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❸月

思い返せば、2度ほど貴方は反則を使ったと思う。

彼女と暮らす部屋から抜け出して、突然電話をかけてきたのが1度目。
月が見えます。とても綺麗だから、教えてあげようと思いました。なんだか、泣けてきました。
と、笑いながら話してた…。
その時、想像した光景と重なった歌が、
「月」by桑田佳祐

電話口で、貴方はホントに泣いていたの?
貴方の、私を求める気持ちが強かったあの頃。
常に冷静でいるように見えても、まだ20歳前の貴方。
ふいに、ストレートな感情をぶつけられると、どうしていいか分からなくなった。
気持ちがぎゅーっとなって昂った。

ゲーム中、貴方からは、私にメールをしてはいけないルールだったから。
あの時、電話をしてきたのは私がその晩、貴方にメールをしなかったからだよね?
ゲームに負けないように、だけど私と連絡を取りたくて…。そんな風に受け取っても良かったんだよね?

あの時に聞いておかなかったから、もう、その答えは永遠に分からない。

読んでくださるだけで嬉しいので何も求めておりません( ˘ᵕ˘ )