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TIF2019全国選抜LIVE 関東・北陸Bブロック 決勝ライブ

私自身は TOKYO IDOL FESTIVAL と言う催しの意義について懐疑的と言うか、出ることに意味が有るとは思っていないのであるが、では世に知らしめるために別に何かが取っ掛りとして有るかと言うとそうでもない。
「絶対出たいんです」と言われれば否やは無い。

会場の渋谷WWWX、消防法上の定員がどうなっているかは知らないが、私のチケットが400番台。
500からは入ったものと思われる。

14:30、ほぼ定刻に開演
フジテレビ榎並大二郎アナが司会。
システムが複雑なので諸注意が長い。

準決勝Aブロック

14:40、スタート。
持ち時間は各15分ずつ。

PUPUPU81(ぷぷぷエイトワン)
3人組。 客のライトは全てピンクで統一。
コール指示はうちわで出てくる。統制うちわ。

音は薄めだが、シンセとギターで出来た分かりやすく盛り上がれる曲を並べてきた。

飛び道具は使わず、可愛い女の子が可愛く歌い踊る様を眺めると言う、アイドルと言う物の基本に忠実。
この7日で二周年。 去年は予選で落ちたとの事で、本線に出られた喜びを口にしていた。

約1分のインターバル、ここで客が入れ替わる。
これはライブハウスを主戦場とするグループが多いのと、平行物販なのと、箱の容量に対して客が多いのと、様々な要因が絡んでそうなっている。

キミノマワリ。
7人組。
生歌感は薄く、ソロパートでは屡々ドッペルゲンガーが出現する。
歌詞に繰り返しが多く、7人を4:3に分けたフォーメーションも単調、振り付けもパーツの種類が少ない。
全員同じ動きをする振り付けが多いのだけれど、なかなか揃わない。
頑張っているのは伝わるのだけれど、裏方の仕事の至らない部分が出てしまっていた。

HAPPY♡ANNIVERSARY
影アナで煽ってから オーバーチュアに乗って登場。 揃ってから一曲目。 疾走感で盛り上げるものを揃えて三曲。
このあたりの構成は巧い。

四人が目まぐるしく立ち位置を変えて舞台狭しと歌い踊る。
1:3で「歌っている人」「踊っている人」に分かれ、振り付けは共通。
歌割りを細かくすることで単調に見せず、四人共歌えているので音量に凹みが出ない。

BPM早めで歌割りフォーメーションも細かく、歌い方はあざとめの癖がある。
拳突き上げ系の煽りを多用するのだけれど、煽りの声もあざとく。

振り付けのパーツが少なく、フォーメーションもほぼ1:3。
竹中夏海が「偶数は難しい」と語っていた記憶が有るが、変化か少ない。
このあたりはセルフプロデュースの限界か。

Spindle(スピンドル)
縦ボーダーと横ボーダーを組み合わせたダズル迷彩のような衣装が面白い。
ローラースケートを履いている所為か、上半身のみの振り付けが多い。
よろめいたり危なっかしい挙動は無いのだけれど、縦横無尽に滑るわけでもなく、ローラースケートの特性を活かした見せ場としては時折見せる高速スピンのみ。

曲によっては多少滑ることも有るようだが、活かしきっているとは言い難い。

籾山ひめりは自己紹介でラストアイドルと兼任であることを公言していたが、相乗効果としては本人の舞台度胸だろうか。

準決勝Bブロック

16:10〜、スタート。

Dan te Lion
ノンストップで三曲。
煽りが振りに組み込まれていたり、自己紹介曲がラップだったり、カッコイイに振り切っていつつ、「みんなで一緒にオーイング」などの慣用句は切り捨てない。
客の自発性・自由意志より命令に依る統一に重きを置く進行。

揃える事より振り切る事を採り、聞かせる事より叫ぶ事を採る。
激しさと勢いで押し切ろうとする猪突猛進型。
「まだまだ足んないよ」「お前らそんなもんか」と執拗に煽るのだけれど、上滑りしたまま終わった。

きゃわふるTORNADO
客の熱量はこの日一番。
聴かせる曲も組み込み、客も聴くべきところは聴く。

客の声援に歌声が負けない。
それは聴かせる歌を歌えているからでもあり、オケがこのライブハウスのスピーカーを適切に鳴らせているからでも有る。
重低音を過度に強調せず、様々な楽器の音がきちんと聞こえる。
これが出来ている送り手は、残念ながら他には居なかった。

六人分の振り付けが別に用意されている場面も、他では見られなかった。

客との掛け合いも、押し引きが出来ている。
指示は出すがしつこく煽らない。恫喝しない挑発しない。
それぞれの自己紹介もカット、「きゃわふるTORNADOです」と名乗るのみ。

「この後もまだまだ楽しんで行きましょー」と言い残して去って行った。

東京23区ガールズ
オケのバランスが悪く、ドラムンベースに他の音がかき消されてしまう。
その所為か、オケより歌が走ってしまう場面も。

巧拙より元気の良さで押してくる歌声。 メモには「ユニゾン絶叫」とある。

フォーメーションなどの切り替えは特に無く、終始群舞。
振り付けの難易度は上げていないので、いつもの客でなくても踊りやすい。
その辺り、とっつきやすさはあって、初見の客も巻き込んで盛り上がる。

和やかな空気は伝播し、自己紹介は場内の客も座って聞く。

鈴音ひとみ
ビブラートを多用したこってり歌唱。
歌声とオケのバランスが悪く、歌だけが突出。
ほぼ全ての演者のオケがそうだったが、普段使っているライブハウスに合わせてか、低音を強くしすぎている。
よくよく聞くと、様々な楽器が奏でられているのだけれど、残念ながらスピーカーが鳴ってくれていない。
鈴音ひとみの場合、曲ごとの録音レベルすら異なり、オケの音量が変動。 技術と知識が追い付いていない、セルフプロデュースの悲哀。

ソロアイドルには厳しい時代だが、此処まで勝ち上がってきたのは、一人で多くの客を掴んできたからだと思う。
電光スケブでコール指示を出すなど、客はいじらしいほど頑張っていた。

持ち時間は十五分の筈だが、長めに喋りつつ四曲。
些か長かったようには感じられた。


8組終わってそれぞれの結果発表。
Aブロック一位はPUPUPU81、二位はSpindle。
Bブロック一位きゃわふるTORNADO、二位Dan te Lion。

Aブロックはそれなりに牧歌的だったが、Bブロックはノーガードの殴り合い。
カードの組み方がそうなっている。

この四組で決勝となる。
出演はAブロックの二位、Bブロックの二位、Aブロックの一位、Bブロックの二位の順。

決勝

Spindle
曲順が間違っており、仕切り直しになったり、結局その曲順でやることになったり、あたふたはしたが動じず。
舞台度胸は良い。

Dan te Lion
気合が入っているのは分かるが、挑発的な煽りを執拗に続けられると醒めてしまう。
個々のレベルは水準以上なのだけれど、激しさに振っている分精度は落ちる。
見せ方一つで魅力は伝わり易くなると思うのだけれど、一本調子なのが残念だった。

PUPUPU81
「正直、ここまで残れると思いませんでした。」
実に正直。 しかし、残るだけのことはあったと思う。

準決勝より決勝の方が目に見えて出来が良く、一日で大きく成長していることが見て取れる。
尻上がりに良くなり、三曲目は見違えた。

共演者やその日の客との相乗効果で、演者が化けることがあるが、まさにそれを目の当たりにした瞬間であった。

ここまで残れると思っていなかったが、残れた。
その喜びが演者を輝かせたのだと思うし、今日の経験は大きな自信になるだろう。

きゃわふるTORNADO
入れ替わりのインターバルで客が引いて行き、引いた分別の客が入ってくる。
盛り上がるのは目に見えているので、それを避ける客、それを求める客。

オケの出来の良さもあるが、歌声が最後方まで「歌声」として届いている。

語るが如く歌う石川野乃花が下から聴かせ、杏斉ゆかのハイトーンが上から降りてくる。
杏斉ゆかに至っては、煽りまで澄んだ声で届く。

命令口調になりがちな煽り文句の中で異彩を放っていたのが、道地文子の「踊れ〜」。
牧歌的である。

「楽しむ」と「楽しませる」の程よいバランス。
宮瀬しおりの「ごきげんな笑顔」が、場を明るくする。

人事を尽くすとは将にこのこと、六人全員が、自分の仕事を全うしていた。

最後は神咲くるみが思いをきちんと言葉に。
「楽しかったです。」と〆。

最終投票から結果発表

4組終わって最後の投票。
投票箱はスタッフ二人体制で管理。

・一枚ずつしか入れさせない
・二点の用紙をを投じた人には必ず一点の用紙も入れさせる
・片方しか持ってなかったら受け取らない。
・束で受けとるのはグッズ券のみ(それもばらしてチェック)

実際、怪しげな挙動の投票もあり、選管がチェックして、いちいち跳ねていた。
跳ねている事を見せることで不正を抑止。
装置は簡素だったが、管理は厳密だった。

開票の結果、一位はきゃわふるTORNADOとなり、TIFの出演権を獲得。

「セカンドチャンス」なる、各ブロックの二位を集めた敗者復活戦めいたものが行われるとの事で、Dan te Lionは優先出場権を付与されていた。


きゃわふるTORNADOのライブとしては、過去最高を更新した素晴らしい出来だった。
どこまで対策をしてきたのかは分からないが、WWWXのスピーカーをきちんと鳴らせていたのはきゃわふるTORNADOの持ち込み音源だけだったし、裏方仕事まで含めた総合力の勝利だったと、私は考える。
良いものが売れるとは限らないのが世の中の難しいところであるが、楽しんで貰うことで受け入れる素地を作る、その取っつきやすさは誉められて良いと思うし、多くの人の目に触れて欲しい。

胃は痛くなったが、それを埋め合わせて余り有る、素晴らしいものを見せて貰った。
(2019.05.05)


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