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時代小説家は熊手を買う

シリーズ累計発行部数が何百万部という人気小説家のお友達がいるのですが、何年か前に彼女に誘われて、時代小説家の仲間たちと一緒に、浅草の酉の市に行きました。私は歴史小説だけれど、江戸のシーンを書くことも多いし、何かの役に立つかなと期待して。

行ってみると、いっぱい熊手屋さんが出店していて、軒並み華やかに賑わってて、なかなかの雰囲気でした。誘ってくれた本人が熊手を買って、熊手屋さんが揃って三三七拍子の拍手をしてくれるのも、みんなで楽しんできました。

それから何年かして、彼女がでっかい熊手を買ったと聞きました。それも、そんなのを買うつもりはなかったのに、テントの上の方に飾ってあったのが気になって、「ちょっとおろして見せて」と頼んだら、脚立が出てくるわ、なかなか外せないわで、大変なことに。でも実際に手元で見たら、予想以上に大きくて、値段も5万円! さすがの人気作家でも躊躇するお値段だったようですが、戻してもらうのも気が引けて買ってしまったというのです。

すると翌年、彼女が大きな文学賞を受賞! 受賞して当然という実力でしたが、本人は熊手のご利益じゃないかと言うのです。

その年の酉の市には、また誘ってくれたので、もうひとりの仲間も含めて3人で出かけました。もうひとりも、なかなかの売れっ子作家で、ふたりともでっかいのを買ったのです。熊手は最初、小さいのを買って、毎年、大きくしていくものだそうで、私は小さいのを買いました。見劣りしたけど、お財布には充分に痛かった。

去年は3人のスケジュールが合わず、私は地元神社の酉の市で、ひとまわり大きめのを買いました。で、今年こそは、また3人で浅草にと思っていたら、コロナで予約制に。なんだか面倒になって、私は、また地元神社で買いました。またちょっとだけ大きめにして。それがトップの写真。

もう3年めだけど、目立ったご利益はないな〜とぼやきつつ、こういうのって、いったん買うと、毎年、買わないわけにはいかなくなるんですよね。心情的に。いちおう小説家を続けていられるのも、もしかしたら、ご利益かもしれないな〜とか、でも5万円には程遠いしな〜とか、買わないと作家廃業になっちゃうかな〜とか、あれやこれと思案中。

下の写真は去年のだけれど、今年のより、でっかく見えるのがくやしい。下から写したからかしら。とにかく熊手で福をかき集めよう!

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