【第16回】存在しない劇場版サザエさんを見て僕は泣いた。
先日、目が覚めたとき涙を流していた。
これだけを聞くと何か自分自身の前世も巻き込んだ壮大な物語が始まりそうな予感がするけれども、別にそんなことはない。
ただ単純に感動する夢を見て泣いていただけのことで。ただ、まるで一本の映画を見たような満足感を覚えていた。
夢とは不思議なもので目が覚めて少し経過すると忘れてしまうし、そもそも覚えていないことも多いものだ。
ではそういった場合どうするか。
夢日記を取ればいい。やり方は簡単で夢の内容を覚えているうちに書き出しておくことで記憶として定着し覚えていられる。
本来は夢日記は明晰夢と呼ばれる「これが夢である」と本人が自覚しながら見ることができる夢を見るためのトレーニング手段として使われるものだけれども、僕はもっぱら覚えていたい夢を覚えているために使う。明晰夢に興味がある人は今回は省くので個人的にググってほしい。
ではこの日はどんな夢を見たのか。その時のメモを見てみよう。
2019. 7. 2カツオとともに木が育ついつしかその木にも登らなくなっていた。タラちゃん イクラ 遊びだすなつかしむカツオ木がかれる。受け入れられないカツオ手をつくすもだめ。みんなで泣く。木を使ってブランコに。
そう、サザエさんの夢だ。ちなみに字が汚いけれども寝起きに書いたものなので許してほしい。
サザエさんに関しては説明するまでもないだろう、いわずもがな、あの国民的アニメのことだ。
メモだけだと分かりづらいのだけれども、ものすごく感動した。
実はサザエさんは1969年からアニメが放映されているのだけれども一度も劇場版は作成されていない。実写では1940年代や1950年代に映画が作成されたり、何度かドラマや舞台化さえもしているが、アニメ版の劇場版は一切ないのだ。
ドラえもんやクレヨンしんちゃんはもちろんのこと、ちびまる子ちゃんでさえ劇場版が存在するのにだ。ちなみにちびまる子ちゃんの映画は2015年に放映された最新のものは見たことがないが、1990年に放映された「大野君と杉山君」と1992年に放映された「わたしの好きな歌」の2つはめちゃめちゃ泣けるのでぜひ見てほしい。
そう考えるとサザエさんはやはり日常に徹したアニメなので劇場版は難しいのかもしれない。ちびまる子ちゃんも長い間放送されているけれども劇場版は3つしかないからだ。
けれども僕は夢でサザエさんを見て感動と映画を一本見終えたような満足感を得ることができた。
これはもう実質、存在しない劇場版サザエさんを見たのと同じかもしれない。全世界でたった1人だけだ。
やった〜〜〜!!!!!!僕だけだ〜〜〜!!!!
わーい!!!わーい!!わーい!
最高。
独り占めだ……。
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やっぱり自分1人で楽しむのもいいけれど、誰かと共有できないのは悲しい。
なんて虚しいんだ。盛り上がって損をした気がする。
あぁ……。あれ、何だか涙が……。
存在しない劇場版サザエさんを見て僕は泣いた。
※2019.07.09 追記
エッセイ内ではサザエさんのアニメ映画は1つもないと書いたのだけれども、よくよく調べたらサザエさんの映画は1975年の東宝チャンピオンまつりで唯一劇場公開されていたらしい。間違えた情報を記載して申し訳ありません。ただこのときも過去に放送された回を劇場用にブローアップしたものでサザエさんで映画を作るのは難しそうだ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました! ご支援いただいたお金はエッセイのネタ集めのための費用か、僕自身の生活費に充てさせていただきます。