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死なないで。

日本全体に蔓延している閉塞感、空虚さ、希望のなさは一体どうしたことだろう。

長引く不況、経済的に緩やかに衰退していき、中国にはもうどうしたって敵わないし、あの東北の大震災の後、このコロナが暗い世相に追い打ちをかけた感じ。

人身事故で電車が止まるたびに、悲しくなる。

あなたはどうして死のうと思ったの?
きっとすごく孤独だったんだよね。
誰か、そばにいてあなたのことを気にかけてくれる人はいなかったのかな。
お医者さんに行った?
薬は飲んでたのかな。
悲しいよ。
あなたのお父さんやお母さん、きっと立ち直れないんじゃないかな。
本当に悲しいよ。


鬱病で希死念慮がある時は、ふっと吸い寄せられるように死に向かってしまうんですってね。

私が今日いつものエロモードと打って変わって真面目にこれを書いているのは、今日また人身事故で電車が止まっていたからなんです。

もう、こんな悲しいことは見たくない、、、、でも、きっと自殺者はこれからも減ることはなく、増えていくのではないか。

死にたくなる人が増えたのは、この世の中に希望がないように見えるせいもあるのではないか。

そう考えると、どうしても伝えたいと思ったのです。

もしかしたら、海外に出た私が伝えられることがあるかもしれないから。

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日本人は、不安遺伝子が強く、時に危険なまでに我慢強い人が多いと思います。自分を責めすぎたり、ノーと言えなかったり。

そして、自分で自分を追い詰めて、死んでしまう。

裏を返せば、日本人は自己批判がとても上手な国民性でもあります。悲観的で、自国を誇りに思う人の数が圧倒的に少ないけれど、この国を過小評価しすぎな気がするんです。

私は海外に10年以上住み、帰ってきたものですが、日本を離れようと思ったきっかけは、当時通学で毎日のように見ていた通勤する人たちの姿でした。スーツに身を包み、黙々と修行のように、楽しくなさそうに、疲労と苛立ちをにじませた顔で歩いていく人々の群れ。

ここには希望がない。

そう思って、勉強して留学しました。そして向こうで今の夫DJと出会い、結婚して子供を産み、職を得て働きました。

そして15年ぶりに帰ってきた今、私はあの時、「希望がない」と思った私の未熟さ、視野の狭さ、青さがひしひしとわかるようになりました。そして、日本人として生まれたからには、この国を少しでも良くしていきたいと言う責任感のようなものも生まれました。歳のせいかもしれませんし、海外で暮らした経験のせいかもしれません。

*****

日本人は悲観的だ。日本人はコミュニケーションが下手だ。日本人は謝るともっと怒る。日本人は面と向かっては優しいのに、SNSで匿名だと過酷なことを言って、人を自殺にまで追い込む、陰湿な人々だ。

、、、と言うような自己批判を日本人の方なら聞いたことあると思います。

それはそうかも知れない。でもね、素晴らしいところもたくさんある。それに気づいて欲しい。日本の人に、もっと自国を誇りに思ってほしい。もっと、こんないい国に生まれてよかったと思って、元気になって欲しい。

電車に飛び込まないで。
この国にだって、希望はあるから。
そして、あなたには価値があるから、もっと傲慢に、我儘に生きて欲しい。

例えば、この国の安全さ。
日本人の倫理観の高さ。

これだけの人々が密集して住んでいるのに、地震や津波やコロナの災害があっても、暴動や窃盗の件数が他国に比べて圧倒的に低い。秩序と安全を保ったまま、じっと耐えて、励まし合い、乗り切っていく。

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ドラッグストアが欧米の主要都市にあったら、店の外に並べられた商品はものの数分で盗まれることでしょう。

ボディーガードを日雇いするならともかく、安全はお金で買えません。そしてその安全性は、元を正せば、日本人の家庭であなたのご両親から教えられたまっとうな善と悪の価値観、他人に迷惑をかけてはいけないと言う社会に対する配慮と尊敬からきていると思うんです。

「人様のものを盗んではいけない。それは間違ったことだ」

そんな日本人にしたら当たり前以前の価値観を、欧米では教わらず、ばかりか「盗ま無い方がバカだ」と教えたりする家庭もある。そこで育った子供は、自分より豊かな層から盗むのは当然の権利だと考える。その子供が大人になり、自分の子供に同じように「盗まない方がバカだ」と教える。その「当然の権利」が止められそうになると、衝動を抑えきれず、ポケットに隠し持った銃の引き金を簡単に引く。その結果、刑務所に入った父親、生活保護を乱用する母親。そこで育った子供は虐待されたり、良くてニグレクトされて育つ。その子がまたストリートで盗み、レイプし、ドラッグを売ったり買ったり。

結果、倫理観は育つことなく、犯罪は増え安全は消えていく。

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ウクライナ人の友人が私に言ったことがあります。そのとき、私たちの目の前を日本人の若者が歩いていました。彼のジーンズのバックポケットからは、大きめのヴィトンの長財布が、今にも落ちそうに差し込んでありました。

「あれっていつ見てもバカだなあと思う。あんなの、私の国じゃすぐ盗まれちゃうもん。」

私は同意しつつ、心の中では

「それは、あなたの国の問題でしょ。日本はあんなに無防備でも誰も盗まないから、ああいうことができるのよ。それは、(みんなどんなに素晴らしいことか気づいてないけど)、日本が世界に誇るべきところよ。あなただって、その安全さを今享受してるんだよ。」

と思っていました。

それに、あの若者も、海外に住めばあっという間に日本の常識は危ないということを学ぶでしょう。(私もそうでした。)若い人たちの新しいことを吸収し適応する速さはいつも感心しますし、あの若者はそんなストリートの知恵を学ばなくてよかった、ラッキーな若者なのです。

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これから、時々「日本人が忘れがちな日本人と日本の素晴らしさ」を書きたいです。ちょっとでもこの美しい国の美しさを再発見して、暗い世の中のように見える社会が、実はとても恵まれていて、安全で、奇跡のようなものであることに気づいて欲しいのです。

まだまだ続くはずの人生を、悲しく終わらせる人が一人でも減りますように、、、、、。


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