【第51回】あんまんを知らないまま僕は一生を終えたい。
先日、コンビニに行ったらおでんを売る入れ物がもう置かれていた。流石にまだ売ってないようだけれども、9月頃から販売されていくようだ。
早い。季節限定イベントに関する商品は何日も前から売り始めたりする。ハロウィンなんかだと下手すると9月末ぐらいからキャンペーン商品を売っていることさえある。
これ、本当に意味あるのか?と疑問だったのだけれども効果はバッチリらしい。調べてみるとコンビニおでんが一番売れるのは9月のようだ(10月11月ごろという説もある)。
誰も残暑残るような暑い日におでんなんか食べたくないんじゃないかという気がする。けれども、よく考えたら毎年おでんが売り始めると「お、売り出したな。よしよし買うか」と、ついつい買ってしまう自分がいたことを思い出した。70円セールとかやっているのもこの時期だし。
言われてみれば寒い冬にはあんまりおでんを買わないかもしれない。まんまと知らず知らずのうちに企業戦略に乗せられていたようだ。
そんな企業努力のすえ発売時期を工夫したコンビニおでん。それと同じ時期に販売を始める商品で冬の定番といえる商品がある。
それは「中華まん」だ。レジ横の蒸し器の中に入っているのは冬の風物詩かもしれない。
おでんに比べると僕個人としては、あまり食べる機会がないけれども寒い日に無性に食べたくなるときがある。
母親が出してくれたスーパーで売られている安い中華まんは正直そんなに好きじゃなかったのだけれども、コンビニの中華まんはなかなか美味い。
ひとえに中華まんといっても種類が豊富なので選ぶ楽しさがある。肉まん、ピザまんといった定番に加えてグリーンカレーまんや海老チリまんなどの変わり種もある。スライム肉まんを始めとした有名キャラとのコラボも楽しい。
ところが、だ。
実のところ、僕は「あんまん」を食べたことがない。ただの一度も。あんまんとは具があんこの中華まんのことらしい。
僕にとって中華まんは食事だ。そんなときに甘いあんこの入ったあんまんが選択肢に上がることある?だって他の美味しそうなメニューがいっぱいあるのに、わざわざあんこを選ぶのかな?普通。
別にあんこが嫌いなわけじゃない。むしろ好きだ。でも食事じゃ食べないでしょ。おはぎみたいに和菓子という枠だったらわかるんだけど。
うまいのかまずいのかも全くわからない。商品によってはごま油も入っているようだけど、なんでそんなことするの?という疑問がある。
そのせいで21年間あんまんを食べたことがない。
ここまでくると意地になってしまう。僕は普段食べたこと無いものはできるだけ食べてみようとしている。上野でバロット(孵化直前の卵を茹でたもの。グロテスクな見た目をしている)が最近買えると知ったので食べようと思っているくらいだ。
けれども、あんまんは食わないと決めた。ここまで縁がなかったのなら、これは運命なのだ。いわば僕とあんまんの対決。誰も関係ない謎のプライドとの戦い。
あんまんを知らないまま僕は一生を終えたい。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました! ご支援いただいたお金はエッセイのネタ集めのための費用か、僕自身の生活費に充てさせていただきます。