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運転中おばはんはよう喋ってるわ

妻が大好きな映画で「ファイトクラブ」というものがある。
特に内容には言及しないが、作品内にある場面で「飛行機の落下事故の措置でなぜ酸素吸引するのか?絶対に助からないのに?それはハイになるためだ」
という言葉がある。ざっくりだけど。

私はまあまあな頻度で運転をするが、対向車のおばはんは結構な確率で話しをしている。
助手席には誰もいないので、多分Bluetoothで会話しているんだろうけど、そんな会話することある?っていうくらい何か話している。

先日、自転車で駅に向かって住宅街を走っていると、Uberのスポーツバイクが私を追い抜いた。
すると一時停止を無視して来た白のセダンと衝突する寸前の光景を見た。

不思議なもので、スローモーションに見えた。

白のセダンを運転していたのは、40代くらいのおばはんだった。多分48くらいだろね。
建物の影から覗いたその顔は間違いなく誰かと通話しているようだった。

スポーツバイクを視認したであろうタイミングの表情は、この世の絶望を一瞬にして体感したかの如く口は大きく開き、目は爆裂していた。その時の表情はさながら66歳だった。

時既に遅し。

しかし、スポーツバイクのUberお兄さんは余程の運動神経を兼ね備えていたのであろう。
クイと前輪を車の進行方向に傾けると、見事衝突を回避し、車のサイドミラーを掴んでしばらく並走する形で最悪の事態を回避したのであった。

刹那、安堵しているとまたあのおばはんの顔に目が行った。
おばはんは笑っていた。恍惚に包まれたようにその表情は笑っていたのだ。

話の冒頭に戻ろう。

酸素を過剰に摂取すると人はハイになる。

人が瞬間的に危機的状況に直面した時、口を大きく開けてしまうのは、酸素を過剰に摂取してハイになるという構造が元々組み込まれているのではないだろうか。
という考察に至った。
理にかなっている。今際の際は快楽であるという通説は正しいのではないかと、少し思ったのであった。

だからなに?なんでもねえです。ええ。

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