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領置調べのお迎えが来て、私物を全部持って部屋を出る。みんなでセンター仕込みのキレッキレの行進をしながら新入りのときにも入った新入調室へ向かう

出所まで687日(木曜日)

 ついに出役停止の日。部屋のみんなとは今日でお別れなので、朝食後に最後のごあいさつ。そこそこの期間一緒にいて、センターを乗りきった仲間なので寂しい。みんなが出役していくくらいのタイミングで正担がやってきて「行った先でも頑張れよ」と声を欠けてくれた。わざわざそんなことを言ってくれるなんてありがたい。そしてみんなが出役していく。

 部屋に1人残され、10分ほど窓側の方を向いて安座で待機していたら、後からドアがガチャっと開く音がした。「いよいよか」と思いながら振り向いたらなんと副担が立っていて、「頑張れよー」と激励してくれた。わざわざそれを言いに戻ってくれるなんて…。正・副担両方から気にかけてもらえて、センターがんばった甲斐があるわ…。先生たちと会えなくなるのも寂しい。本当にいい先生たちだった。

 それから待つこと10分。いよいよお迎えの先生が来て、「よし、布団、キャリー、私物袋、全部自分で持って上の階行くぞ」と言われる。荷物多いし、重すぎるし、台車なしで1人で運ぶのはムリだろ!?と困惑していたら「んじゃ布団はこっちで持つから、あとは気合で階段上がれ」と優しくも根性論を出してきた。荷物パンパンのキャリーを持ちながらなんとか階段をのぼり、新しい雑居部屋に入る。部屋には先にセンターから消えていた先輩方がいて、僕の後から例の神拘から一緒の子が入ってきた。このメンバーで同じ刑務所へ移送ということか!?

 荷物を片付けて落ちついたところで このフロアのオヤジがやってきて、「まあ、この部屋に来た意味は分かってると思うけど、これから領置調べして、明日これだから」と親指を後ろにクイッとやって、移送を暗示するしぐさをしながら言ってきた。その言葉通り すぐに領置調べのお迎えが来て、私物を全部持って部屋を出る。みんなでセンター仕込みのキレッキレの行進をしながら新入りのときにも入った新入調室へ向かう。例の恰幅のいいオヤジが「おう!待ってたぞ!!見送りできてよかったわ〜」と迎えてくれた。そのオヤジと領置されていたものを含めて移送先に持っていく荷物を確認しつつ、ダンボールに詰めていく。

 どうやら明日は電車で移送のようで、荷物は自費で郵送しなきゃいけないらしい。かなり量があるので、7000円近くかかるかもとのこと。マジか!?まあ必要経費なのでしょうがない。でも領置金がない人はどうするんだろうか。

 途中、移送前のPCRと問診のために医務に連れていかれる。ここでもみんなでキレッキレの行進をしていたら、帰ってきたときに恰幅のいいオヤジから「もうそこまでやらんでええ。病気やで…」と言われ、ちょっと苦笑い(笑)部屋に戻ってから みんなで「俺ら病気やったんや(笑)」と大盛り上がり。我々センター生は行進に限らず様々な諸動作や居室内の生活までうるさく言われていたので、他の懲役囚とはちょっとズレているらしい。

 午前の余った時間は鶴折り作業をやって、午後は作業なしで矯正指導日のように読書のみOKの時間を過ごす。途中オヤジが来て今日までの報奨金を告知される。今回は677円。他の先輩方は1000円超えていたりしたので、どうやら等工による差が出ているらしい。センターにも等工ランクが存在するのか!

 2時頃に戸外運動に出て、雑居用?の鳥小屋運動場で30分雑談して過ごす。その移動の際の行進もキレッキレだったので、部屋に戻ったときにこのフロアのオヤジが「お前ら行進とかの動作最高だわ(笑)行った先でもそんな感じでしっかりやれば、そっちのオヤジからもいい評価もらえて職訓行きやすくなるし、仮釈ももらいやすいわ」とめちゃくちゃ褒めてくれた。毎回キレッキレの動作をするのは確かにしんどいところもあるけどメリハリがつくし、何よりやってて楽しいので今後も継続したいと思う。

 夜はみんなでどこに移送なのかを予想して盛り上がる。そこでこの部屋にはバスで移送と告げられた組と電車で移送と告げられた組があり、全員が一緒の移送先ではないと気づく。神拘から一緒だった子も一緒ではなくて本当に落ちこんだ。工場の配属先まで一緒ってことはないにせよ、考査とかも含めて知っている人がいると安心するもんな。

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