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人吉球磨地域について

 2020年7月3日から4日にかけての大雨により、熊本県南地域に河川氾濫、土砂崩れなどの甚大な被害が発生しています。被害の中心は、熊本県・宮崎県境をまたがる市房山付近の源流から人吉盆地を横断し、八代海へ流れる球磨川の流域、および盆地を取り囲む山林と隣接する芦北地域であるようです。
 このノートの発信者は現在、人吉市から約90㎞離れた熊本市にいますが、昨年まで人吉球磨地域に居住していました。直近で訪問したのが先月20日であり、それ以前に多少のブランクがあるため情報が古い場合もありますが、該当地域が山に囲まれた場所であり、交通アクセスに支障がでていること、停電やサーバーダウン等により、自治体のホームページ閲覧もままならない状況が発生していることなどから、「よその人」が知っておくと「地元の人」が助かるのではないかと思われる情報をまとめて発信したいと思います。

人吉球磨地域の基本情報

 人吉球磨地方は熊本県南部に位置し、1市(人吉市)4町(錦町、あさぎり町、多良木町、湯前町)5村(球磨村、山江村、相良村、五木村、水上村)で構成されます。地域全体の人口は9万人弱(そのうち、人吉市が約3万人)。面積約1540㎢の82%を森林が占め、約7%が農地で、林業と、稲作や果樹栽培などの農業が盛んな地域です。

 九州山地が四方を囲む人吉盆地を日本三大急流で知られる球磨川が横断し、並行する形で鉄道(JR肥薩線とくま川鉄道)、国道219号線が通っています。また、九州自動車道の人吉IC、人吉球磨スマートICを中継して九州各方面につながっています。
 人吉市は温泉場として知られ、数カ所の泉源から引く温泉が市内に点在。そのほか、熊本県内唯一の国宝建造物である青井阿蘇神社をはじめ、相良藩700年の統治の中で領主と民衆が一体となり受け継いだ歴史的に価値の高い社寺や仏像、現在も28蔵元がその味を競う球磨焼酎や、長い時代を経て育まれた独特の文化が数多く残っている地域です。近年は、漫画・アニメ「夏目友人帳」ゆかりの地として、観光に訪れる人も多くなっていました。


7月5日午後5時現在のアクセス状況

【鉄道】
・JR九州
肥薩線(上下線)八代~隼人:終日運転見合わせ
九州新幹線(上下線)熊本~鹿児島中央:本数を減らして運転
その他、日南線・吉都線・日豊本線などが運転見合わせ

・くま川鉄道
人吉温泉~湯前(全線):被災により、当分の間運行の見通しが立たず

・肥薩おれんじ鉄道
八代~出水:復旧作業のため終日運転見合わせ

【バス】
・路線バス(九州産交バス)
人吉営業所(人吉・球磨地区)路線及び営業所浸水被害のため運行見合わせ
八代営業所(八代・芦北地区)八代市役所前~坂本駅前/大門瀬線:運休、
八代市役所前~道の駅たのうら:日奈久下西町で折り返し運行(一部運休)
水俣営業所(水俣・芦北地区)水俣産交~道の駅たのうら:水俣産交~佐敷駅前で折り返し運行(一部運休)

・高速バス(九州産交バス他各社)
新八代~宮崎(B&Sみやざき):通常運行
熊本~鹿児島(きりしま号):新型コロナウィルス影響により減便運行
熊本~宮崎(なんぷう号):新型コロナウィルス影響により減便運行
福岡~宮崎(フェニックス号):新型コロナウィルス影響により減便運行

【道路】
・九州自動車道:通常通り
・一般道
国道3号線 八代市日奈久馬越町~芦北町湯浦(上下):通行止
国道219号線 八代市新萩原橋~八代市鎌瀬橋(上下)、球磨村神瀬橋~人吉市西間下町(上下):通行止
国道221号線 人吉市上漆田町~段塔町(上下):通行止
国道267号線 人吉市木地屋町付近(上下):通行止
国道445号線 相良村小野~五木村甲、道の駅子守唄の里五木(上下):通行止
その他、県道等で多数通行止め区間あり

※個人的な見解・見通し

 上記の状況から、現在、公共交通機関で人吉球磨地域へ連絡することはほぼ不可能だといえます。高速バスで人吉ICまで行くことは可能ですが、路線バスが運行できていないため、地域内では車などを各自手配しなければなりません。
 鉄道に関しては、球磨川第一橋梁(鎌瀬ー瀬戸石駅間)(※見出し写真:2019年撮影)の流失被害が出ていることから、JR肥薩線の復旧には時間がかかることになるでしょう。
 道路は、八代方面、氷川・美里方面、芦北方面からの一般道いずれも通行止め区間が発生しています。どのルートも山越えとなるため、通行止めが解除されても土砂崩れ等に注意が必要です。九州自動車道を利用するのが安全策ですが、こちらもカーブが多く雨天時は事故が多発。渋滞も発生しているようなので、十分注意しなければなりません。
 報道で見られるように、人吉市内のメーンストリートというべき場所が浸水被害を受けています。銀行や郵便局、病院などが集まる場所であり、市民生活への影響も多々あると思われます。
 それ以前に、人吉球磨地域は新型コロナウィルス感染未発生地域です。4月に一度心配する事態がありましたが、検査の結果、地域内から陽性者はでていません。復旧支援や取材などで不用意に外部から立ち入り、ウィルスを広めるようなことがあっては混乱を招くばかりです。
 今はきっと、地域や県、国のプロフェショナルたちが全力で対処されています。人吉球磨の人たちは、長い間、独自の文化を育んできた地域だからか、自助努力がしっかりできる人が多いように思います。地域にはそれぞれの専門分野で教育を受ける立派な高校生もたくさんいます。体力自慢の人だってたくさんいました。
 私たち「よその人」に何ができるのか。すぐに手を差し伸べれば、助かる人はいるはずです。けれども、今はまだ、見守るという選択を採ってもよいのではないかと私は思っています。「消極的すぎる」「ヘタレ」だと言われても構いません。折を見て、足りない部分を補うスタンスでこれからに備える。そのために、可能な限り情報を見極め、気にし続けることが必要だと考えています。

参考サイト

九州のりものinfo.com http://www.norimono-info.com/
ハイウェイ高速情報  https://ihighway.jp/
日本道路交通情報センター  http://www.jartic.or.jp/index.html
人吉新聞  https://hitoyoshi-sharepla.com/
熊本日日新聞  https://kumanichi.com/
熊本県  https://www.pref.kumamoto.jp/

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