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スポーツのSNSは「設備投資」KPI管理に向いてない説

こんにちは。佐藤奨(さとうつとむ)です。

本日は、スポーツのSNSは「設備投資」KPI管理に向いてない説について書きます。
※ここでのSNSとは、スポーツのチームなどの公式SNSを指してます

まず、本日の内容に入る前に・・・

こちらの記事が大変多くの方々に読まれました。

公開から丸1日が経ち、合計6500PV超え。さらにnote編集部の”おすすめ”にも掲載されて、まだまだPVが伸びてます。読んでいただいた方、ありがとうございました。

Twitterを中心に、かなり多くの反響をいただきました。

この記事を解説すると・・・

ジャイアンツのような、大勢との「接点」を持っているコンテンツホルダーの組織は、ファンの中に存在している文脈を理解して、コンテンツを作成してSNSに流すことで、最強のSNSになる、ということ。

ジャイアンツのように、テレビ中継も4大媒体からのニュースの接点があり、試合でも数万人が毎試合入るようなファンの多いチームの場合は、SNSはファンを「創出する」場所じゃなく、SNSは補完で良い。つまり、もともといるファンをそこに集める役割。ファンが居場所になるところがSNSの一番の役割である。

一方で、大勢との接点もなく、中継するコストもなければPRに予算もかけにくいようなマイナーな組織の場合は、他の戦略戦術を取りにくいので、SNSの中でファンの創出をがんばることが効果的。

ということを書きました。

で、ジャイアンツと同じことを、他のスポーツ(ファンビジネス)の主体者がやると、ジャイアンツと同じような成果を出すのは、とても難しく、全力で「空振り」する可能性があります

空振りとは、記事でも触れたスタメン最後のプロテクターの装着のシーンとか、誰も知らないチームで、誰も知らない選手が、もし同じことをやったとしても「いいね」が、知り合いだけの一桁台とかもありえるかもしれません。。文脈が事前に多くの方に存在してないと、ジャイアンツみたいな反響にならない。それは事前に理解しておくべきことです。

じゃ、他のスポーツチームは、SNSやらない方がいいのか?というと、私はそうは思いませんし、現に私も自分の関わる(マイナースポーツの)事業で、FBInstagramTwitterを活用してきていますし、運用の成果を実感することも多々あります。

SNS運用の、成果は感じています。でも、上記の記事が拡散されていく中で、こんな反応もありました。

書いてあることは、それは確かにそうかもしれないけれど、SNSをやったとして、「マネタイズが難しいでしょ」とか「KPI管理難しいよ」という反響です。

ということで、本日の記事”スポーツのSNSは「KPI管理」が圧倒的に向いてない説”も書いた方が良いだろうと思いました。

本題に入ります。

スポーツのSNSは「KPI管理」が圧倒的に向いてない説

ズバリ言いますと、スポーツのSNSは「KPI管理」が圧倒的に向いてない。スポーツなど「ファンビジネス」のSNSは、KPIでの管理が向いてない説があります。さらに、マネタイズが難しいでしょ?ともいわれがちです。

KPIをざっくり解説すると・・・
KPI(Key Performance Indicator)で、日本語では「重要経営指標」「重要業績指標」などと訳されています。つまり、目標に対しての、重要数値指標です。

目標に対しての、重要数値指標なので、、KPI脳に犯された人からすれば、SNSで、例えばTwitterですと、そんな投稿してて意味あるの?って思われます。フォロワー集めてなんなの?インプレッションを追っかけたところで、売り上げになるの?という反応もありますよね。分かりますよ。言いたくなる気持ち、分かります。

スポーツの業界でも、上司や周りから、そのような発言されて困っている若手担当者の方も、かなりいると思われます。

それらの回答を考えるとすると、ほとんどの方が・・・

SNSで、ファン増加をするフォロワーは資産、とかいいがち。確かにそれも合ってるけれど、そうすると、フォロワー増やしてどうするの?さらに、KPIとかマネタイズどうなの?資産になったとして、それで儲かるの?とか言われてしまうわけです。

でもですね、数値化難しいのですよ。インプレッション数やフォロワー数などなら「数値化」できないわけじゃないですが、結論から書きます。ファン増加とか、フォロワーは資産と伝えても、KPI脳、マネタイズ脳の方にはそれが伝わりません。

ですので、SNSは設備投資、と伝えてください。

ちょっとドライな言い方かもしれません。でも、そうした反対者の方に伝わりやすくするために、設備投資と捉えるべき、と思っています。

何が設備投資なのかを掘り下げます。

スポーツのSNSは「コンテンツ拡張」の場所で「設備投資」

私は、SNSを設備投資で「コンテンツ拡張」の場所と捉えると、KPI管理だけの思想から脱却できると思ってます。つまり従来の試合会場でしか味わえない興奮を、外側にも持って来ることができる設備投資だ、と捉えることだと思います。KPI管理はするな、ではなくて、設備投資的な場所と捉える。

SNSが「コンテンツ拡張」ってなんぞやですが、それは、単純に考えると、逆転のヒット、ホームラン、ファインプレー、”さよなら”などのシーンに加え、上記のジャイアンツの記事でも取り上げたような最後のプロテクター装着、優勝の瞬間など。つまり、プレーを、ここでも見られる選手たちの裏側を、ここでも見られると捉える。こう伝えると、KPIで管理する難しさも伝わりますか?

KPIで管理する難しさ、というのは、例えば、ホームラン出たらいくら儲かるとか、ファインプレーで売上がいくら、って出せますか?という話。出せないのですよね。選手の裏側を見たところで、チケット拡販に関わる可能性はありますが、それを発信したことによって何枚売れるとか、把握が難しいですよね。

でも、そうしたプレーや裏側が、SNSでも見られる場所、と捉える。設備なので、KPIで管理しにくい。でも、そういうスーパープレー見られたファンが喜び、ファンが、よりファン化していくのは分かりますよね?

試合会場やテレビ経由しか伝達できなかったプレーのコンテンツを、SNSを通して伝えられ、その先で、ファン増加(よりファン化すること)に繋がるわけです。SNSを運用して、それでマネタイズできるの?KPIは?と言われがちですが、SNSが、一つの”スーパープレー”のような「情処価値」も持っていることも忘れてはいけないです。SNSは、それらを、気軽に見られる設備なのです。

事業活動でやる以上、指標は大切で、マネタイズやKPI設計も大事です。例えば、月にフォロワー何名を目指す。月間トータルで、何万インプレッションを目指す、などなど、担当として負うべき指標は持っても良い部分はあるでしょう。

しかしSNS単体でマネタイズやKPIでの管理を考えると、大切な部分がごっそり抜け、その投稿って、意味あるの?スポンサー獲得の効果あるの?売上は?儲かるの?ってなりがちです。そうではない。

スポーツのSNSはスタジアムの外に追加で「ビジョン」を設置するような発想で

スタジアムに、観客がより楽しめるように、数千万円かけて大型ビジョンを追加で設置する。お手洗いに行っている際にプレーが見れないから、お手洗いの列からも見られる場所に数百万円かけてモニターを追加設置する。そういう選択肢として、SNSの運用に設備として年間数百万かけてみる?と発想するべきと思いますスタジアムの外に追加で「ビジョン」を設置するような発想でもあるわけです。

プレーの一つを、SNSでも見られるようにする、さらに、そこのSNSアカウントがファンの溜まり場となり、プレーの瞬間をシェアしてくれて、ファンからファンへ。ファンからライトなファンへ。ファンから認知していない人へとプレーが届けられる起点になる「設備」であると発想することもできるのです。

満足度を高める「投資」と捉え、その設備投資の全体として捉えた中で、ビジョンなどを備えた中にもSNSを含めた上でリターンがあるかないか?を大きな括りの中で判断していくことが大切だと捉えています。

とはいえ、フォロワー数の意識も大切でしょうし、繰り返しになりますが、事業活動でやる以上、指標は大事で、マネタイズ設計やKPI設計も大事です。ただ、その指標だけで判断すると、大切な部分(コンテンツの拡張になる=情処価値があること=ファンの満足度を高める)が抜け落ちてしまう可能性があるのです。

スタジアムでの観客の体験価値をアップするために、大きな予算をかけて、ビジョンを追加設置する。日常で過ごすファンの、ファンであることの体験価値を少しでもUPさせるために、SNS運用に力を入れる。こういう大きな判断軸でSNSが必要か否か、を、設備面の軸も入れて検討していくことが求められていると思います。

特に、公式のSNSアカウントの運用は楽ではないし、そもそも、フォロワー数や反響(文脈)は、そのチームの認知や人気に依存する傾向があるため、マイナーなスポーツやチームの運用は、とても難易度が高めです。

でも、うまくいけば、プレーを流すビジョンを、ファンの手元にあるSNSの中に、無限に配信できる可能性があるのです。こう考えると、KPI以外にも大事な視点があると思いませんか?

マネタイズとかKPIでの管理より、ファンとコンテンツとの接点から得られる、全体の満足度の中でSNSが必要か?その設備投資をして、ファンの満足度を、さらに高められるのか?という大きな視点が大切なのです。

今回の記事を、あえて経営軸から語るなら、SNSを、やるかやらないか?を、設備投資という「戦略観点」も交えて行うこと。そして、やる場合は、「戦術観点」で、SNS運用を管理する上で、どうSNSを活用し、どんな指標にするかのKPI設計。と、だんだんと具体的に落とし込むことが大事です。大事なのは戦略の意思決定者が、戦術のKPIの数字だけでSNSの良い悪いを判断しないこと。そこ、超やりがちなので。。

KPIの数字だけに盲目的になるのではなく、SNSで実現できるファンへの「情緒価値」の提供という側面があることもふまえ、KPI管理するなら丁寧に数字の設計をすること。大きな枠で、設備の観点も加えてPL視点で考える。それが必要との判断ならば、自社のリソースでやれるのか?(予算があれば外注してでもやるべきか?)を判断することが求められると思います。

そうすることで、KPI脳から脱却しやすくなると思います。

以上が、今回の記事で伝えたかったことです。

今回のまとめ

スポーツのSNSは「コンテンツ拡張」の場所で「設備投資」とも捉えられる。ゆえにKPI管理が難しい。

KPIで管理する難しさ、というのは、例えば、ホームラン出たらいくら儲かるとか、ファインプレーで売上がいくら、って出せますか?という話。それと同じ話なので、具体的な数字は出せないです。

そもそもKPI管理すると、その「数値管理」に盲目的になりがちなので向いていない。KPI管理がダメということよりも、KPI化して数値に意識が向くと、スポーツの本来の「情処価値」に無頓着になりがち。ゆえに、もしKPI化するならば、丁寧にKPI設計をすること。

KPI管理こそ王様と思っている人こそ、ファンビジネスの「SNS」は、設備投資でもあることを理解する。数値がすべてじゃなくて、満足度に繋ぐ設備としてこれが必要か?を考える。

設備投資の観点で、戦略的に判断し、それらがファンの満足度に繋がるのか?という視点でSNSを捉えること。情処価値として、満足に向けて必要であるとの下地がある上でのKPI管理ならば、KPI脳からは脱却しやすい。

以上がまとめです。長いな。

つまり、ですね。

スポーツのクラブの戦略決定者なら、SNS担当者に対して、とにかくファンが喜ぶコンテンツをつくってくれたらいいよ!ってメッセージを言えるのがベストって話です。KPIで数値管理しまくることより、それは大事なメッセージです。

ちなみに、本日の文脈とは異なりますが、SNSだけで収益を上げているサービスも多々存在しているので、SNSの中だけでKPIを設計し、うまく運用している会社も存在するでしょう。最近だと、ファッション系のD2C企業とかは特にそういう傾向だとは思いますが、本日は、スポーツチームのように、プレーこそがメインのコンテンツとるような主体者に向けて書いた記事でした。

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