ドラムの神々に学ぶ 第27回 アート・ブレイキー

世界の名ドラマーを紹介する「ドラムの神々に学ぶ」。第27回はアート・ブレイキーです。ビバップ、ハードバップの代表的なドラマー。親日家で知られ、日本のジャズシーンに多大な影響を与えたレジェンドです。

「賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ」という言葉があるように、ドラムの神々が残した軌跡を追いかけ、賢者を目指しましょう。

それでは行ってみましょー!


アート・ブレイキーのプレイスタイルを簡潔にまとめると…

①アフロ・キューバンリズムをドラムセットで表現したパイオニア
②類稀なるタイムコントロール
③秘技ナイアガラロール
④バンドリーダーとしての統率力と指導力

ではひとつずつ解説していきましょう。


①アフロ・キューバンリズムをドラムセットで表現したパイオニア

スウィングジャズに飽きたミュージシャンたちが、より小さなバンド形態で即興性の高いジャズを始めます。これがビバップであり、そこからブルースのフィーリングを色濃くしていったのがハードバップ。アートはその代表的なドラマーです。
ハードバップでは、ルンバやマンボなどラテンの要素を取り入れるバンドもあり、それらはコンガやボンゴ、ティンバレス等が活躍していました。
アートはそれらパーカッションの役割を、ドラムセットで表現したパイオニアです。卓越したテクニックにより、1人で複数の役割をこなし、ドラムセットが持つ表現の幅を広げました。


②類稀なるタイムコントロール

アートの特徴のひとつがタイムです。非常に長く、機械的なジャストに迫る精度を誇ります。
タイムはフォームによって決定されます。フォームが「身体を動かす」ということに最適化されていけば、スティックスピードは速くなり、タイムはジャストに近づいていきます。
超一流のプレイヤーでも、上半身はジャストに近いが下半身が短めだったり、右手と左手でタイムが違うなど、ジャストに近い人は稀なので(それが「ノリ」という個性なのですが)、アートのタイムコントロールは物凄いテクニックなのです。


③秘技ナイアガラロール

アートの得意技と言えばナイアガラロール。
滝のように激しく豪快に繰り出されるロールのため、その名が付きました。
ダイナミクスコントロールに長け、ナイアガラロールのようなラウドなサウンドから、繊細な表現まで自在に操るテクニックの持ち主。肘主動で、②からも分かるようにプルビートの使い手です。


④バンドリーダーとしての統率力と指導力

アートのバンド「The Jazz Messengers」は、若手の登竜門と化していました。アートは多くの新人を発掘し、スターとして輩出。その中にはテナーサックス奏者のウェイン・ショーターや、ピアニストのキース・ジャレットなどがいます。
30年に渡りバンドを率いて、ジャズ界に多大な影響を与えたアート。特に日本には何度も来日し、ジャズの面白さと素晴らしさを伝えてくれました。


以上、アート・ブレイキーの紹介でした。いかがでしたか?
アート・ブレイキーに興味が湧いたら、YouTube等でぜひプレイを観てくださいね。
それではまた次回をお楽しみに! お疲れ様でしたー!

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