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私がラグビーを撮る理由

追記(2023/10/22)
記事を書いてから何年も経過していますが、見てくださってありがとうございます。この記事を見直すと、いまだに色々な感情を抱きます。
一番カメラが嫌いになりそうな時期がラグビー撮影の中にありました。
ですが、ここを乗り越えたからこそ今があると感じています。


2015年から社会人ラグビーチーム専属で撮影させて頂いています。
それまではラグビー撮影の勉強としてトップリーグチームのオフィシャルフォトの下で3年間撮影技術を学んでいました。

それまでスポーツを撮ったことがなく動くもの(犬や馬)が撮れるからラグビーも撮ってみようかな?という感覚で始めたのが2012年でした。

撮影するチームを今のチームに変えたのは自分の意志です。
写真に対する思いの面で今までの環境と合わなくなったのが一番です。
【教える】【教わる】関係があったので【教わる】他の人たちから今もう本当思い出したくないけど【先生に嫌われたくない一心でいたい】っていう感覚と【そのためだったらなんでもやる】という雰囲気もあって。まるで【いじめに似た精神環境に落とされる】事もありました。
撮れるようになると撮れない人は撮れる人を時に妬む人もいるというやつです。
これはこの環境に限ったことじゃない。

正直いじめに遭うとか小中学生で終わったはずだと思ってたのに、大人になって辛かった独特の気持ちをここで思い出すとは思いませんでした。
食事がまともに食べられなくなったり、フラッシュバックしたみたいで時々頭かきむしって毛布に顔埋めて叫んでたりしました。

未だに客席から私が撮影している写真を撮ってネットに上げて『こいつムカつく』って書かれてますからね。あーすごいことやってんなみたいな。名誉毀損も甚だしいですよね。
ちゃんとこっちも知ってますよ。やってんの。
悔しいんでしょ。ただ、こういう事をする人はいつかこれと同じ程度自分に必ず帰ってきます。因果応報は本当にありますから。

話が逸れました。

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私が撮影している理由。
長い人生の中での短いラグビー選手期間。引退してもその時のことをいつでも思い出してもらえるような、ご家族や友人の皆さんとシェアし続けてもらえるような写真を撮りたいから。
なんです。そしてラグビーを撮影しているのは試合は闘志のぶつかり合い。
こんなに迫力あるスポーツがあったのか!と思ったと同時に試合が終われば敵も味方も関係なくなる瞬間が何度見ても、いい意味でおもしろいんです。
「さっきユニフォーム掴まれてその手をバチン!!って叩き落としていたのに試合後に笑顔で喋れてるその切り替えというかギャップよ!!!」みたいな。
また 5年もカメラ構えさせていただいていて、下部リーグからゆっくりでもしっかりと上のリーグに上がっていけて日本最高峰のトップリーグ昇格までを見届けているから撮影もできているんじゃないかなと。

ラグビーも1人ではここまで出来なかったスポーツでしょう。
スマホの写真なんかで喜んでくれない事だってあるかもしれない。
ご両親をはじめとするご家族、ご親戚、恋人、友人に対して今はインターネットで幅広く【個】発信することができるようになった時代です。
『僕 このチームでラグビー頑張ってます!』
試合会場へ足を運べなかった大切な人たちに対して発信するには写真のチカラはすごく大きいと思っています。
ピッチに上がった選手は可能な限り全員撮ります。
そして選手を支えるスタッフや、その日に試合に出れなかったけど裏方としてサポートする選手も見つけたら撮ります。
時々遠くで見つけると望遠レンズで撮ってしまうので「いつの間に撮ってたんすか!」みたいに驚かれることも。
一部の選手やスタッフには少しよく見かける傾向だなと感じたのが単身赴任でチームに尽力されているスタッフがいること。
大好きな家族と離れて暮らし、お家を守っているご家族は外出が容易でないケースもあると思います。
距離があればなおさら。試合を見ながらも選手をサポートしているスタッフとしての姿は試合でプレーをする選手よりも隠れがち。
オフになるたびにおうちへ帰るスタッフさんのお土産の中には私が撮影した写真も一緒だそうです。
お子さんが「リビングに写真を突然貼り出すんです(笑)」って話をしてくれる姿も、笑顔。
やっぱりそのチームに携わっていたということは文字やその人の言葉に写真もあれば全然違って来るはずですよね。

関西に撮影で出向いた時 声を掛けてくださった選手のお母様、『孫のラグビー姿が見たいと私の母が常々話をしていました。ラグビー雑誌に写真が載るようなリーグではないから試合の姿が分からないんですよね。その時に母が眺めていた写真はあなたが撮って下さった写真です。母は足が良くないのでここ(試合会場)まで来ることが出来なかったけど、写真をいつもとても楽しみにしています、ありがとうございます』試合後でお名前を伺う余裕もなく、新幹線の時間も迫っていたのでお礼を言うことしかできなかったのに、私に声を掛けて下さって本当にありがとうございました。この場で申し訳ありません。
帰りの新幹線の中で嬉しくて泣いていました。
写真の整頓をするのにパソコン立ち上げても画面が涙で何度滲んだことか。

こういう言葉をいただけると【写真って何のために誰のためにあるのか】っていう部分が分かる気がします。あくまで私の撮り方の場合ですが。
趣味なら自分がいい!と思ったものをとことん突き詰めて撮影すればいいと思いますし。
私の場合は自分がいい!と被写体の相手がいい!がコラボした写真作りです。


オフィシャルの撮る写真ってハイライトばかりになりがちだと思うんです。
もちろんかっこいいし、新聞一面ネットニューストップのようなカッコいい瞬間を切り取った写真ってこの人じゃないと撮れないよね、っていうのたくさんあります。
でもハイライトの写真って見てもすぐお腹がいっぱいになっちゃうと思っています。
それと、お願いされた写真しか撮れないという条件でカメラを構えている人もいます。私はこういうのすごくつまらなく思ってしまいます。

チームからの条件や環境によっては公式戦しか撮影を任されないことも。
チームには15人以上確実にいるわけで
ポジション争いに勝てずに公式戦の舞台に立てない選手もいる
練習試合に出場のチャンスがあった時に自分の写真がない

試合後の集合写真じゃなく選手の周りの人たちが、本当に見たかったのは試合中のその人が頑張っている写真。選手本人が欲しかったのもラグビーをしている写真のはずなんです。

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私の場合ですが
1試合での写真撮影はミス含めて1000枚程度になります。
これでも、減ってきました。
数打ちゃ当たるの考え方って競技者に対して失礼だと突然感じたからです。
これをLightroomで全て確認・現像してミスショットを省いたりします。
これをチームと共有しているWebアルバムでシェアします。
試合終了後36時間以内に選手が見ることの出来るように整えます。
ここまでしてカメラ構える人もそういないでしょうし、本当にそのチームのためにという思いがないと出来ない事です。
でも、選手もスタッフもすごく喜んで下さいます。

撮影者の地位・名誉・お金のためにあると豪語している人も未だに少数存在していますし、こういう考えがベースにある人はいつか崩壊するはずで、実際 崩壊しそうな人やした人も見て来ました。
例えば雨の試合ってピッチに水が少し溜まると選手の走るボール蹴るトライするとかで水しぶきがすごいんです。
シャッタースピードを上げればその水しぶきの迫力を全てカメラにおさめることが出来ます。
試合中『もっと走れ!』『水しぶき出せよ!』と言いながら撮影する人が今もいるんですよ。
本当に私からしたら信じられない。こういう事思ってても言わないでしょ。
ああ、脳の暴走だ。

報道や雑誌などで撮影している人がチーム付になるとこういう考えが強めに出るのかなとか。こういう人は正直なところチームオフィシャルに向かないと思います。
協会が提示している撮影ルールを守れなかったりもするし。

なので私と考えの合わないフォトグラファーほど「お前まだここで写真撮ってんのかよ」「辞めちまえ」「(4)ねよ」とまで言われます。
地道に築き上げてきても理不尽に崩されてしまうようなことは不定期に起きます。
言わせておけばいいです。前半にも出しましたが因果応報ですよ。

でも、ずっとカメラを構えていける人は写真に対する想いとして撮影者優先ではないはずです。どういう人が結果選んでもらえるフォトグラファーなのかって。
様々な立場に立って物事を考えられる人の方がいいと思います。
暴言吐く人ほど、自分に不安があるんだと思っています。

だから、こういう部分も含めて競技者にも知ってもらう活動もしています。
もっと写真を大切にしてほしいし自分の写真に対する思いは定期的に文字にして共有しています(クラブハウスに貼り出してもらったりしています)。

ここまでになるには選手やスタッフと話をすることでそれぞれの背景を伺い知ることも。オフシーズンには食事をしたりしてインタビューしたりする事もあります。
選手とご家族に撮影モデルしてもらって家族写真を撮影しながらお話を聞くことも。頂戴した言葉を時々思い出し、初心に戻って撮影に全力を尽くせます。

なので、ラグビーの関わらずなのですが発注元の皆様へは
マネージメントする人、コーチングする人、プレーをする人、応援をする人というのはスポーツに限らずですが記録にあればいい、知名度を上げるためのハイライトな画質のいい写真があればいいという気持ちだけで発注しないで欲しいです。
「あの人にいつもお願いしているから」しか理由がないなら一度考え直してみて頂きたいくらいです。
撮影する側もカメラの知識を深めるために様々な機種を触ったり撮影してみたりですごく頑張っている人が多いんです。その写真1枚の瞬間で その人の長い人生の中での一瞬が写真として記憶にも記録にも残るための大切なツールだと思って発注してもらいたいし扱ってもらいたいです。

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選手にとって写真に残せているということは、その人の将来につながっているものですから。

サポートいただきありがとうございます。 愛玩動物飼養管理の基礎に忠実に、一人でも多くのペットのご家族へ正しい知識を広めることができるための活動に使わせていただきます。