山崎真実+舞山秀一Photo Exhibition「silent」

札幌、小樽、美瑛。 この写真集の為に、冬の北海道で撮影されたもの。
「強めの露出カット」の文字列がネットニュースに踊るが、そうした写真もそうでない写真も、山崎真実の現在を糊塗せず暴き立てずに切り取ったものであり、美しく撮れている。

身に纏っている布地の面積の多寡が表情の硬軟には影響しないが、羞恥という形では現れるところは、役者としての仕事も積み重ねたからこそ出来ることなのであろう。
上手く歳を重ね、経験した仕事を別の形でも活かせている。

普段は被写体の為に撮るが、今回は自分の世界に「連れ込んだ」と舞山は書いていたが、その世界の中で圧伏せしめるのではなく、自由に泳がせている。
撮られ慣れている事と勘の良さが、プラスに働いており、相性も良かったのだと思う。

ベッドにうつ伏せで横たわるカットのみモノクロームで、あとは全てカラー。
クリップを錘にして、プリントは白い壁に直貼り。

見えている部分が多い写真は、見えている部分が雄弁に語り、
見えている部分が少ない写真は、見えていない部分が謎を投げ掛け、見えている部分が何かを仄めかし、解釈のヒントを与える。
ただならぬ何かを感じて立ち止まり、注視すると細部に答えが宿っている。

ボア付きのフードを被って雪の道で佇む横顔。
商店街でガラスに半分顔を隠すカット、etc...

私は隠された部分が多いカットにより惹かれたが、それも露出の多い写真との対比で活きているところはあり、全体としてのバランスが良い、見応えのある写真展だった。


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