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現在の私(ノンフィクション)

15年前、私の全ての価値観を塗り替えた彼が、この世からいなくなった後、私はしばらくの間涙を流せなかった。事実を受け入れられなかったのかもしれないし、秘密の恋がバレてもいいと思えるほど理性が飛んでいなかったのかもしれない。いずれにしても、私が泣いたのは半年経ってからだった。

心の中は空っぽなのに、いつも通りの生活を送ることがどれだけすり減っていくことか、私はもう色々麻痺してしまってよく分からなかった。
朝起きて、家族と朝食をして、授業に出て、バイトして、帰ってきて、テレビを見て、お風呂に入って、眠る。たったそれだけの事がどれだけ苦痛だったか。


15年後の今、生活はあまり変わらない。
朝食は食べなくなったし、バイトではなくそれなりに責任のある仕事をしてるけど。
心に空いた穴は、他のもので埋めている。
楽しいと思う時間を過ごせるようになった。


現在の私は、ちゃんと生きている。
まだ死なずに、生きている。


そして最近、私は1人の男の子に出逢った。
生きていて良かったと、思えるかどうかはまだ分からないけど、一緒にいてこんなに楽しいと感じるのは、彼以来かもしれない。
この出会いが私のこれからの人生を、どっちの方向に向かっていくことになるか、実は少し楽しみだったりする。
君は決して私に溺れることはないけれど、その分ずっと、楽しく一緒に居られる可能性は高い。
そんな…未来への期待と、過去の記憶との狭間で、私は毎日、行ったり来たりを繰り返しているのです。

それが、
現在の、私。




読んでくださるだけで嬉しいので何も求めておりません( ˘ᵕ˘ )