見出し画像

【第58回】ダメなものはダメなんだよ。

地下空間に様々な店舗が並ぶ「地下街」と呼ばれる空間がある。こう書くと何だか仰々しいけれども多くは地下鉄と併設されているので、いわゆる都心や、その近郊に住んでいる人々にとっては馴染み深い場所だろう。

この地下街は人々が往来する地下道としての役割も担っている。駅から直結している利便性や雨風などの天候の影響を受けにくいことから多くの人で賑わっている。

そんな地下街だけれども僕は、ほとんど利用したことがない。そもそも地下鉄の走っているような都会に足を運ぶことが最近まで稀だったからだ。それに加えて僕が方向音痴というのもあってできるだけ利用を避けている。地下街だけではなく、地下鉄を利用したときでさえも改札を出たら、とにかく真っ先に地上に出るようにしているのだ。

とにかく地下は現在地がわかりにくい。地上ではGoogle Mapを上手く活用しなんとか現在地を把握している──とは言うものの碁盤の目のように区画整理された場所ではすぐに現在地がどこで自分がどの方向に向いているのかがわからなくなってしまう──けれども、GPSの精度が狂い複雑に階層の別れる地下だと、もうどうしようもなくなってしまう。僕のように方向音痴でなくても基本的に地下は迷いやすい傾向にあると思う。有名なところで言えば大阪梅田駅周辺の地下街だろうか。この地下街は「梅田ダンジョン」や「梅ダンジョン」と形容され地元の人でも迷うと言われている。僕はこの梅田ダンジョンのせいで合説に遅刻した。

だから地下街はできるだけ利用を避けてきたのだ。

しかし、そんな僕にも地下街に向き合わなければならない日が訪れた。場所は名古屋の栄駅近辺の地下街である。名古屋もまた数多くの迷宮が存在することで名高い。名古屋駅の迷宮に次いで栄駅の地下迷宮は迷いやすいと言われているらしい。

帰省のついでに買い物のために栄に立ち寄ったのだけれども、いくつかの店を訪れたおかげで駅からだいぶ離れてしまい交差点も遠く地上から駅に向かうのは行けなくはないけれども面倒そうだ。それに加えてにわか雨も降ってきたので、思い切って地下街を利用することにしたのである。

駅を目指すなら標識に従えば必ずたどり着けるはず。しっかりと案内板に書かれた地図を見ながら歩みを進めていく。

僕の心配はよそにあっという間に改札前についた。よくがんばったよ、俺。困難に立ち向かうのって大事だよな。ちゃんと落ち着けばできるじゃないか。

唯一問題だったのは、たどり着いたのが目的の路線とは別の路線だったことだ。

なんで?!に

#エッセイ #僕ノート #地下街 #地下鉄 #名古屋 #栄 #大学生 #ネタ

最後まで読んでくださり、ありがとうございました! ご支援いただいたお金はエッセイのネタ集めのための費用か、僕自身の生活費に充てさせていただきます。