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岡崎 牧人 写真展 「SAME SHIT DIFFERENT DAYS」

四谷、ギャラリーニエプスへ。

扉を開けると四方の壁に所狭しと94枚、額なし、直貼り、黒のパーマセルテープに英文でキャプション。

住まい働く夜の街と、そこで暮らす人々。 その繋がりで訪れたタイの田舎町と、そこで暮らす人々。
食べ物が、嗜好品やご褒美ではなく、生きていく為に摂取するものとして写っている。
要するに、美味しそうではない。 美味しそうではないが、何故か食べたくなる。

分かって撮られている人々。 必ずしも決定的ではない瞬間。 記録ではなく、記憶になった写真。
ヒリヒリするだけでなく、染み入るような優しさもある。
素面の被写体が増えた。「大丈夫なのだろうか」と気を持たせない安心感。
子供の写真が良い。 

日の高い時間の写真が変わった。
夜が明けて朝が来てしまったのではなく、起きてからの昼間。
生活サイクルの変化と、心境の変化。

撮ってからが先が長い写真。 良いネガが出来ている。
ざっくり撮って、ネガと向き合ってじっくり焼いている。

プリントがより丁寧になり、黒が締まって、黒と灰色の間、白と灰色の間の階調が豊かになり、写真の細部まで目が行く。
2019年になって増える、コントラスト低めのプリントが見ていて落ち着く。

撮り方も焼き方も試行錯誤の中にあり、印画紙も様々なのだけれど、一貫してノートリミング。
(広尾で撮った女学生のみ、一枚だけフチ無しプリント。)
撮った時に見えていた視界が、写真として固定されている。

語っていく人が多い。 語りたくなる写真ではあり、在廊時間も長い。
ぐるっと一と周り見て、もう一と周りすると、「こんな写真あったかな?」
見ていて見えていなかった写真が見えて来る。

「これは撮れないなぁ」と、岡崎牧人の写真を見る度にいつも思う。
踏み込み方、間合い。 熱さと冷たさ。 湿り気はあるが乾いてもいる。
乱暴なようで丁寧。

(2019.0614 記)

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