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数列はデジタルな関数

 ごめんなさいね。今回の投稿は、ちょっと高校数学のマニアックなところを書きます。数学が苦手なかたには苦痛かもしれません。数学がお好きなかたは、どうぞお読みください。

 「数列」というものがあります。数が、1個ずつ、列をなして並んでいるものです。1、3、5、7、9といったものは、数列です。数に、「背番号」がふれるところが特徴です。順番があるのです。これは、関数というものに似ています。関数とは、「数を入れたら数が出てくる」(実際には、数を入れなくても、数が出てくるなら関数と言えるのですが、かんたんのため、このように表現させていただきます)というものでしたが、それとよく似ています。違うところは、関数は、実数上であれ複素数上であれ、連続な数の上に定義されていたものですが、数列は、自然数の上に定義されていて、とびとびに定義されている点です。この意味で、「数列はデジタルな関数だ」ということができます。

 さきほどの、1、3、5、7、9という数列は、等差数列でした。等差数列は、1次関数に対応します。1、2、4、8、16というのは、等比数列ですが、等比数列は、指数関数に対応しています。数列の一般項の式を見ると、わかることでもあります。

 「数列の和を求める」というのは、関数で言えば、積分に相当します。私の知人で、大学院時代に、「毎日、歯をみがく」というのを、積分する研究をしていたという輩がいるのですが、それは残念ながら「積分」ではなく「数列の和」であるとしか言いようがない。とびとびだからです。

 ですから、等差数列の和を求めるのは、1次関数の積分に相当します。結局、1次関数の積分は、三角形の面積を求めることに帰着しますが、それというのは、等差数列の和を求めるときに、幼いガウスが考えた、1から100までの数の和を考えるアイデアと同じです。三角形の面積を求めている。(1/2)n(n+1)という公式も、(1/2)x^2という公式とほとんど同じと言ってよい。
 また、1+4+9+16+・・・という数列の和は、これは関数で言えば2次関数の積分ですから、3次関数になる。(1/6)n(n+1)(2n+1)という公式と、(1/3)x^3という公式も、ほとんど同じと言ってよいでしょう。
等比数列の和が、また等比数列っぽくなることは、指数関数の積分が、また指数関数になることに似ています。
ピラミッドを積み木でつくるとき、頂上から、直方体を、1個、4個、9個、16個、と、正方形が少しずつ大きくなるように並べるのではないでしょうか。そして、できあがるピラミッドは、だいたい、角錐の形をしています。角錐の体積は、底面かける高さかける(1/3)です。ちょうど、上で述べた、公式の通りではないでしょうか。

「階差数列を求める」ということは、「変化の割合を求めること」すなわち「微分をする」ことに相当します。等差数列の階差数列をとると、ひたすら定数になるのは、1次関数を微分すると、定数関数になるのに対応しています。定数ばかりの数列の階差数列をとったら、ゼロばかりになりますが、これも、定数関数を微分したらゼロになることに対応しています。
等比数列の階差数列を取ると、等比数列になるのは、指数関数を微分すると、指数関数になるのに対応しています。1、4、9、16、25、みたいな数列の階差数列を取ると、等差数列になるのは、2次関数を微分すると1次関数になることに対応しています。

「漸化式を解く」というのは、なにに対応しているでしょうか。これは、関数でいえば、微分方程式を解くことに対応しています。微分方程式を解くのは、高校までの数学では、大きくは扱いませんが、漸化式を解くのは、ずいぶん、やらされます。微分方程式を解くのも、漸化式を解くのも、非常にテクニカルであるところも共通しています。

 なぜ、これほどまでに明らかなことを高校では習わないのかと言えば、不正確だからです。いまは私は教師でなく、自由な立場から申し上げられますが、じっさいに関数や数列を教えるとき、これを言ったら、混乱をきたすでしょう。きっと、ほかにも言っているかたはおられると思うのですが、とりあえず、自分の記事として、まとめました。値を複素数にとるような関数や数列でも、同じようなことが言えます。これも、高校の範囲を超えていますが、大学では初年級で習うことです。

 専門的になって、多くのかたにはお読みいただけない記事であり、しかも知っている人にはひたすら当たり前かもしれず、失礼いたしましたが、本日はこのへんまでです。お読みくださり、ありがとうございました。

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