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スポーツの『価値化』とは何か?ーその答えはAKB48にあった。

こんにちは。佐藤奨(さとうつとむ)です。

スポーツイベントのプロデューサーとして、各地でイベントを実施している他、BMXの普及団体YBP PROJECTの事務局長として施設運営や普及活動に関わっています。

さて、先日「これからスポーツの評価が「価値化」されることで価値が倍増する理由」という記事を書きました。

記事の反響をいただき、この記事で後から追記した内容が、今話題のサッカーJFL「奈良クラブ」についてのことということもあり、多くの反響をいただきました。

そもそも、スポーツの評価の「価値化」ってなに?価値の価値化ってなんだよ、カチカチ言ってんじゃねぇ。と言われちゃいそうですよね。

ということで、今回のnoteでは・・・

スポーツの「価値化」について真剣に考えます。

・マネタイズというのは『価値化』された中でのその一部

まずは、こちらの例を取り上げさせていただきます。

FC今治の経営企画として活躍している中島氏のツイートを引用させていただきました。

数ヶ月前まで空き地だった場所を活用して、街の衰退の象徴だった市街地の空地にこんなに人が。とのコメントがあります。

この場所には百貨店「今治大丸」跡地(約4500平方メートル)があり、そこに大型のビジョンを用意してパブリックビューイングに活用しているとのこと。スポーツの『価値化』とは、例えばこういうことを指してます。

スポーツが本来持っているものを、こうした空き地を活用してパブリックビューイングを行い、人が集まってきた。と。これ、すごいですよね。

スポーツの『価値化』というとスポーツのマネタイズの話になりがちなのですが、マネタイズというのは『価値化』された中でのその一部の行為(事象)に過ぎません。

つまり、今回の記事はマネタイズの手前の、スポーツの『価値化』、つまり多くの人に関心を持たれるための話が中心であるという理解をしてもらえたらと思います。(マネタイズは価値があることの一部が「換金化」すること)

スポーツが、価値化された状態とは、たくさんの方が注目する状態になることを指します。

・スポーツの『価値化』に成功した事例とは?

スポーツの『価値化』に成功した事例をまず2つほどあげてみます。

『箱根駅伝』は、関東の大学の駅伝大会ですが『価値化』に成功し、全国知名度の大会に育ちました。全国大会じゃなく関東大会なのに、テレビ視聴率も20%を超えるお化けコンテンツです。

『甲子園』は、高校の部活動の中の一競技による全国大会ですが、テレビ中継まで行われる大きな大会であり、高校で行われているどの部活動よりも大きな注目を集める大会です。

それぞれ、スポーツの『価値化』に成功した話です。

当たり前すぎますね。他の事例を取り上げます。

オリンピックも価値化に成功した大会です。世界中で行われているスポーツを一つの国に集め、約2週間の期間で、28競技321種目の世界大会を開催します。いわゆる世界選手権をたくさん集めたスポーツの集合体の大会であり、世界でもっとも権威のある大会です。(サッカーW杯も同じですね)

NBAは、バスケットボールを、国内でリーグを作り、プロのチーム同士がリーグ戦で試合を行うようにして価値化しました。日本ならばプロ野球やJリーグも、Bリーグも、卓球のTリーグもその類ですね。

なんだ、価値化ってそういうことか、となると思いますが、そういうことなのです。

これらは、当たり前すぎるので、価値化の本質が分かりにくいことかもしれませんね。(ここで上述したことがどうして価値化できたのか?は背景が様々なので割愛します)

・価値化できたものとそうではないものの差とは?

例えば、野球の1試合を取り上げて価値化を掘り下げてみます。

河川敷で行われている野球の無観客の1試合もあれば、数万人がチケットを買って観戦に来る野球に1試合もある。同じ1試合でも、無観客と数万人がチケットを買って入場する、それそれの試合があります。

つまり、両者にあるものの要素の違いが、この野球1試合にある『価値化』の要素です。

どうして片方の同じプロ野球の試合には、数万人がチケットを買って観戦に集まるのか?そこには、プロ野球のリーグの存在(権威性)、一流選手による一流の試合、有名選手の存在、試合の演出、球場という異空間、ファンの感情(応援したい気持ち)などなど、様々な要素が詰まっています。

これらの仕掛けや仕組み、その全てが、スポーツの『価値化』の要素になります。野球の1試合が、無観客な試合がある一方で、数万人が楽しめるコンテンツにもなるわけです。

・AKB48とは何が革新的で『価値化』したのか?

スポーツの事例だけでなく、例えばAKBで『価値化』を例えてえてみます。

AKB48とは、もともとアイドルは遠い存在、かつトレーニングして完成された存在がアイドルとしてデビューする世界だったのを、AKB48は、駆け出しで頑張っているプロセスだったり、会いに行けるところ(近さ)という切り口でこれまでにない部分を「価値化」して成功した例です。

AKB48誕生以前にデビューしていたアイドルにも、同じく駆け出しで頑張っている期間があったはずですし、会いに行ける場所を作ることは出来たはずですが、従来は、完成された存在こそがアイドルとしてデビューするべきという考え方によって、その手前にあったプロセスなり会いに行けるという部分が価値化されていなかったわけです。

つまり、見る人が見ればAKB48以前に誕生していたアイドルにも「価値があった」のです。つまり、AKB48のプロデューサーである秋元氏によってスポットの当て方を変え、これまでなかった部分の価値化に成功したのです。

AKB48のように、従来の視点を転換することで『価値化』できたりするわけです。

だからと言って選手を成長しきる前に試合に出せとか、そういう話じゃないですからね。本質の話は。

スポーツの場合でいえば、先にあげたFC今治のパブリックビューイングのような事例も同じです。元々百貨店があった駅前の空き地という空間を利用して人が集まれる場所を作り、多くの人に試合を楽しんでもらうことに成功した好事例です。

私の関わるYBP PROJECTで言えば、BMXのフリースタイルパークという競技の試合会場を創るのには莫大なコストがかかりますが、それをゼロからやるハードルが非常に高いです。

それを、1つの大きなジャンプをみてもらうコンテンツとして #空飛ぶチャリ AIR TRICK SHOW をつくり、人が集まる場所に出向いてショーを実施して数千名に観覧していただき、競技の普及に繋げる、というのも一つの価値化の切り口です。

スポーツの、そもそもある価値を、FC今治で言えば市街地の空き地を利用してパブリックビューイングする、YBP PROJECTで言えば競技の一部を切り取ってコンテンツ化し、大勢の人の集まる場所で観戦できるようにした、ということが価値化に当たるのです。

これらの取り組みは、例えばリーグを作る、メディアと掛け算して権威性ある大会にする、たくさんの世界大会を一箇所に集約して大規模の大会を行う、見方や切り口を変えること、などによってスポーツの価値化に成功した一例です。

スポーツの価値化を一言で表すならば、

今ある状態を基に、いかにして価値あるものに「企画」するのか?「プロデュース」するのか?ということです。それが価値化するということ。

また、先の記事に取り上げた通り、今は、スポーツの「評価」を流通する仕組みが整うことで、スポーツの価値化の引き出しが増えています。

先日の中川政七商店元社長である中川政七氏のJFL「奈良クラブ」社長就任や、サイバーエージェント社による「町田ゼルビア」の買収などから読み取れるように、今の日本のスポーツも、見る人が見れば価値がある状態、つまり、元々ある価値を基に様々な価値化がイメージできている人がいる、というお話でした。

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