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書く仕事で食えていなかった、去年の8月の私へ

自分が書いた記事が一本でも掲載されたら、それはもう「ライター」なんだろうか?
たとえ執筆料だけで生活できるほど、稼げていなかったとしても。

こんな書き出しで始まる文章を書いたのは、去年の8月のこと。ライティング講座を受講していた天狼院書店のメディアに寄稿した、「書く仕事で食えていない私が『ライター』と名乗る理由」というエッセイだ。

10年近くの会社員生活を経て、何のアテもなく会社を辞めてフリーランスになった。仕事が全然なくて貯金はすり減る一方なのに、健康保険や税金の請求も来るし、もう不安で不安で仕方がなかった。

生活が成り立つほど安定的に稼げていないのに「ライターです」と名乗るなんて……という後ろめたさと、「それでも、誰が何と言おうと私はライターと名乗り続ける」という強がりと。当時の葛藤をオブラートにくるむことなく書いている。

少し長いが、エッセイの末尾の文を引用する。

昨日と比べて今日はこれができるようになった! というような、目に見える劇的な変化があるわけではないので、「少しは進歩しているのだろうか?」と、時々不安になる。

でも、どんなものでも、翌朝目覚めたら、いきなりものすごく出来るようになってました、なんてことはない。

まずは今ある仕事に、丁寧に向き合う。
フィードバックをもらったら、同じ指摘はなるべく受けないように努める。
実力が足りていないなら、せめて締め切りは守るとか、こまめに連絡するとか、当たり前のことではあるけど、できる範囲のことをきちんとやる。

待っているだけで新しい仕事が向こうからやってくるようなことはないので、自分からも営業をかけていく。
「過去に書いたものを見せてください」と言われたときにすぐ見せられるように、過去の執筆実績もWeb上にまとめておく。
仕事以外でも、毎日必ず文章を書くようにする。

そんな、ひとつひとつの、小さな積み重ね。
これをひたすら続ける。それしかないのだ。

ぱっと見ではわからない、一日1ミリ程度の変化だったとしても、一ヶ月続ければ3センチくらいは積み上げられる。

1ミリなんてやってもやらなくても変わらないよ、と思って何もしなければ、一ヶ月後も同じ場所のまま。

だから私はこれからも、自信満々にライターと名乗り続けて、毎日の小さな変化を積み重ねていこうと思う。

いつの日か、後ろめたい気持ちゼロで「ライターです!」と名乗ることができる日がくるまで。

このエッセイをツイッターでシェアしたときの文面がこちら。

このツイートをしている、去年の8月の私へ。あんな記事書いたけど稼げるようになったよね、という記事をまさに今書いておりますよ。と言っても、私よりも稼いでいるライターさんはたくさんいるだろうけど、少なくとも1年前よりは(当社比)。

仕事が増えたら増えたで、自分の制作物に費やす時間が取れずに悩んで、時間が欲しくて仕事を減らしたら収入も減り(当たり前だけど)、また不安になって。心穏やかな日々ではなかったけれど、最近やっとバランスが取れるようになってきた。

このエッセイを書いたときは講座に通う立場だったけど、秋に講師としてライティングの講座を持つことになった。(※通っていたところとは別の講座)講座の内容は8月の間ずっと考えていて、今日やっと大枠がまとまったところ。詳細はまた後日。

予想外の依頼に驚いたし、戸惑った。人に教えるなんて私にはまだ早いと思ったから。でも、ライターになりたてのころの不安や疑問を鮮明に覚えている今だからこそ伝えられることもあるだろうし、自分がやってきたことを棚卸しするいい機会だとも思った。何よりも「面白そう」と思ったのだ。講座の内容を考えるのは、いわば「企画」の仕事。頭の中に散らばっているアイデアを編み、講座の形に落とし込む作業を想像したら、ワクワクした。

ちまちまと続けてきた「小さな積み重ね」は、気づかぬうちに私の血となり肉となって、予想もしていなかった仕事も舞い込んだ。
今は「ライターです」と名乗ることに、後ろめたさは感じない。でもそれは「稼げているから」ではなくて、積み重ねを継続できたことで、ちょっとだけライターとしての自分に自信が持てるようになったからだ。自分の出来なさに落ち込むこともあるけれど、「ちゃんと積み重ねていけば大丈夫」と思えるようになった。

さて、ここらで1年後の予言でもしてみようか。1年後には、紙媒体の仕事をしているだろう。多分雑誌。あとLINEスタンプ販売してると思う。

1年後にこの記事のことを忘れていなければ、答え合わせの記事でも書こうかな。

……うーん、忘れそう。

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ありがとうございます!
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中村 英里

浅草出身のフリーライター。街歩き記事やインタビュー、エッセイを執筆|イラスト、写真、読書、純喫茶めぐりが好き|おさんぽWebマガジン「てくてくレトロ」運営→https://tekutekuretro.life |Web Site→https://2erire7.com/

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