重要会議がひらけない中国

日経ビジネスの「中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス」より。

現在、中国では重要会議がひらけていない、延期中とのこと。そして、それが様々な憶測を呼んでいる。この重要会議がひらけない、といういかにも東洋的な事柄(そもそも時期が決まっていない、曖昧な会議設定)自体の分析は、同じく曖昧な日本人には得意であるような気がする。いつも、筆者の福島さんは、東洋っぽい分析をしていて好感が持てる。こういうネチネチした分析が、対中国には重要であると私は思う。一方、キッシンジャーみたいな超論理的な分析は、中国の分析には実務的には向かないと思う。

さて、福島氏のコメントを一部、引用させていただくと、

米国の要求とは、中国がアメリカへの挑戦と覇権の野望を諦めること、そして米国式のグローバルスタンダード、つまり知財権保護ルールや金融、資本、為替を含む経済の市場化ルールを尊重すること。具体的には、中国製造2025戦略や一帯一路戦略を放棄することであり、今中国がやっている市場や資本、企業に対する党の介入をやめることである。もし中国最高指導部がこれを受け入れるとなると、おそらくは一帯一路戦略を党規約にまで書き込み、党の基本戦略と位置付けた習近平は政策ミスを認めて責任を取らねばならなくなるだろうし、それにとどまらず、資本や為替の自由化は中国共産党体制の崩壊の導火線に火をつけることになるだろう。

とある(太線は私が追加)。これは、かなりわかりやすい。これを意味することは、以下の4つである。

・中国共産党は、市場や資本、企業に対して介入している
・中国は、知財権保護ルールを守っていない
・中国は、金融、資本、為替を含む経済の市場かルールを尊重していない
・上記の3つをやめると、中国共産党体制は崩壊する

米国式グローバルスタンダードに応じて、共産党体制を崩壊させるか、他の選択肢があるのか、プランのない中、中国は道を探っている。

私は、日本としては放置の一手、もし、「米国にお前どっち派だ」と問われれば、「もちろん、米国派ですよ。同盟国じゃないですか」というべきだという意見を持っている。

めちゃくちゃな規制を強いて、自由資本主義経済とは程遠い中国に下手に歩み寄り、「世界に必要なのは自由貿易だ」なんだと言って見ると、ものすごい返り血を浴びるに決まっている。

米国からしてみれば、
「なんだ、お前ら、自動車ばっかり輸出しやがって、関税あげるぞ」
「何か自由貿易だ!お前ら、コメも牛肉も解放してねーじゃねーか」
「中国と仲良くする奴には、F22売らねーぞ」
となるわけで、大人しくしとけ、と思うわけである。

米中貿易戦争という面で言うと、もはや、中国は米国に深く攻め込まれており、早くも、追い込まれている状況にある。まだ、うっちゃりの一手があるのかもしれないので、経過観察は必要だ。しかしながら、米国がこう言う戦争を起こすのは、用意周到な戦略戦術を立て、十分な準備をしてからである。トランプ大統領という見せ球で狂って見えたかもしれないが、共和党の軍隊中心の幹部人事であり、実態は結構用意周到なのかもしれないと思う、今日この頃である。



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