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【リアルな方】よく燃える推しを思う

「それは中傷だ」と言えば「正当な批判だ」と言う。
「がんばれ」と言えば「信者だ」と言う。
「中傷はやめようよ」と言えば「批判がクラブを強くする」と言う。
こだまでしょうか。いや、どこがやねん。なんも合ってないやんけ。

毎年、オフシーズンは肩身が狭い。ま、2020年はシーズン中も狭かったんですけどね。笑えねぇわ。
いつもいつも、どこもかしこも「藤春不要論」が唱えられている。スタジアムで石を投げれば藤春不要論者に当たるんじゃないだろうか、ってレベルだ。当然ながら期待してるファンは少ない。いたら天然記念物に指定していいと思う。
まぁ、力不足を否定する気はないんだけどさ。独力の仕掛けとか、ビルドアップとか、彼らがぼろくそに言っている部分が実際に足りていないことは、素人のわたしでもわかる。同じポジションをつとめるほかの選手が優れているなら、誰だってそっちを使う。チームに求められるのは結果だ。それだけは間違いない。
でも、見ているこっちはなかなかしんどい。一つのミスをあげつらって「戦犯だ」と言ったり、あろうことかチームの勝ち負け関係なく「クラブに不要」「引退しろ」と言う人がいることを、悲しいかな、よく知っているからだ。論理があれば納得はするが、そんなものもなく汚い言葉をぶつける人も多くいる。そういう言葉が見えないようにしていても入ってくるのだから、選手本人にも届いているのかもしれないな。わたしは思う。SNSアカウントは化石だけど、Softbankの甲斐選手は中傷の手紙が送られてきたっていうし。

会社で「お前無能、辞めちまえ」と言われたらそれは問答無用でパワハラなのに、スポーツ選手って恐ろしく寛容だ。反論しないどころか、ありがたいご意見だと言ってくれる。なにくそと奮起したと言えば美談にさえなる。本当に彼らは親切だ。わたしが藤春なら、とっくに「要らない」「引退しろ」って言ったアカウント一つ一つに情報開示請求をかけて訴訟を起こしてる。引退後に本当にやってほしいぐらいだ。消滅時効は名誉棄損が3年、侮辱罪が1年。親告罪なのでちと厳しいが、下手したらセカンドキャリアを遊んで暮らせるかもしれない。
信者になるつもりはない。いや、なってもいいと思うけど、ファンが妄信的だともっと叩くでしょ、そういう人たち。ただでさえ低い株価が自分のせいでさらに下落したら、もう首を括るしかないじゃないか。彼が不動のスタメンであれと願うわけではなく、全肯定するわけでもない。単に応援したいだけなのだ。「まだやれる」「がんばれ」って。「藤春は終わった選手」「もう限界だ」ってよく聞くけど、選手はいつでもその限界を超えるために、傍観者では想像もできないほどのトレーニングを積んでるんじゃないだろうか。

中傷が増えようと減ろうと平気な顔で走り続ける選手である。メンタル面は本当にタフだ。そうじゃなければ彼の選手生命はきっと2016年に終わっていた。ツジトモさんの『GIANTKILLING』(講談社)の中で椿がSNSで叩かれてたけど、リオ五輪を思うと他人事だとは思えない。
今回は10年応援してきた選手でありとりわけ中傷がひどいから彼を例に挙げただけであって、藤春に限らず選手たちはみんな何事もない顔をしてくれている。もちろん監督もだ。みんな本当にタフだよなと感心するしかない。

こんなことを書いたとて中傷は減らない。単なる徒労、お気持ち表明。要するにお前が見ていてきついだけだろと言われれば「そうです」と言うしかない。いじめをスルー出来る性格じゃないのだ、残念ながら。
意味のないことかもしれない。いや、多分無意味なんだろう。でも願わずにはいられない。理由なき中傷は悪に変わりはなく、利害のない誰かが「よくなりますように」と祈ることは、決して悪いことではないと思うからだ。

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