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オールド標準ズームで石切さんにお参り(smc PENTAX-M 28-50mmF3.5-4.5)

 カスタムイメージGoldで楽しめるレンズはどれだろな、と手元のレトロレンズをほっくりかえしてみて、今日はsmc PENTAX-M 28-50mmF3.5-4.5でいってみるのでした。
 私の生まれた1979年9月に発売された同い年カメラ・PENTAX MV1を買った時に、併せて買ったレンズ。MV1は『ズームシステムカメラ』という謎の売り文句を備えたカメラでしたからね。


スペックなど

 PENTAXのズームは、望遠系はスクリューマウントの頃からあったんですが、標準ズームが出たのはMシリーズに入ってから、つまり70年代末です。
 で、1978年に最初に出たのが、この28-50mmだったようです。
 これがいきなり、最大径63mm・全長53mmというコンパクトさで出てる。最大径は他の単焦点と同じで、全長は標準単焦点より長いけど中望遠より短いくらい。
 重量も315g。これは当時としてはちょい重いけど、それでも中望遠単焦点よりわずかに重い程度。なかなかの意欲作っぽさがありますねえ。
 当時オリンパスと小型軽量路線の大激戦をやってたから、下手なもん出すわけにいかんかったんでしょうねえ。

 レンズ構成は10群10枚。この頃としては相当多いですね。
 フィルター系はΦ52と、単焦点はほぼΦ49で揃えてた時代なので、やや大きい。
 最短撮影距離は0.6m。テレ端50mmで60cmはちょっと物足りないけど、でも時代を思えば頑張ってるか。

 2群ズームで、全長が短くなるのはテレ端のとき。
 Mレンズなので電子接点なし、デジタルで使うと焦点距離聞かれます。とりあえず中間あたりの40mm設定で大体よさそう。

実写

 前から持ってるレンズだから、当然APS-CのK-70で使ったこともあったんですが、J limited 01のフルサイズだとどうなるかな。
 APS-Cだと、意外にもまるで問題を感じず無難によく写るレンズって感じでしたが。

大阪駅(うめきた)

多分広角側(Exifに残らないので記憶から)。

 ズーム倍率が低いのもあってか、ワイド側でも意外に歪曲収差は大きくない感じ。ゼロとはいわないけど、場合によっては目につく、って程度で済んでますね。
 APS-Cではほとんど気にならなかった、周辺画質の悪化はかなりあります。
 が、今回このレンズ持ち出すのは、Goldに似合うか、つまりある程度周辺画質や光量が落ちてしまうレンズであることを期待してのこと。ゆえに、こんな絞るべきカットを開放で撮ってます。
 周辺光量はさほど落ちてるようには感じないな。

多分ワイド側
テレ端

 テレ端だとだいぶ写りが端正になる感じ。

石切参道商店街

 石切駅から神社方面へ。なんか大雑把な構造の鳥居やな……。
 石切神社には、近鉄けいはんな線の新石切駅が近いのだけど、どうせ来るなら近鉄奈良線の石切駅から降りてくる方が楽しい。というか参道商店街こそが名所というか。

 参道途中にあった千手寺。
 役行者がこのあたりで禅定にふけってたら千手観音が現れ、ここに一寺建立したのが始まり。弘法大師が立ち寄った際に、竜王が現れて霊木を託していったので、千手観音像を彫って安置したとも。
 平安時代に戦火に巻き込まれ、千手観音像も自ら近くの池に飛び込んで消息不明になったが、在原業平が像を発見。それをきっかけに業平がこの寺を再興したという。
 随分伝承にビッグネームが並ぶなあ。

 大仏さん。1980年の建立当時日本で3番目に大きな大仏だった、という。
 奈良・鎌倉に続くということだろうか。ただネットで検索すると身も蓋もなくもっとでかい仏像があることがわかってしまうのだった。
 しかしそういう超巨大仏は案外新しいのが多く、1980年の石切大仏は意外と早い。有名な牛久大仏もまだなかった。
 もちろん1980年時点でも3番めではなさそうだけど、ネットもない当時の情報網で、全国の仏像の大きさを把握しているのも難しかっただろう。

おそらくテレ端か中域

 不動尊。
 広角端ではないカットのはずだけど、周辺が甘くなってるのは解消してるみたい。

 占い屋が密集したエリアにくる。

 前を通り過ぎようとすると、仏像も神像も、アメジストドームとかまで何でもありがたそうなものは何でもかんでも集めたようなパワフルなところが。石切の商店街はだいたいこのノリだ。

 占い師エリアを過ぎると、今度はお菓子屋と漬物屋を中心に、参拝客向けの商店が増える。
 石切の名物はよく知らないのだが、なぜかこの暑い湿っぽい日にも店先でおでん炊いてる店が複数あり、どうもおでんが名物であるらしい……。

 少なくとも今日は営業してなかった喫茶店。

石切劔箭神社

 到着。
 お百度参りが有名で、他の神社では百度石はあってもやってる人はあまり見られないところ、ここではすぐ遭遇しちゃう。

 神武東征にまつわる創建エピソードなどあるらしく、元々生駒の山の方にあったのが崇神天皇の頃に今の場所に移ってきた、というけど、どうも室町時代に燃えて社伝が失われたとのこと。延喜式には載ってるので、少なくとも平安時代にはあった。
 それから石切丸と小狐丸があるところ。

 全体的にいうと整備が行き届きすぎて、写真撮って面白いものは少ない(神社は被写体になるためにあるんじゃないので)ものの、この灯籠はなんかすごいな。でっかい自然石を最低限灯籠になる程度しか加工せずに完成にした感じ。

 亀を奉納するお社。

 あれ牛の像があるぞ、菅公も祀ってるのかな……と思ったら、なんかこのあたりには農耕牛をねぎらう祭りをやってた故事があるらしい。
 神武東征のときに農耕が伝えられて、近畿ではこのあたりから農業が始まった、という伝承がある。

 なぜか仁王門みたいなのがある。

 しかし金剛力士像ではなくて、こんな神武天皇(当時は神倭伊波礼毘古命)らしい姿の像が。ちゃんと両側に阿吽のスタイルで二体あったから、仁王門をアレンジしたものではあるようだが。

 以上、久しぶりにお参りした石切神社でした。

使用感など

 PENTAX最古の70年代標準ズームとはいうものの、また例によってそこそこよく写ってくれるレンズでした。
 まあ広角で絞ってない場合に周辺がかなり荒れるとはいえ、真ん中の方はかなりしっかり写ってる。歪曲もけっこう抑えて、周辺光量も落ちないで、と、やはり単焦点レンズの写りが当たり前だった時代は、ズームでも下手な写りじゃ許して貰えんかったのかな。
 まあそりゃ、2倍にも満たないズーム比で、しかもあまり寄れない、大きさも頑張ってはいるけど重いのも確か……と、それなりのデメリットも背負ってはいますが。

テレ端開放近接

 まあ寄れないし、普通は絞って使うレンズではありますが、ボケだってそんな悪い感じしませんね。

 Goldに似合うレンズだったか、というと、まあまあよさそう。
 意外によく写るといっても今のレンズみたいな写りではなく、それなりに柔らかい。広角端では隅も荒れるし。もうちょっと周辺光量落ちてくれても良かったかな、というくらいか。

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