ドラムの神々に学ぶ 第17回 サイモン・フィリップス

世界の名ドラマーを紹介する「ドラムの神々に学ぶ」。第17回はサイモン・フィリップスです。
全てのジャンルに対応し、あらゆるセッションで実績を残してきた名ドラマー。日本ではTOTOや上原ひろみとの共演で有名ですね。

「賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ」という言葉があるように、ドラムの神々が残した軌跡を追いかけ、賢者を目指しましょう。

それでは行ってみましょー!

サイモン・フィリップスのプレイスタイルを簡潔にまとめると…

①もはや両利きと言えるオープンハンド奏法
②左右対称の美しいセッティング
③全ジャンルに対応できるスキの無いテクニック
④レコーディングエンジニアのスキルを生かしたドラムサウンド

ではひとつずつ解説していきましょう。


①もはや両利きと言えるオープンハンド奏法

サイモンは右利きのようですが、右利きセットのまま左手でハイハットを刻む「オープンハンド奏法」の名手です。同じくオープンハンドの名手、ビリー・コブハムの影響が垣間見えます。
一般的な腕をクロスする方法では、左手を振り上げにくいため自由度が下がります。オープンハンドにすればハイハットを叩きながらタムを叩くのも簡単ですし、パターンの幅が格段に増えます。
サイモンは右でも左でも全く同じように演奏できるので、両利きと言えますね。


②左右対称の美しいセッティング

サイモンのドラムセットは、ほぼ左右対称にセッティングされています。実はハイハットは左右に1つずつあり、ライドも左右に1つずつあります。サイモンはフレーズによって、左右どちらでリズムを刻むのかを決めています。まさに両利きのなせる技です。
左右対称ですから、キックももちろんツーバス。ドラムソロでは新聞を読みながらキックだけでソロをしたりします。


③全ジャンルに対応できるスキの無いテクニック

サイモンは幼い頃から、ジャズクラリネット奏者である父親のバンドに参加するなど、ジャズを中心に活動していました。「フルタイムで演奏の仕事をし、パートタイムで学校に行っていた」とサイモンは語ります。
セッションドラマーとして活動を始めてからは、あらゆるジャンルのセッションをこなしていき、主にフュージョンやハードロック系での活躍が目立ちます。
ジェフ・ポーカロの死後はTOTOに参加し、20年もの間バンドを支えました。


④レコーディングエンジニアのスキルを生かしたドラムサウンド

サイモンはレコーディングエンジニアとしても活躍していて、ドラムレコーディングを自宅で出来るようにしてしまったそうです。
マイキングを徹底的にこだわったドラムサウンドを含めて、初めてサイモンの演奏と言えます。
よくジェフ・ポーカロと比較されますが、サイモンもジェフと同じく手首主動でプルビートの使い手。グリップと腕の使い方の微妙な違いで、サイモンの方がタイムは短めです。この違いが「サイモンはやや軽い」と言われる所以ですが、クリアなサウンドと表現力豊かなテクニックで、一聴してサイモンの演奏だと分かるのは素晴らしいことです。


以上、サイモン・フィリップスの紹介でした。いかがでしたか?
サイモン・フィリップスに興味が湧いたら、YouTube等でぜひプレイを観てくださいね。
それではまた次回をお楽しみに! お疲れ様でしたー!

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