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カンヌ映画祭、濱口竜介

 カンヌ映画祭が始まっています。

 カンヌは三大国際映画祭の一つですね。日本からは濱口竜介のドライブマイカーが出品されています。部門はコンペティション。7/6〜7/17の間に上映され選ばれる。
 審査員は著名な映画人や文化人ですが、あまり好き嫌いでは選ばれていない印象を受けます。
 ですから審査員長がスパイク・リーでも濱口の映画が受賞というのはおかしくないことです。映画狂のことをシネフィルと呼びますが、優れた映画にはある中央値がありシネフィルは自分の好みは置いといたとしてその中央値に沿った映画を評価するということをしているようです。映画史に沿ったとも言えますか。
 
 濱口竜介のドライブマイカーはとても楽しみな作品です。とりわけ現在の日本映画界では頭ひとつ抜けた監督ですから、寝ても覚めてもからコンペに出品は当たり前という流れ。
 存命の世界的な映画監督ではたけし、黒沢清、是枝に次ぐ存在と位置づけられますが、濱口の注目度は彼らを凌駕すると思われるものがあります。

 海外の映画監督でも続々と面白い作品を発表しています。アリ・アスターやビー・ガン、ロバート・エガース、アリーチェ・ロルヴァケルなどがそうですね。

 彼らの作品は何か一昔とは違うものを感じています。
 映画の歴史は登場してから100年経っています。その間に多くの映画が生まれた。100年ありますから浮き沈みはありますが歴史というのは優れていれば残そうとするもの。日本映画全体が低迷したとしても優れていれば出てきます。
 濱口もそうなのですが、前述した監督たちには時代の流れと一線を画した雰囲気を感じています。映画史がまことにテキストとなりテキストを読み込んだ上で距離を置いている。映画というもの自体にのめり込まず映画を作っているという印象です。
 これまでの映画だと自分の人生の中でリアルタイムで触れた作品に影響を持っていかれている作品が多く、とても息が詰まる思いがありました。日本映画はなおさら、影響を受けるというほどの作品があまりないので流れとしては堰き止められてしまいます。それでは日本映画復興は不可能であります。しかし、山中貞雄や内田吐夢、黒澤、溝口など、遡ればいるわけです。
 遡るためにテキストとして復習しなければいけない時が来ており、映画史全体を把握しなければならない、アーカイブが重要な時と考えれます。
 
 濱口竜介はそれを担っています。映画史を見ても重要な存在となる、すでになっているのかもしれません。日本公開は8月20日。ドライブマイカーに期待です。
 

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