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書評『バフェット帝国の掟』(ローレンス・A・カニンガム, ステファニー・キューバ, 岩本 正明)

バフェットさんが公認するバフェット本というのが少ない中で、こちらは公認の本ということで、早速買って読みました。

個人的にはつまんなかったですね。いや、よくまとまっている本なんですよ。内容も悪くない。でも、ほぼ全部知ってたって感じで、Nothing Newだったんですよね。

だから、印象もあんまり残っていない。

この本はですね、バフェットからの手紙を作っているカニンガムさんが書いている本なんです。

この本が詳しいんですが、読みやすくはないので、これをまとめ直したというのが、「バフェット帝国の掟」という本でしょうかね。私の場合は、オリジナルのバフェットからの手紙を、版を重ねて読んでいるので、新しいことが入ってこないし、わざわざ解説してもらう必要もないという状況でして、魅力的には感じませんでした。

そうだよねー、うんうん

とやっているうちに、一冊終わってしまうという・・・

一応、内容を振り返ってみる

後になって、「ああ、書いてあったな」と思うかもしれないので、一応、振り返る。

目次を読み返しながら思い出していたんですが、これ、経営者バフェットを振り返る本なんですよね。普段から、投資家バフェットは出てくるけれども、経営者バフェットの側面から見ている人は少ない。ので、今までのバフェットの行動を、経営者としての行動の面から見てみようというのが、この本の趣旨です(私は、投資の話をされてもその裏にある経営者の行動を頭に描きながら他のバフェット本を読むので、新しさがない。言葉が変わっただけという)

投資のバフェットは、Margin of safety ですが、経営の方は、Margin of trustだというのが、この本の主張です。信頼できる人に任せる、その信頼の余裕度見たいのを使って、人に任せるからレバレッジするよという話。

日本人の経営者でこれがうまかったのは、日立製作所を率いた川村隆(たかし)さん。日立の多くの子会社を整理して、Trust区分を明確にして、介入する範囲をコントロールした名経営者です。

プロローグの話は、バフェットの方針。経営者が信用できなければ株は買わない。全てが信頼という話。

part1は組織マネジメントとある。マンガーがいて、副会長がいて、パートナーシップの精神で、株主の利益を考えて行動するのがバフェット。

part2は信頼と移譲の掟とある。契約でごちゃごちゃやるのではなく、信頼できる人との約束を大事にする。公式な契約がなくても約束を守るのがバフェット。だから、契約書とかシンプル。ガバナンス観点だと違うんだけど、どんな複雑なガバナンスの仕組みや組織を作ったところで、運用する人が不誠実なら意味がないのがガバナンスなんで、簡略化して、人を選んでるという話。

part3は投資の掟。PEと比べると、長い間、買収した企業の株式を持ってくれるので、行動が逆よね、という。買われた方の経営者が大事にしていたことを大事にするのがバフェットで、PEはお金優先で短期回収。

part4は課題克服の掟。判断ミスはコストのうち。まあ、グダグダミスしないように予防線を張るより、まずやってみて、学習すれば経営者も育つよねというざっくりとした方針。実業やっている人ならわかるんだけど、株価を眺めているだけの人にはわかりにくいだろうなという話かな。

最後に、バフェットも不誠実な人は容赦しないよという話。

感想

この本は、バフェットをあまりよく知らない人が読むと良いのだと思う。
バフェットは、抽象度の高いハイレベルなことからちゃんと説明できる人なので、それが理解できていれば、この本から、新しい情報はほぼない。

この本を読んで衝撃を受けるような人は、多分、公認会計士やMBAで、経営者の経験がない人。監査法人とかに多そう。

実際、ルールやプロセスや業務プロセスを整備して、承認承認増やしてみても、運用するのが悪い人なら抜け道を作ったり探すので不正は起こる。だったら、誠実な人と心の持ち用だよね、という、半分、仏教や禅にちかい考え方が米国の中西部にあって、バフェットはそこの文化の人なんだと思う。ので、禅な感じな日本人とか、武士の世界とバフェットはよく合うと思うんですよね。基本、義理と人情で、あとは武将に任せたって感じですから。

しかし、このバフェットの方法が、きっと世界で一番大きな会社を運営できる方法論なんだと思います。アルファベット然り、ソフトバンクしかり。優秀な経営者たちの経営者であるバフェットさんの仕組みが知りたければ、この本を読んでみるのが良いのだと思います。

が、優秀な経営者を探すのって、すごく大変なんですけどね。それをするための知識に、財務があるというのが、バフェットの答えなのかもしれない。

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