ドラムの神々に学ぶ 第19回 スチュワート・コープランド

世界の名ドラマーを紹介する「ドラムの神々に学ぶ」。第19回はスチュワート・コープランドです。
The Policeのドラマーとして有名ですが、活動休止後も様々なバンドや作曲家として活躍を続ける、スーパーマルチプレイヤーです。

「賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ」という言葉があるように、ドラムの神々が残した軌跡を追いかけ、賢者を目指しましょう。

それでは行ってみましょー!


スチュワート・コープランドのプレイスタイルを簡潔にまとめると…

①超ハードヒットなレギュラーグリップ
②レゲエをパンクロックに取り込んだリズムパターン
③大胆さと繊細さが同居するグルーヴ
④マルチプレイヤーならではの曲解釈

ではひとつずつ解説していきましょう。


①超ハードヒットなレギュラーグリップ

スチュワートは常にレギュラーグリップですが、自らの手が壊れる程のハードヒッターとして知られています。レギュラーグリップとしては考えられないくらい高く速く振り上げるためです。The Police時代では、ライブ中に手をテーピングでぐるぐる巻きにして固定して、演奏を続ける姿が確認できます。
その後は手の保護のためにグローブをして叩く姿が印象的です。


②レゲエをパンクロックに取り込んだリズムパターン

The Policeは「ホワイトレゲエ」と呼ばれる程、楽曲の中にレゲエの要素を取り込んでいました。スチュワートは「ワンドロップ」と言われる、キックをバックビートの位置に持ってくるレゲエ独特のパターンを、効果的に散りばめています。
キックとハイハットだけで曲を構築できるテクニックを持ち、フラムを多用するのも特徴的です。


③大胆さと繊細さが同居するグルーヴ

The Policeは3ピースバンドということもあり、バンドサウンドがスカスカにならないよう、必要に応じて音の隙間を埋めていくことが重要になります。スチュワートはこの隙間を埋めるためのハイハットワークが見事で、非常に多い手数なのに曲に馴染むフレーズを作り出します。
肘主動でプルビートの使い手。若い頃はテンポが走りがちでしたが、歳を重ねるごとに安定感が増しています。しかしながらアグレッシブなプレイは健在で、大胆さと繊細さが同居した、理想的なバランスのグルーヴと言えます。


④マルチプレイヤーならではの曲解釈

スチュワートはドラム、パーカッションだけでなく、管楽器や弦楽器、鍵盤楽器と、あらゆる楽器演奏が可能です。映画音楽の作曲家でもあり、オーケストラの譜面も書けるほど、他の楽器や曲の理解に長けています。
「曲において必要なものを必要な分だけ取り入れる」という非常に難易度の高いことを、スチュワートのドラミングは表現しています。
手数が多くても曲に馴染むのは、必要なものを必要な分だけ取り入れているからであり、それはスチュワートがスーパーマルチプレイヤーだから可能なことなのです。


以上、スチュワート・コープランドの紹介でした。いかがでしたか?
スチュワート・コープランドに興味が湧いたら、YouTube等でぜひプレイを観てくださいね。
それではまた次回をお楽しみに! お疲れ様でしたー!

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