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川越旅を通して~あの人はどこから来てどこへ行くのか~

足を怪我して、遠出ができなくなったのもあり、インドアな楽しみで休日を充実させて来た。
だが、せっかくの三連休、「多少の冒険はしてみたい」と思い、楽では無いが、電車、バス、タクシー、松葉杖の移動を駆使すれば何とかなる街、「小江戸」に行って来た。

本川越駅に降り立ち、まずは「ラーメン二郎」を食べ、休憩目的にスタバへ入る。ここまでは、本川越駅に来た時に、時々私がやる定番コースだ。
二郎で重くなった身体を松葉杖が支えられるか!という意味ではチャレンジングだったが、何とかなった。

そしてバスで蓮馨寺に行った。立派なお寺であった。来週の祭りの準備をしている雰囲気も一部にあった。お寺に関わらず街全体がそうだ。
祭りじゃなくても、人は多いが。
松葉杖で移動すると、少し止まると通行人の邪魔になってしまったりして、時折難儀する。しかし、それなりに気を遣ってくれる人もいて、嬉しくもなる。

お寺の向かいにあるレコード屋兼カフェバー「レレレノレコード」に入った。

HOME - レレレノレコード | 川越にあるレコードとカフェのお店 (re4.jp)

古き時代からある建物に、カウンターとテーブルがあり、レコード等が大量に売られている。古い新聞やポスターが貼られ、ミラーボールが怪しげな光を放ち、自分が生まれても無い時代に「戻った」ような懐かしさを覚える。

だけれど集う人、働いている人の大半は「最新形」を生きている。一芸に秀で、それなりの賞を取ったが本業では無い人。尖ったセンスと考えを持ち、これから一芸で突き抜けようとする人。複数の仕事をしている人。そして足を怪我したのに観光や呑みに来ている人。(これは自分か)

新たな出会いも久々の再会もあって、来てよかったと思ったし、相変わらず飲み物は、寄をてらったメニュー名だが見た目はお洒落、味はキャッチーでおいしいものが多く、ご飯も変わらぬおいしさだった。
あのサイケデリックな雰囲気とクオリティの高さは、一度体感してください、としか言えない。

「レレレノレコード」にいる間に雨が降り出し、「やっぱり降ったかあ」と傘を差す、道行く人々を眺めていた。雨が降っている中での松葉杖の移動は滑りやすいし危険だ。宿まではタクシーを考えたのだが、ふと店を出た時、「行けるな」と思い、結局松葉杖で宿まで向かった。たまたま雨が止んだのと、アスファルトは松葉杖が滑らないという「常識」が分かったからだ。
(おすすめはしない)

アスファルトを照らす外灯の光が雨に滲む通り。やがて、温かな光を放つ立派な古民家が登場する。そう、宿泊するゲストハウス「ちゃぶだい」だ。

Chabudai(ちゃぶだい) Guesthouse、Cafe&Bar (chabudai-kawagoe.com)

スムーズかつ、足の怪我にも配慮頂いた説明と寝床への案内の後、真ん中にちゃぶ台が置かれた共用スペース(「レレレノレコード」より更に100年分くらいタイムスリップしたような畳の空間である)で寛ぎ、他の宿泊されている方や働かれている方々と色々な話をした。(お酒がおいしく結構呑んだのと、苦労しながら食べた巨大ハンバーガーの肉のおいしさが忘れられない。野生を感じる味だった)

当たり前だが、夜だから外は暗い。共用スペースから見える廊下とその先の庭の様子は僅かしか分からないし、逆側の、カフェやバー、受付空間の先にある、松葉杖で来た通りも、薄暗い。しかしタイムスリップしたかのような空間で、面白い人達と多岐に渡る話をすると、そんな当たり前がかなり不思議な事に思えてくる。

もしかしたら、ゲストハウスの外にはただただ広大な宇宙空間が広がっていて、どこまでも浮遊していくのではないか、という荒唐無稽な感覚。

荒唐無稽な事を考えたのは、ちゃぶ台を囲った人達が多様かつ自由だったのも大きい。さすがに宇宙に行った人はいなかったが、転勤しつつ、日本のあらゆる場所を深く旅する人や、世界中を渡り歩いた人もいた。その人が大切にしている事や、出身地への思い入れやこれから挑戦したい事、更にはディープな音楽や文学等のカルチャー話、世界情勢まで、話は尽きなかった。

ちゃぶ台を囲って語り合う事が、旅において(もしかしたら人生においても?)重要な中継地点な気がしたし、長い付き合いを経てお互いの素性を知り尽くしている訳では無いのに、ふとお互いの考えの根幹を理解し合える、匿名性と固有性がブレンドしたような、古いような新しいような「人との出会い」の形がそこにはあった。

それにしても、「ちゃぶだい」の魅力は古民家の雰囲気と開放的な空間の他に、丁寧な対応と清潔さもある、という事は強調したい。宿泊サービスを提供するのだから清潔さは当たり前と思われるかもしれないが、(自己管理が凄く得意という訳じゃないのに)たまに妙な潔癖症になる私でも、気になる点は無かった。働かれている方々の丁寧さなのか、古民家の利点なのか、その両方か。

当然、宇宙船では無くゲストハウスなので、朝が来て、外の景色は庭であり通りである事を確認した後、おいしい朝食を頂いてぼおっとした時間を過ごしてから、チェックアウトした。ミニシアターで映画を観ようとして、図書館に行って休憩していたが、旅の疲れを感じ、映画は観ずに帰った。



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