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❾刹那

貴方がよく使っていた言葉。

今、が全てで過去も未来もあまり興味はない。
刹那の反対語が永遠だとするならば、貴方の中に「ずっと…」という言葉が存在していないことは容易に想像できた。
貴方は常に、次の場所に動き出す一歩前。
そんな生き方をしていた。次の刹那へ渡り歩いて、振り返ることはない。私は貴方の背中を追いかけた。

ねぇ。
貴方が永遠を望まなかったのは、終わりを知っていたからなの?私を傷つけまいとする優しさだったの?

いや、違うよね。
貴方はきっと、どんなに時間があったとしても、
永遠を誓うような人じゃなかったよね。
どんなに私を好きだとしても、いつか、サヨナラすることを決めているような人だった。

掴めない人。
堕ちない人。
憎めない人。
留まらない人。
解らない人。

だけど、最高にドキドキする人だった。
今でも、貴方のことを考えるだけで、こんなにも…


その甘さを覚えた私は、
今では貴方と同じ。

刹那的にしか、人と同じ時間を過ごせなくなって。
将来を信じられなくなって。
永遠を嫌うようになって。

明日を望まなくなった。

何も望まなくなった。


こんなにも、寂しい価値観も、貴方がくれた大切な
私の宝物。

読んでくださるだけで嬉しいので何も求めておりません( ˘ᵕ˘ )