マキ写真展「いづく/ MAKI -PHOTO EXHIBITION JAPAN SOMEWHERE」

午後から開く写真展なので、のんびりバスに揺られてギャラリーニエプスへ。
地下鉄での最寄り駅は丸ノ内線の四谷三丁目、都バスの最寄り停留所は早81系統と品97系統の四谷四丁目か四谷三丁目になるが、白61系統の市ヶ谷富久町が次いで近く、本数も多い。 坂を登るのを厭わない向きにはお薦め。

写真は人物と都市の風景を中心に。
客引きなのか、店の前に立つガールズバーの女店員。
祭り装束の下から彫り物の覗く(・・・と言うか見えている)三社祭の扇子を広げた人。
修学旅行生なのか、硬い面持ちで商店街のアーケードを歩く女学生。
迂闊に撮ると一と悶着も二た悶着もありそうな人々を、撮られていることを意識させつつ警戒も拒絶もされずに撮れている。
懐に入るのではなく、距離を保ちつつ会釈して別れる感じ。
興味と関心が素直に写真になっている。

都市の風景は、どの辺りを撮ったのかは分かるが「何処から」撮ったのかが判らず、首を捻りつつ見る。

高い塔から見下ろした塔の影。 東京タワーかと思ったが、違う。 よく見ると道路だと思ったものは川だった。
十間川!! 影の東への伸び方からして午後から夕方にかけての時間であろう。

高いビルから隣のビルを撮った写真。 ビルの陰からニョロリと尻尾のような何か。
吾妻橋のアサヒビールのビルの屋上に横たわるアレであった。

左に芝のプリンスホテル、右に東京タワー。
これを見下ろすような高さから。 貿易センタービルである。

住んでいると行かないが、行って登れば都市を俯瞰できる。
そんな場所から俯瞰した東京。 見せられて初めて気づく住んでいる都市の姿。

このように、写真の中に何かしら引っ掛かる棘のようなものがあり、その正体を探し、考えて凝視するうちに見えては来るのだけれど、思いもしなかった角度゜から切り取られた風景の違和感は残る。 違和感と言うか敗北感と言うか。
多面的なものであることを分かっているつもりになっていたあれこれを、偏った面からしか見ていなかった事を思い知らされる。

ひとしきり悶絶に近い形で唸らされて、後味は悪くない。 やる気が湧いてくる。
見に行こう。 撮りに行こう。 都市の鉱脈は豊かだ。


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