大西みつぐ 中藤毅彦 ハービー・山口 3人展 「TRINITY - 街•人間•モノクローム」

大西みつぐ、中藤毅彦、ハービー・山口。 撮り方もプリントの傾向も異なる三人が、街で、人を、モノクロームで撮った写真を45枚。
小体なギャラリーにぎっしり展示。

題材が似通っていて、誰がどれを撮ったのかは明記されていない。
イルフォードと山ノ手写真の協賛が入っており、額装と紙質が揃っていることも拍車を掛けて、謎は深まる。

しかし、じっくり見ていると「対象との向き合い方」「距離感」「視点の高さ」「プリントの色味」などから、違いが見えてくる。
これは撮り手の異なる似通った写真を並べた展示方法もあると思う。
似通っているだけに違いも見えて来やすい。

誰が撮ったのか判然としないものと明らかにそれと分かるもの。 その違いは何処に有るのかなど考えていると、いつの間にか時間が経っていて、時間を掛けて見ることでなんとなく分かるようになって行く。
それがまた楽しい。

ハービー・山口の写真は、画面がスッキリ整理されていて、対象への眼差しが暖かい。 性善説に基づく写真。

大西みつぐの写真は変幻自在で老獪。 寄ったり離れたり、見上げたり見下ろしたり。
一枚の写真の中で並行して幾つもの物語が進行しており、画面内に詰め込まれた情報量に圧倒される。

中藤毅彦の写真は直情径行。 意思決定が速やかな上にも速やかで、待たない。
切り取った瞬間の中に、シャッターが開いていた以上の情報が詰め込まれている。

見れば見るほど、考えれば考えるほど発見が有る。
会期の間にもう一度見ておきたい。

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