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7.27 スイカの日

炎天下の中
僕は網に入れられてぶらぶらと運ばれた

八百屋の台で兄弟と別れ
僕は今ひとりだ

地面に近くてアスファルトの照り返しが熱い

このままうっかり落とされたら
ヒビの入った焼きスイカになってしまいそうだ

汗を拭く買い主の足取りはしっかりしている

こんなに大きなスイカは珍しいんだと胸を張ってくれた八百屋のおじさんに恥じないように僕は役目を全うするつもりだ

どうせなら棒で叩き割られるのもいい
勢いよく魂が飛び出せることだろう

美しいご婦人に綺麗に切り分けられるのもいい
最後に触れられるのが白く柔らかいゆびだったらそれも悪くないと思う

どんな家に行くんだろう

それにしても暑すぎるから
果肉が熱くなりすぎているから
出来れば庭に出した冷たいプールか
氷を張ったたらいなんかで冷やしてくれたら
スイカとしての最後の生を全うできるような

ちょっと高望みしすぎだろうか
ぶらぶら揺れて
飼い主の指先が紫色になっている

重くてごめんね
でもきっと美味しいからね

ただいまと言って開けた玄関の先から
小さい女の子の「おかえり」の声と走り寄る足音が聞こえて
この家は当たりだととても嬉しくなった

君をお腹いっぱいにしてみせるよ
僕を美味しく召し上がれ

夏の思い出の一ページに
僕を入れてくれてありがとう

7.27 スイカの日
#小説 #スイカの日 #西瓜 #詩 #夏 #JAM365 #日めくりノベル

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