眠る前

誰の声も聞こえなくなったとき、
内側にあるものが音を立て始める。
静かな夜に耳を澄まして、
音の響きを確かめた。
眠りにつくまでの間の
僕たちの小さな交信さ。
言葉が見えない
響くものの中に、言葉が見つからない。
ふとした瞬間パリンとなって
割れてしまいそうな薄い膜。
君はそうやって
自分を守ってきたんだね、
それでも言葉は聞こえないままだった。
夜の外の静けさに
虫の鳴く声が聞こえて
続く続く、果てしないメロディ。
その音に紛れて隠れようとする。
君はそう、薄い膜を張り続ける。
言葉を持たない君の声は
割れない様に自分を守り続けている。

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