書評:『中国がトランプに完全に敗れる6つの理由』(日高義樹)

どうもこのなるこの話題、日高さんの本を読んでみました。日高さんは、元NHKの特派員で、米国の共和党系の取材で定評のある人です。米国側のポジションの人だと思われるので、情報の真偽のほどは私にはわかりませんが、毎度、その視点が為になります。

安全保障上の話としては、「中国の沿岸からのミサイルが米国の空母を飽和攻撃するので、米国の空母が無力化された」的な話は、解決されたとしています。「米国は、巡航ミサイルをたくさん積んだ小型の原子力潜水艦を作ったので、それを、中国の防衛線をかいくぐらせて、沿岸に巡航ミサイルを撃ちまくることで、レーダー網などを破壊できて、色々な中国の拠点を破壊できるからダメよ。あと、最近の米国の潜水艦は、海の中でも通信ができて、秘匿もできるから、結構強いのよ」という話でした。そもそも、例の中国の脅威というものは、「空母って高いけど、一発1000万円そこらのミサイルのまぐれ当たりでもしたら、割りが合わないよね」というのが発端だそうです。また、その中国のミサイルも、長距離で動く空母に当たるのか、誰も確証がないそうです。さらに、米国は無線で起爆できる機雷を中国沿岸に設置しているので、いざ戦争になったら、無線で中国の艦船をドカンだそうです。

あと、これは日高さんの本で繰り返し語られていることですが、「いざ中国が米国と戦争しようとした時に、シーレーンが確保できないから、勝てないし、戦争を始めることもできない」ということです。中国は、西アフリカと中東から石油を輸入しているので、インド洋を守れないとアウト。でも、インドが空母をもう3隻持っているので、中国の軍隊ではインド洋の自国の船を守れない。そもそも、シンガポールに米国の基地があって、マラッカ海峡通過できない。というものでした。まあ、欧州への輸出も多いので、海運が止まると、中国の戦争を続けられないそうです。ここは固いかなと。

中国経済についても色々書かれておりますが、要するに、2015年から中国経済は縮小しており、人口がまだ増えていることを考えると(労働人口は減っているんですが)、結構厳しい。「統制経済になっているし、自由なアントレプレナーシップもなく、国営企業中心の経済では、立ち行かなくなる」そうで、中国の富裕層も、外国に逃げて、キャピタルフライトが起きている、といっています。まあ、最近、キャピタルフライトの方は止まってきているようですし、経済については、鵜呑みにせず、様子をみてみようと思います。

別途、石油にしても、最近は陸路でカザフスタンあたりから輸入する話も出てきておりますし、欧州の中国が鉄道で輸出が増えているという話も聞きますので、まあ、数の問題はあれど、日本としては油断しすぎないほうが良いように思います。2020年代は、典型的なランドパワーたる中国と、シーパワーたる米国の覇権争いになりそうで、海洋国家たる日本は、どちらにつくべきかは明らかであろうと思います。

また、日高さんの「北朝鮮は核戦力で、韓国併合を目指している」というのが不気味でなりません。


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