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書評『ビジョナリー・カンパニーZERO』 (ジム・コリンズ, ビル・ラジアー)

ベストセラーは面白いですね。やっぱり。

HBR(ハーバードビジネスレビュー)を読んでいて面白いと思っていた記事って、多分、ジム・コリンリズの記事だんだろうなと思うんですが、その最初の頃の論文を、追記して後で出したのが、ビジョナリーカンパニーZEROというこの本。

原題は"Beyond Entrepreneurship 2.0"で、"BE 2.0"のようです。まあ、ゼロになっちゃいましたが。

CEOになるなら必ず読めと思う

CEOやったことないのに、偉そうにすいません、という感じです。はい。

経営者になるときの心得とか、これはやっちゃダメよ、とか、これをやりましょうねというのがいろいろ書いてあるのがこの本で、特にスタートアップ企業を作る人にはよく役立つのではないかと思います。

スタートアップ界隈では、よく「100人の壁」なんていう話を聞きますが、そういった企業の歴史や規模に応じてやるべきことなどにも、この本は対応しています。そこがすごく良いです。

ビジョナリーカンパニーという日本の本には、1−4までありますが、それぞれの内容と、オリジナルの"Beyond Entreprenueurship"の論文と両方が入っているエッセンシャル版なので、これは売れるでしょう。

内容を振り返りますと、、、

ビルと私の物語。
師匠であるビル・ラジアーさんが、ジムコリンズを見出して大学教授にしたという話。その師匠のビルさんは良いメンターであり、経営者だったんですね。その話が最初にあります

最高の人材がいなければ最高のビジョンに意味はない
まあ人の話。金だけで釣ってきちゃダメよという話でもある。人が思うように集められないのがスタートアップだから、頭の痛い話でもあるよなあ

リーダーシップスタイル
リーダーのスタイルは一つではないけど、ダメなリーダーというのは典型的にいて、そのタイプはすごく似ている。最初に出てくるダメな社長の例があるんだけど、あるあるすぎるので、これをやらないようにするだけでも結構違うよなあという。

ビジョン
最近、パーパスの話がたくさん出てきますが、これが元なんですね。ビジョンというのは、パーパスとミッションを定めて、あとは、価値観を描こうという感じですね。それを全部まとめて、ビジョンだと。

幸運は諦めないものにおとづれる

まあねぇ、計画は慎重に。実行は楽天的に。じゃないとやってられないものなあ。

偉大な企業を作るための地図
規律ある人材、思考、行動、と永続する組織ですと。

戦略
個人的には印象に残らない。こっちの方が詳しいし、印象に残るね。

戦略論としては、基礎的なものかと。戦略を勘違いしている輩が多いので、その定義をしている程度かな。

イノベーション
ビジョナリーカンパニー4って感じ

卓越した戦略の実行
ちゃんとタスク管理しようね、という。楽天文化がこの辺は優秀です。

やっぱり役に立つ本なんだよなあ

成功したスタートアップの社長が、起業前に6回読め と言ったというが、まさにその通りだなあと。

特に最初の方の、人集めろとか、リーダーシップの話とか、ビジョンの話というのは、大事だと思うんだよなあ。人のやる気を削ぐような偉い人がたまにいるけど、その害悪たるや、ひどいもんです。まあ、企業にしちゃえばすぐ潰れるんでいなくなるんですけど、大企業のシステムの中では温存される時もあるので、なんともですね。

第六章以降は、規模が大きくなってきたときの企業統治や戦略の話が結構ありまして、これも役に立つのではないかと思います。「詳しくは、各ビジョナリーカンパニーの本を」なんでしょうけど、要点はまとまっているので、まず、これを読めでよろしいかと。

確かに、これを6回読んでいれば、知識としては十分だろうと思う。
あとは、実際にこの通りにやれるかどうかだけど、まあ、難しいね。

本の構成も素晴らしい

まだ6回は読めていないのだけれど、数回は読んでみた。この本は、リーダーにはとても良いと思う。

実はこの本、古い部分に新しいものを書き足して成り立っている。全部読むと詳しくなっているので、最初は全部読んだ。

次に、昔のまんまのところだけを読んでみた。この体験もすごく良くて、それは、長くなくて、シンプルなところがすごく良い。大事なところだけが頭に入ってくる。

全部読んだ方が良いのは、大学→MBAみたいな社会人経験がない人であれば、こっちを全部読んだ方が良い。逆に、リーダーとしての経験は十分豊富な社会人の人が読むなら、昔の部分の抜粋だけの方が、要点がボケずに良いのかもしれないと思う。

おすすめは、全部読む → 昔の部分だけ読む を繰り返してみること。多分、経営をしている人とか、エクゼクティブの仕事をしている人は、心にしみることがたくさんあると思う。

個人的な読後の感触は、私は『孫子』に近いんですよね。

実際、そのように運用できれば勝てるけど、まあ、そんな世の中簡単にはいかないし、応用するのも技術的にも精神的にも簡単じゃない。でも、そこの極みに辿り着かないとしても、やることを導いてくれる本として、この本はすごく良いと思うので、ぜひ、CEOやリーダーやエクゼクティブな仕事をしている人がいたら、この本は読んでみてほしいと思っております。

なので、もう一度貼っておきます。




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