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スポーツ業界に求められる人物像とは?

こんにちは。佐藤奨(さとうつとむ)です。

Twitterの、私の個人宛のDMに、スポーツ業界に求められる人物像とはどういう人でしょうか?という質問がちょくちょく入ります。先日の #スポピザ の質疑応答の時間にも同じような質問がありました。

スポーツ業界に求められる人物像とは何か。

最近は、スポーツビジネスの現場で働く方との交流も増えてますし、私自身もそれに取り組む身ですので、改めて考えました。

そして、どういう人物像が良いのか。個人的な見解を書きます。あくまで私の肌感覚です。

もともと私も人材畑の会社に在籍し、企業様と一緒に「採用ターゲット」を考える業務をしていた経験もあるので..ふまえた上で、どこにいる、どんな人が採用ターゲットにされやすいか?という軸で掘り下げて書いてみます。

また、スポーツ業界と言っても幅広いので、主に、仕事として非常に人気のあるサッカークラブとかスポーツのプロリーグのクラブやチーム、リーグ関係者、スポーツのコンテンツホルダー側の会社に即戦力として求められる人材はどんな人物像なのかを書きます。

それから、補足として、専門職のことではなく、ビジネスパーソンとしての就職を念頭に置いた場合を指しています。(ここでの専門職とは、コーチやトレーナー、デザイナー、カメラマン、等々)

この質問をもらった時に、端的に回答すると、自分でお金を生み出せる人物なら、スポーツの現場でいつでも求められるだろう、という話をします。つまり、今回の記事では、スポーツにてお金を生み出せる人物とはどういう人物像か?について、私なりの見解を書きます。

繰り返しますが、あくまで即戦力という軸で書いてます。

求められる人物像①マネタイズの力がある人物

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まず最初に思い浮かぶのがこういう人物。マネタイズの力がある人物です。

マネタイズの力がある人はどういう人材か?

マネタイズというのは換金化です。つまり本来ある価値を、お金に換える力のこと。

図にある通り、スポーツチームなどが持つ本来の価値(資産)から、まだ売上に転換できていない部分をお金に変えること。つまり、マネタイズのことを指している図で、このマネタイズが出来る力がある人材のことを指しています。

マネタイズとは何かについて書きます。

まず、マネタイズというのは『価値化』された中でのその一部で行えること、ということを理解してください。(価値 = お金だけ じゃない)

つまり、スポーツのチームで表すと、どういうことかというと、例えば、知名度があるサッカークラブを例にあげますと、東京ヴェルディという名前は、日本中の人たちが知っていますよね?それはとても価値があることです。でも、この2019年の今、東京ヴェルディに対して、何かお金を出した人はかなり限られると思います。※現サポーターの皆様ではなく、あくまで東京ヴェルディを認知している方を指しています

お金を出すというのは、試合の観戦チケットを買う、グッズを買う、場合によって企業としてスポンサーになる、などなど。

認知・知名度とは、そのブランドの価値ではありますが、その価値の全てを換金できているわけではないのです。(踏まえた上で、どういう活動をしていくのか?)※ 東京ヴェルディの皆様、固有名詞出しちゃってすみません。

スポーツにおける価値化って、何なのかは以下のnoteでも書きましたので、よければ参考にしてみてください。

そして、マネタイズの力がある人はどういう人材かの部分。

マネタイズの力がありそうな人材の2つのタイプ
A:無形商材かつ法人営業経験者で高額取引(BtoBの営業マン)
B:IT系のWebサービスなど(またはブランド品など)に関与し、売り上げ向上に関与していた人

それぞれのタイプを掘り下げます。

A:無形商材かつ法人営業経験者で高額取引(BtoBの営業マン)
これは、スポーツのチームの場合は、スポンサー獲得が大きな収入源になるので、スポンサー獲得の営業マンのイメージですね。

そしてスポーツのクラブでのスポンサー獲得にはどんな人物がいいかは、メーカーの営業というよりは無形商材の方が向いてるイメージが湧きます。高額取引というのは少なくとも3桁(100万円)以上の金額の取引をする商材。

そうすると、広告代理店経験者はドンピシャなイメージです。でも、スポーツ業界の待遇の課題で大手広告代理店経験者はスポーツ業界になかなか来てくれないのが現状ですが..

それはさておき、法人営業でも、新規開拓向けの経験者がいいのか、既存客向けの営業経験者がいいのかでいえば、当然ながら、新たなマネタイズが出来る人材なので、新規開拓人材の方が求められると思います。

でも、通年でのイベントごと、試合などもあるので、スポンサーとのリレーションシップの構築などを考えると、既存客向けの営業経験者も求められると想像してます。

マネタイズの軸で考えると、自社の持つコンテンツ(サッカークラブならば、試合や、そのクラブが持つ集客力)をフックに、スポンサーが喜んでくれる企画を立ち上げ、スポンサー獲得に繋げる。

そして獲得したスポンサーのメリットを高めるためのアクティベーションまでを考えられる人。または、そういうことを一貫して行うために、的確なチームを自分で立ち上げ運営できる人材は強いし、求められると思います。

大手企業の出身者だと知名度あるスポーツチームにはフィットしそうですし、まだ駆け出しのスポーツチームであればベンチャー、スタートアップなどの新興企業の方がフィットするのではという仮説があります。大手とベンチャーのどっちの方がいいかはさておき、大事なのは、そこで、どんな実績・成果をあげたか?だと思います。

上記の例にも挙げましたが、東京ヴェルディで結果を出されていて、先日の #スポピザ でも登壇していただいた佐川さんも、リクルートでの無形商材の新規開拓営業の経験者ですね。

佐川さんが取り組まれている、こうした東京ヴェルディカレッジなんかも、知名度を活用した取り組みなので、まさにマネタイズに繋げるための一つの施策だと思いますし、素晴らしい、と感じます。

もう一つのBの人物像

B:IT系のWebサービスなど(ブランド品)に関与し、売り上げ向上に関与していた人。※サービス全体を取り仕切っていた責任者が的確で、売上や契約(コンバージョン)に繋がる施策が得意で施策も自分で企画して手も動かせるタイプ。サービス、ブランドのPLの責任を追うレベルまでやっていたら最高。

なぜ、サービス全体を取り仕切っていた責任者としたかというと、スポーツというのは、権利者が多く、またサッカーであればサポーターなど、関わる人も多い。スポンサー、リーグ、肖像権など、あらゆる利害があるため、それぞれにて調整が発生するのが日常的であるため、自分がしたいサービスを提供してきたタイプの人よりも、全体の利益に向けて、方々の利害関係者との調整をしながら業務が遂行できていたタイプの人が向いているでしょう

逆に、ウェブマーケでも、SEOだけ詳しいとか、SNS運用だけに詳しいという専門人材は、現場ではあまりフィット感がないですし、企業サイズ的にも、今のスポーツのチームの現場や企業サイズを考えると乖離があるでしょう。

もっと上位概念の、マーケティングの理解ができた上で、一緒に手も動かせるタイプが求められているイメージ。一人何役でもやれる気概が必要。必要に応じて外注として外側の専門人材にウェブ施策を投げられる業務ができれば問題がないと思います。

一方で、このBの人材は、その力を試すためのポジションが、今の現場であまり空いてなさそうなイメージですかね。貢献は出来そうだけれども、実際のところ、そういうポジションでの募集が少ない。

というのも、スポーツの組織の内側に、Bのポジションの価値を十分に理解できる幹部が少ない可能性が高いため、大きな実績をひっさげて(やっていることの「価値を証明できる力」を持ってから)入社しないと、理解できない人たちからの圧力に押しつぶされる可能性があるかもしれないです。だからこそ、実績積めるまで入社は焦らないことが大事かもですね。笑 汗

虎視眈々とSNSなどでポートフォリオを紹介し、目指す場所のポジションがあいた時にその力をすぐに紹介できるようにしておく、または、そういうウェブでの業務の理解力がありそうな方を、自分から見つけに行く、または、何から外側からでもいいので部分的な関与をして、内部で実績を積み、採用を狙っていくのも一つの手ではないでしょうか。

ABともマネタイズの力をつけられそうというイメージで書きましたが、この職種を体験していなくても、マネタイズの力がある人材はいると思いますので、あくまでも、こういうABのような仕事をしたら、マネタイズをする力が身につきやすいかも、と捉えてください。

求められる人物像②ブランディングが出来る人物

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ブランディングが出来る人物はどういう人材か?

図の通り、スポーツチームなどが持つ本来の価値(資産)を、さらに高めていく人材のことを指しています。つまり、ブランディングをする力がある人材のことを指しています。

ブランディングが出来る人物として思いつくのは3つのタイプ
C:PR業務の責任者(PRの責任者、PRプランナー、プロモーション企画者)
D:ファイナンス業務経験者(ファイナンスに明るく資産を理解してお金を集められる人材、戦略コンサル経験者等、法務軸も含む)
F:コンテンツ業界、エンタメ業界での経験者(ヒット作をつくれる力)

記事が長くなりそうなので、CDFのそれぞれの人材についての掘り下げは、この記事の反響がよければ、また別途、張り切って書きます。

求められる人物像③スーパーサイヤ人

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③つ目の人物像は、①のマネタイズもできて、②のブランディングもできる人材です。つまり両方できるスーパーサイヤ人。

スーパーサイヤ人とは、どのような人物像か。

ある程度、サイズの大きな企業内で、新規事業の立ち上げの経験をしていた人新商品や新ブランドの立ち上げをして結果を出してきた人ゼロベースのイベントや大会を運営して、数千人とか数万人の人を集めた経験がある人。などなど。

ぶっちゃけ、この①、②も理解して遂行できる人材は超ハイレベルです。どっちも理解して戦略決定が出来る人材となると、スポーツ界じゃなくても稼げるでしょうからね。

つまりは、スタートアップ企業であれば、CFOやCMO級の活躍ができる人材であり、大きな会社でも営業責任者クラス、マーケティング責任者クラスの人材です。ここの人材はスポーツに限らず獲り合いになる人材で、例えれば、ドラゴンボールに出てくるスーパーサイヤ人です。

スーパーサイヤ人は、どのような業界にいるのか?つまりどういう経験を積んでいる人が向いているかというと、今はIT業界に多そうなイメージがあります。(伸び盛りのIT企業には、そういう有能な人材がどんどん吸い込まれていると思います。笑)

このスーパーサイヤ人級の人材は、IT系のスタートアップやメガベンチャーとの人材の獲得合戦になるでしょう。(ていうか、すみません、そういう実力ある方、どんどんスポーツ界に来てください。一緒に仕事したいです。)

横浜DeNAベイスターズのV字回復をされた初代社長池田純氏の経歴も、まさに大企業やベンチャー(DeNA)でのマーケティング責任者を経た後にプロ野球をやられていたりしますし、元楽天イーグルスの立ち上げに関わられていたヤフー取締役の小澤隆生氏は、元々は自身のIT系の会社の起業家の経験を経てからスポーツの仕事に関わられています。

ただ、上には上がいるもので、魔人ブウ級の人もいます。(スーパーサイヤ人と魔神ブウどっちが強いかは置いておき、ここでは魔人ブウの方が実力・実績が上という意味合いで書きます)

魔人ブウ級の人材とは、例えば、Jリーグの責任者(チェアマン)である村井満氏のような人物です。1000億円以上の会社の代表取締役の経験者であり、リクルートの執行役員を務められてから、Jリーグチェアマンになられました。

ただ、リーグの責任者(チェアマン)は、そもそものポジションが少なすぎて汎用性がないので、この記事では魔人ブウ級のことはあえて掘り下げませんが、今の日本のスポーツ業界は、別業界で十分な実績を積んでいる人材が、スポーツ界に来て結果を出すという流れが目立ちつつあります。

ただし、スーパーサイヤ人級、魔人ブウ級の人材は、そもそもが今のスポーツビジネスマーケットでその力を発揮できるポジションが少ないのも課題かと思ってます。人材の希少価値も高ければ、ポジションも少ない。でもこうした人材を集めていける業界にならなければ、日本のスポーツ全体のマーケットも大きく発展しにくいのではないでしょうか。(私は、こうした有能な人材を獲得できる下地を日本のスポーツ界にも求めてます。)

で、最初の質問に戻ります。

スポーツ業界に求められる人物像とはどういう人でしょうか?

自分でお金を生み出せる人物。

そして、どこでその力を証明する?というと、他で実績を積んでから、私には、これができます!という話をした方が良いでしょう。

求められる人物になるために・・・他業界で実績を積もう

です。もし、サッカークラブとかスポーツのプロリーグのクラブとかリーグ関係者、スポーツのコンテンツホルダー側の会社に入社する場合は、他の業界で実績を積み、スポーツ業界に転職した方が吉だと感じています。

新卒で入社をしても、出来ることは限られてしまいます。スポーツの現場の仕事で、十分な研修を受けられるところは少ないでしょう。

入社するにも、ただ知名度の高い会社に入社するというよりは、自分の行動が成果に繋がることが見えやすい職場が選べると良いと思います。質の良い権限を与えてもらえる会社が良いと思います。自分の会社を起業して成果を出すのも手ですね。完全に自分の成果に出来ますから。

そして、そこで、マネタイズする力、ブランディングする力、もし目指せるならば、スーパーサイヤ人的な活躍をひっさげて、スポーツ界でのポシジョンを獲得することが良いのではないでしょうか。

つまり、スポーツ業界で即戦力人材というのは、一人のビジネスパーソンとして、あらゆる企業からも求められる人材になるということに等しいかもしれません。

以上が私の考えるスポーツ業界に求められる人物像についてでした。

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