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【第42回】「空き地に土管」はフィクションの中だけでいい。

「空き地に土管」という古い漫画やアニメでよく登場するシーンがある。代表的なもので言えば国民的アニメである「ドラえもん」に登場する空き地が有名だろう。

今でこそ見られなくなったけれども昭和30年〜40年代では日本中のいたるところで見ることができた当たり前の光景だったらしい。

当時は高度経済成長期と呼ばれる戦後の復興を経て日本の経済が急成長した時代で、それにともない各インフラも急速に整備されていった時代だったそうだ。

上水道や下水道も敷くのにはもちろんパイプとして土管が必要になる。あちこちで必要になるから一時的な仮置きとして各地の空き地が活用されていたことから「空き地に土管」という光景が誕生したわけだ。

この土管が子供の格好の遊び場にもなっていたという。ただ決して安全とは言えない。過去には置いてあった土管が倒れ子供が圧死したという痛ましい事故が起こったこともある。また浮浪者のたまり場にもなってしまうという。ドラえもんでも空き地に住み着いて子どもたちを脅しお金を集めるような人が登場した回がある。そういった背景やインフラの整備が終わっていって工事のピークが過ぎたことから時代の流れとともに消えていったようだ。

だから平成生まれの僕は「空き地に土管」という光景は、それこそ「ドラえもん」ぐらいでしかみたことがない。いや、嘘はやめよう。なかった。つい最近までは。

実は数ヶ月前の話だけど本当に「空き地に土管」を見た。「空き地」だけでも「土管」だけでもない。マジのマジで「空き地に土管」だ。

嘘だと思われないように証拠として写真を上げておこう。

ね?ボロボロだけどあるでしょ?

場所は伏せるけれども車がないと不便な公共交通機関を利用しようにも不便な相当田舎でこういった光景をみた。

周りの景色も相まってこの場所だけ昭和?と言いたくなるような感じだ。すごくいい…。無いはずの記憶がノスタルジーを呼び覚ます。土地は私有地だと思われるので入らなかったけれども、そういったしがらみがなければ、たぶん近くまで行っていたと思う。なんならのび太達のように土管に入っていたかもしれない。

日本各地で空き家問題が発生していることや高度経済成長期に急ピッチインフラ整備を行ったことでの老朽化への一斉対応などによって、もしかしたらまたこのような光景が当たり前になる可能性がないわけではない気がしている。ただ絶対に実際にはないほうがいいに決まっているのだけれども。危ないしね。

今のところ僕には「空き地に土管」はフィクションの中だけでいいようだ。

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