週報:冷凍うどん、ノンデリ、裾野の仕事

・冷凍うどんさえあればなんとかなるのだ。

・乾麺や生麺は茹でるのがとにかくダルいし、カップ麺はお湯を沸かして待つのがダルい。冷凍うどんだけが電子レンジで完結する。さらに特筆すべきはその消化吸収の良さだ。他の麺類と比較したときに圧倒的にお腹に優しいわけで、風邪の日に食べる麺類といえばまっさきにうどん、次点が家系ラーメンであろう。仮定だが、きっと家系うどんがあれば世の中の風邪はもっと早く治ると思われる。

・とにかく、冷凍うどんが即席の麺類の中で一番偉いのは間違いない。

・そんな冷凍うどんがここのところ、近所のスーパーでずっと売り切れている。

・ずっと、である。僕は週の真ん中水曜日に一回、週末の土曜か日曜かに一回で、一週間のうちに2回は買い出しに行くんですが、1月末以降からずっと冷凍うどんの補充ができない状態であった。

・何故かはわからない。何故かはわからないが今までこんなこともなかったので、近隣に冷凍うどんを買い占める人が引っ越してきた可能性が高い。早急に住所を特定してポストに怪文書を直接投函したり、壁に一定のリズムで石を投げたりする予定である。

・これは実際由々しい問題で、上述の理由から「何食べるか困ったらとりあえず冷凍うどん」という方程式があるため、この数週間は何を食べるか困ったとき、本当に何を食べるか困ってしまった。

・食生活の基盤をカトキチに握られている。

・そのような状況が続くと不思議なことに、いままでは「他に食べたいもの思いつかないし、まぁとりあえず……」程度のモチベーションで食べていたはずのうどんが、どんどん恋しくなってくるではないか。

・レンチンで雑にめんつゆ小口ネギしょうがチューブでやるだけのうどん。余らせた手作りカレーをつゆでとき簡易に蕎麦屋のカレーうどん的な奴。味噌汁に追加で具材をぶち込んで煮込みまくっただけの煮込みうどん。ペペロンチーノ作ろうとしてたけど気が変わって途中からぺぺたまうどんにしたやつ……今まで雑に作ってきたうどんレシピが、嬉しいことも悲しいこともあった日々の営みを支えてた、かけがえのない財産に思えてきたのである。

・そんなことを思いながら買い出しに行っては冷凍コーナーで悲しい思いをしていたんですが、今週末やっとカトキチにありつけた。残り2袋だったので、後続には申し訳ないが2袋買った。大満足である。

・ちょっと雑じゃないうどんレシピも検討したくなる期間であった。カトキチよ永遠なれ。



・CRカップ等を中心に格ゲーマーとVtuber・配信者の絡みを見ていて、「ノンデリ」っていう単語の使われ方が興味深いと思った。

・観測した範囲だと「Vtuberの設定について揶揄する」みたいな言い方に対してノンデリとされていることが感じがある。ぶっちゃけ念頭に置いてるのはかるびさんやぷるるさんなんだけど、格ゲー界隈との絡みで見かけるVの者、結構そういう温度感で笑ってもらう前提でやってるのがほとんどだと思うんだよな。

・ほんの数年前には「私は地球出身じゃなくて、コリン星出身の宇宙人なんです!」っていうアイドルが居て、当時はその不思議キャラも込みで「そんなわけないでしょ普通に日本生まれの人間でしょ」というツッコミとやりとりも含めての設定だったことも比較して考えたい。

・これ自体は別に全然良いことなんだけど、その用意された設定が「ツッコミ待ち」なのか「ガチ」なのかってのは、かなりジョークにおいて本質的なラインなのでめちゃくちゃ難しい。それはつまり言い換えると「それはノンデリだよ~w」って言われてるうちはまだ問題無いとでも言えそうな気がする。

・ただこれ、”Vtuberの設定”だからの部分を”本人が本人にとってそうでありたいイメージ”のことだと思うと、確かにしっかりデリカシーの問題な気がする。ちゃんと考えると別にVtuber固有の問題というわけじゃないっていうのがある。

・日常的な会話で使う「自分忘れっぽいんですよね」とか「僕、あんまり人前で喋るの上手くなくて」とか「あーしそういう難しいのわかんないから」とか、そういう本人が思っている”自分ってこうだから”っていう性質、Vtuberにおける設定とどこまで違うのかという気もする。

・そこに言及するかどうかっていうのはその他人次第だし、本人がその設定をどう生かすかは本人次第ではあるが。



・僕は別に自分だけの創作世界みたいなものが無く、あったとしてもせいぜい二次創作的なものでしかない。

・だからオリジナルの作品を持っている人のことは本当にすごいと思う。自分にもそういうものが創れるんじゃないかっていう気持ちがまだちょっと残ってたりもするので、いっそ妬んだりすることもある。

・そして、そういう自分で作れない人間が、作れる側の世界に少しでも関わりたいと思うことはまったく自然なことだと思う。そして、そういう仕事が世の中は大多数なんじゃないかと思う。

・素晴らしいデザインやプログラミングはできないけどWebと関わっていたいからバナー作ったり運用ディレクションする、とか。プロゲーマーほど実力は無いけどゲームと関わってたいから配信のサポートをする、とか。柔道家になれなかったけど整体師になった、とか。まだ厨房には立てないから皿洗いから修行していく、とか。

・その業界の中心となるような価値を創造する人が居て、誰もがそんな創造ができるとは限らないから、そこへのリスペクトがある人達によって裾野が形成されている。それで世の中には色んな仕事があって色んな人が暮らせているのだと思っている。

・TLで某出版社の件がずっと流れてくるのでつい色々考えてしまった。作家が一人いなくなることって創作世界が一つ無くなることに等しいわけで、業界において明確に大きな損失だと思うんだけど。出版社とか放送局とかって本やテレビが大好きだから勤めてるんじゃないのかと思うんだけど。別にそうではなかったらしい。悲しいですね。

・自分も裾野の仕事をしている身分として、決してこうはなるまいと思った次第でした。

・裾野の仕事をしている身分って、中途半端に儲かると勘違いするんだよな。本来は「あなたの作品をうちで刷りたいです」「あなたの作品をメディア化してうちで放送したいです」だったはずなのに、「うちが刷ってるから売れてんねん」とか「うちで流してるから話題なってんねん」になっちゃうんだろうな。

・そんな偉いわけないじゃん。お前は何も作ってないんだから。

・もちろん本当に素晴らしい編集や調整をする人は稀に居るし、その人は褒められるべきだけど、その人自身は誰よりも原作者をリスペクトしているはずである。あとがきに「編集の○○さんがいたからこそ……」なんて原作者がコメントするけど、編集側が「うちらが編集してるから売れてるんですよw」なんて言ってたら絶対に出ないコメントなわけで、その腕利きの編集者はめったに表に出ない。

・まぁ、なんだろうな。自分ができないことには素直にすげぇって思うもんだと思うもんだと思ってたけど、そうじゃないんだろうな。社会ってダルいなと思うなどした数週間であった。



・そんな感じですが、地味にしっかり仕事が忙しくてダルい一週間でした。いくつになっても労働ってめんどうくさいんだろうな。

・ちなみに忙しいのは引き続き来週も続くのでダルい。ダルいんだけど、また来週。


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