目辺りから、その兆しは見えていましたがサンペールに代わって、田中順也が入ってより加速したといえるでしょう。

とは言っても、神戸が持つ時間のほうが長いことは長かった。ただお互いポジショニングがグチャグチャになっていたためその間に崩すことは不可能でした。この時に良くも悪くも注目したのはイニエスタの動き方ですね。

大きく上下するような試合展開の時には、中央にとどまってボールを裁くような動きをしていました。時には相手の2ラインをぶち抜くようなドリブルをしたりということでしたが、これはあまり評価できることではありません。デンべレの話を少し取り上げましたが、それと一緒でぶち壊すようなドリブルはするべきではありません。しかし、まあこの状況でそうせざるを得ないイニエスタが悪いのか、その状況を作りこんだチームが悪いのか。

右サイドバックの競争は早期終結

ここ数試合で、本来のポテンシャルを発揮できなかった西に変えて、バルサ戦で調子のよかった藤谷を先発起用しました。

しかし、この試合では工夫に欠けるプレーが多々見られた中で途中交代となりました。そして、西は1アシスト。いや素晴らしい。あそこで一旦引いて、相手を動かしてあの高精度のクロスはGKからはノーチャンスだったでしょう。そして、西のオフザボールの動きはやはり藤谷とは天と地ほどの差がありました。だれも気付かない間にスルスルっと前線まで上がっていく。そこにイニエスタからのパスコースも生まれていました。

スーパーサブ 田中順也

やはり、交代枠として置いておきたい一人。オープン持ってこいという選手。彼の左足のサイドチェンジは魅力です。日本人にありがちな、緩い弾道になることがないので、相手の3バックをかなり疲労させていました。こういったオープンの場では走力がモノをいうので、そこも心強いですね。

ヒーロー 増山

去年の柏戦のゴールから期待していましたが、ようやくで嬉しいです。彼の柔らかいながらに、しっかりとした強度のあるドリブル。イニエスタともある程度理解が進んでいるようなので、これからスタメンで見たい選手です。

今後の展望

フェルマーレン、オマリ、佐々木が加入しました。恐らく次節からは出場可能でしょう。どう使うのか見ものです。

個人的な意見としては3バックだとしたら、左からフェル、オマリ、大崎(ダンクレー)という感じになるかと。守備時には、右WBの西を下ろしてL字スライドの可変4バック的な使い方もありかなと。

4バックとするなら、LCBにフェルが入るのが一番ですから初瀬には守備参加はほとんどさせず、フェルに全任せと考えて、守備の構築をする。全盛期のラモス、マルセロみたいなもんですね。そんなマルセロでも、モウに守備は教わるんですが......

1トップに古橋で、2シャドーにイニ、あと佐々木か増山(願わくばポルディ)で4-3-2-1のクリスマスツリーがベターなのかなという風に思っています。

まとめ

結果ドローには持ち込めたがまだまだ改善点があるし、この結果には甘んじている暇はないです。とにかくこの暑さにコンディションを合わせてほしいのと、ビジャの一日でも早い復帰を祈るばかりです。執筆中にゴキブリが出たので、途中で書きたいこと飛びました。もしかしたら、追加で書き加えることがあるかもしれないのでよろしくお願いいたします。ではまた。




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