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26コマ男の受講レポート(1)

前回の記事更新からかなり日が空いてしまいました。春休みですから理論上更新頻度は上がるはずなのですが,そうも行かないのが人間というものですね。すみません。

本日は今期僕が履修登録して受講した授業の内容と感想を述べたいと思います。と言っても1つの記事につき1つの授業,としてしまうと26本の記事を書かなくてはならないので一部は省略します。
今日は物理系の必修科目について。

電磁気学Ⅰ

東大は電磁気学が1年生の必修科目に組み込まれていて,通常そこでマクスウェル方程式まで学習します。マクスウェル方程式がゴールに設定されるので,4本のマクスウェルの方程式の物理的意味(ガウスの法則や電磁誘導など)が理解できていれば上出来です。
一方専門科目の電磁気学Ⅰではマクスウェル方程式の"変換性"に注目します。電荷が,走っている僕から見て静止して見えるとすると,止まっている人にとって電荷は動いているはずです。つまり電流が観測されるはずです。電流があるということは磁場があるわけですが,僕には静止している点電荷しか見えないので磁場なんて僕は観測できません。
あれ?何かがおかしいですよね。実はコレ,特殊相対性理論の自然な導入になっています。「電磁気学Ⅰ」という科目ですが内容の8割は特殊相対性理論の話です。
とても内容的に面白いのですが,26コマ履修がゆえ復習にそれほど時間を取れなかったのが心残りです。春休みにやりますかね。

解析力学

F=ma。この式は物理をよく知らない人でも見たことがあるのでは?これは力を主役にしたベクトルの方程式で,様々な運動がこれで記述できます。これでも良いのですが,摩擦や空気抵抗が無い場合はエネルギー(のようなもの)を主役にしたスカラーの方程式に書き直せます。オイラーラグランジュ方程式や,ハミルトンの正準運動方程式です。この変形の過程が数学的に少し難しく,解析力学理解の第一関門になっています。さらに苦労して変形した割にはそのメリットが分かりづらいということもあり,解析力学はあまり人気のある科目ではありません。そのありがたみが分かるのは電磁気学や量子力学の学習が進んだ段階なので,もう少し先です。


物理数学Ⅰ,Ⅱ

物理を理解するにはある程度の数学が必要です。ですが,数学の証明や議論を厳密に追っていくとそれだけで疲弊してしまいます。この物理数学は物理を専門とする教授が,証明の一部を直観や図に任せてショートカットしながら数学を使えるようにする,といった科目です。僕にはこのノリが心地よかったのですが,数学科開講の「複素解析学Ⅰ」ではその厳密さに洗礼を受けました。「曲線とは写像の同値類である」みたいなところから始まるんです。教科書を読みながら(もういいじゃん…)と何度思ったかしれません。

物理学演習Ⅰ,Ⅱ

火曜日と木曜日に物理学演習Ⅰ,Ⅱという科目があります。講義で学んだ解析力学,電磁気学,量子力学,物理数学に関連する問題が毎週出題され,1週間後に当番の学生が解説する,という授業です。ここで出される問題はかなり難易度が高く,解答を作成するだけでもかなり大変です。さらにそれを優秀な学生に突っ込まれないような発表に仕上げるのはかなり神経を使います。


物理系科目で実感するのは学科同期の優秀さです。何度かこのブログで言っていますが,僕って物理が好きなんですよね。そういうわけで物理系の学科に進学したのですが,当然周りも物理好きで溢れているわけです。理一の頃は自分は物理が得意な方だと思っていましたが,専門課程になってくると怪物の存在に気付かされます。まず授業中に学生が繰り出す質問が高度なんです。教授が取り上げた定理の反例をすかさず提示して板書の誤りを訂正したり,物理のより発展的な内容との関連性を自らの仮説とともに質問します。
質問についていけないこともしばしばです。

書きながら「こんな記事誰が読みたいんだ?」と疑問に思ってしまいましたが,たまにはこういうのも良いかもしれませんね。反応を見て(2)を出すか決めます。
ところで明日から国公立大学の入試が始まるらしいですね。僕には全く関係無いですが一応受験生に合わせて明日は朝5時半に起きようと思います。
そして26日に東工大後期入試の後編を公開します。では。


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