通販商品の梱包材廃棄量低減に向けて

はじめに

インターネットで商品を購入するということが当たり前になり、さらにコロナ禍によりその傾向は拡大しています。それにより宅配するために必要な段ボールや緩衝材などの使用量も増加してしまいます。

かつて家に商品を届けてくれるものといえば、牛乳やお寿司の出前などでした。それらの商品はリユースできる容器で届けられていることが多かったことを思い出します。

当時はなぜリユース容器が使えていたのでしょうか?2つの理由があると思います。1つめは、お店とお客さんは1対1で繋がっていたことです。商品の販売者は配送もしていたため、容器が空になったころを見計らって回収に行くことが出来ました。2つめは取扱商品が少なかったことです。牛乳屋さんなら牛乳、お寿司屋さんならお寿司用の容器があれば事足りていました。

現代においては、お店と顧客の間には複数の物流拠点や会社を経由しているため、誰が容器の回収をするのか・回収したとしてもどこに返却するのかが不明確なため非常に困難です。また商品は多種多様なものが取り扱われている為、それにあわせて膨大な種類の容器を開発・保有する必要があり大きな負担となります。

このようにリユース容器を現代の通販商品に活用することは非常に難しいため、足元の廃棄物を低減するためには使用する梱包材の量を減らすことが、すぐにできることではないでしょうか。

廃棄物を減らすためにできること

①最適な箱サイズを使用する
商品を入れる箱を無駄に大きい物を使ってしまえば、それだけ廃棄される段ボール量は増えてしまいます。商品を梱包できる最小の箱を使用することが大切です。箱サイズが適正であれば、箱の中に発生する隙間も最小になるため緩衝材の使用量も減らせます。

どの箱を使用して梱包するのかの判断を、作業者に任せてしまっている場合は注意が必要です。なぜなら作業者は往々にして、大き目の箱を選んでしまうからです。なぜ大き目の箱を選んでしまうのでしょうか?それは、梱包開始後に箱が小さいとなれば、梱包をやり直す必要があるため、このやり直しを防ぐために(やり直したくない)大き目の箱を選んでしまうからです。こういった状況にならないために、商品ごとの箱を事前に決めたり、AIによる箱選定システムを導入することなどが必要です。

AIが適切な箱サイズを選定することが出来るようになれば、作業者は考える時間が減るため作業効率は上がります。また箱が小さくなれば、輸送費も当然下がります。また使用する梱包材の量も減るため、資材の費用も下がります。廃棄物量の低減だけでなく、様々なコスト低減にも繋がるため、この適切な箱選びというのは非常に大切です。

②箱を入れるための箱を使わない
商品自体がしっかり包装され、頑丈な箱に梱包されている商品でも、わざわざ出荷のためだけに別の箱に入れられることがあります。本当にこの箱は必要でしょうか?例えば家庭用プリンターなどを想像してみてください。

出荷情報がのったラベルを、剥がしやすいものにすることで、商品の箱に直接貼り付けてしまえば、配送のためだけの段ボールを削減することができます。

箱自体にも商品価値を感じる消費者もいることは事実ですが、一方で多くの消費者は廃棄物低減が目的であると理解すれば、現在ではこういった活動はすんなりと受け入れられる空気はすでに醸成されているのではないでしょうか。

③環境負荷の低い材料で作られた梱包材を使用する
リサイクル材で作られた段ボールを使用したり、植物性由来の材料で作られた緩衝材を使用すれば、環境負荷の低減につなげることができます。使用量が減らせないとしても、環境負荷を減らせる梱包方法がないかという視点です。

こういった環境負荷の低いものは、一般的に高価格であることが多いです。そのために使用することの障壁になりがちです。ですので①で紹介したような活動をすることでコストを下げて、その分を原資として使い、環境負荷の低い資材を使えるようにしたいところです。

さらに廃棄量を低減するためには

今回紹介した方法は、リユース容器が使えない前提でした。しかしやはり大きく廃棄物を減らすためには、難しい状況にあるもののリユース容器を活用することが必須です。導入が可能なパターンとしては2つ想定されます。

1つ目は商品をコンビニや街の宅配ロッカーに届ける場合です。この場合は、コンビニや宅配ロッカーに届けるまでは商品をリユース容器に入れて、配送。コンビニや宅配ロッカーには商品だけを届け、リユース容器はそのまま出荷元に戻す。この方法は導入ハードルはそれほど高くないかもしれませんが、コンビニや宅配ロッカーへの配達料はそれほど多くないため、効果もそれほど期待できません。

2つ目はリユース容器を開発/保有/回収/点検/供給するサービスを行う会社が今後出てくるのではないかと期待しています。商品を出荷する会社は、リユース容器会社へ容器を発注し、その容器を使って出荷する。つまり従来の使い捨ての梱包材と同じように必要な種類を必要な量を発注をするだけなので特に難しいことはありません。商品を受け取った消費者は、コンビニや宅配ボックスにリユース容器を返却。リユース容器会社は返却された容器を回収し点検し(必要であれば修理し)、保管。容器のオーダーが入れば、容器を出荷するという流れです。消費者が確実にリユース容器を返却してもらえるようなスキーム作りが一番の肝になると思われます。

インターネット通販は大変便利で、もはや重要な生活インフラともいえる存在です。この大切な仕組みをサステイナブルなものにするためにも、梱包材の廃棄量を減らせるように、消費者まで含めて協力して取り組んでいく必要があるのではないでしょうか?

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