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親子の未来を拓く子どもとの関わり方 ~今、親として出来る事~

1 親子のひらかれた未来

①子育ての後悔

「なぜ、こんなにもすれ違うんだろう?」その昔、子ども達と関わっている時いつも感じていた事です。

  • 「こうしてみたらいいんじゃない?」

  • 「今度、こんなイベントがあるんだって行ってみたら?」

  • 「この間出会った人、すごく面白い事してる人だったよ。会ってみる?」

  • 「何でそう思うの?こんな考え方もあるよね?」

  • 「こんな話を聞いたよ。就活に役立つんじゃない?」

親として少しでも子どもの未来に役立つ事が出来ればと何かを提案したり、何かをアドバイスしたりしても子どもにはなかなか響きませんでした。

  • 「考えとくわ。」

  • 「そうかもしれないね。」

  • 「分かった、分かった。もういい?」

親としていい事をしているつもりなのに、子どもからの反応は期待していたのとは真逆で、迷惑そうな顔をしながら気のない返事が返ってくるだけ。こんな事が続き、子ども達とどう関わっていくか途方に暮れていた時の事を思い出します。

これが、今20代後半と30代に入った社会人の子ども達が思春期の頃の我が家の親子関係でした。
子ども達との関係が悪化したのは中学受験がきっかけです。(この話は長くなるので、もし興味を持っていただいた方はこちらの記事をお読みいただければと思います。)

「このままでいいはずがない。でも、どうしていいか分からない。」ずっと子どもとの関わり方に不安を抱えながら、日々の生活の忙しさにかまけて、真剣に向き合う事がないまま過ごしてしまったあの頃。

今、子ども達が社会人になり社会の中で人にもまれ、自分の仕事へのやり方や仕事そのものに迷いや先行きの不安を感じた時、自分自身への信頼や可能性への期待などを子ども達から聞いていると、学生時代のいろいろな経験が暗い影を落としている事に気づきます。

中学や高校も含め親が子どもと一緒にいられる時間は長い人生の中のほんの一時期に過ぎません。だからこそ、その時期を大切にすべきだったのに出来なかった後悔が今でも残っています。

「自分が感じている後悔を今子どもを育てている親御さん達には感じて欲しくない!」
この思いが「何か自分に出来る事はないだろうか?」という気持ちにつながり、子どもとの関わり方をテーマにしたワークづくりの原動力になりました。

②学校で感じた親子のすれ違い

さらに在職中、家庭科講師として長い間、職員室で、家庭科を通して提出される生徒達からの課題を通して、いろいろな親子関係を垣間見る中で「どうしてこう親子の思いはすれ違ってしまうのだろう?」と感じていました。

「親の期待にこたえたい」でも「自分の人生を自分らしく生きていきたい」という子どもの思い。
「子どもの幸せになって欲しい」「社会に出ても自分の人生を充実させて生きていって欲しい」という親の思い。
親子の思いは同じ方向を向いているはずなのに、なぜかすれ違っていく時があります。それが相いれないと本当に大変な状況になっていきます。

そんな状況を見ている中で親にとっても子どもにとってもひらかれた未来に今をつなぐために自分が出来る事を考えるようになりました。
その頃「進化思考」に出会います。そして、これをベースに親御さん自身が自分の子どもとの関わり方を見つめ直し、今の時代に合わせて子どもとの関わり方を進化させていく事で、親と子両方が望む未来につながっていくのではないかと思うようになりました。

「進化思考」については下記のリンクを参考にしてください。

今回、ある親御さんの集まるコミュニティで実際に進化思考をベースにしたワークショップの一部を行わせていただきました。
ここでは、その時に実施したワークの内容とそのワークに続く別のワークを紹介させてもらえればと思います。

この内容が子どもとの関わり方を進化させ未来をひらいていきたいと願う親御さんにとって少しでもお役に立てればと願います。

2―1 具体的な関わりを見つめ直すワーク

最初のワークは、今やっている子どもとの関わり方を見つめ直すワーク。内容は子どもとの関わり方を言葉短いフレーズで書き出してもらい可視化してもらう事で、自分の中で子どもとの関わり方を言葉にし、それを書き出す事で何かの気づきを得たり見え来たりするものを探してもらうワークです。

白い紙に直接書き込んでもらってもいのですが、付せんに書き出す事で書き出した言葉やフレーズをシートの上で移動したり削除したり出来ます。
そうする事で、より多くの深い気づきを得る事が出来ると思います。

今回関わり方を見直してもらうために取り組んでいただいたテーマは3つ。「関わり方の中身」「関わり方とつながりがある事やもの」「これまでの関わり方」。これは進化思考の時空間マップをベースに作成しました。

「進化思考」時空間マップ参考

実際にやっていただいた事はこちらで読み上げる問いに対して、参加された皆さんに思い浮かんだ言葉やフレーズを付せんに書き出し、各テーマについてのシート(または白紙)に付せんを貼っていただく作業。
各テーマについての問いの内容は下記の通りです。


各テーマについての問いかけの内容例

2-2 未来をイメージするワーク

次に取り組んでいただいたのは未来のイメージワーク。今のままの子どもとの関わり方から予想出来る未来と自分が望む未来の予測。これも「進化思考」をベースにしたものです。
未来のある時点を設定し(このワークの場合は〇年後、子どもが〇歳の時という設定)予想と予測を比べ、その違いに気づいた上で、では望む未来につながり、未来を切りひらいていくためには何が出来るかというベースになるものでとても大切な内容となります。

「進化思考」をベースにアレンジしたワーク

3 今、自分に出来る事

最後は、ご参加いただいた方に「今ご自身に出来る事」を書き出していただくワーク。これはすぐに出て来る方と難しい方がいらしたと思います。説明したスライドは次のようなものです。よろしければ参考にしてください。

「今、自分に出来る事」

親子関係は繊細でとても個人的なものだから、ワークに後に参加者全員でシェアをしていくのは難しいと思われます。今回は時間も限られていたので、グループに分かれた気づきや感想のシェアなどは出来ませんでしたが、進行をつとめていただいたコミュニティの主催者の皆さんがいろいろコメントをして下さり、参加された方にとっては何かのフィードバックになったのではないかと思います。

4 次のステップ

ここまでのワークで、この時のワークショップは終了となりました。
ここから進化思考を使い、次のステップにつなげるとしたら次のような内容が考えられます。

これはワークシートやスライド資料などをまだ作成していないので文章のみの説明になりますが、興味を持っていただいた方は「進化思考」の本を参考にぜひ取り組んでもらえればと思います。

5 書き出した内容の観察

まで取り組んでいただいた(大きく分けて)3つのワークで書き出した言葉やフレーズは、とても貴重なデータとなります。
それは親御さんが今まで漠然と感じていた事や何となく思っていた事が見える形になったものだからです。

ひょっとしたら自分では思いもかけなかった無意識の中から出て来たものもあるかもしれません。なので言葉やフレーズ書き出したシートを進化思考の「時空間マップ」を参考に、広めの場所に並べてみてもらえればと思います。

まず中央に関わり方を考えたお子様の名前を書いた紙を置く。

  • 左に「子どもとの関わり方の中身・関わり方を解剖したシート」

  • 右に「子どもとの関わり方の周りの関わり方とつながりがあるモノやコト(生態)を書き出したシート」

  • 下に「これまでの関わり方(系統)を書き出したシート」

  • 上に「未来の予想と予測

太字の解剖・生態・系統・予測は「進化思考」に対応したものです。

こうして並べて全体を俯瞰してみた時、何か気づく事はないでしょうか?
見えて来た事があれば、それも別の紙に書き出しておくと後で役に立つはずです。

さらに気になった言葉やフレーズについて考えてみましょう。
それが子どもとの関わり方にもたらす事はどんな事でしょう? プラスの面とマイナスの面を考えてみる事も出来ます。
それぞれの言葉やフレーズにつながりはないでしょうか? あったとしたら、そのつながりが意味する事はどんな事なのでしょう?

逆にどこか違和感を感じる所はないでしょうか? 抜け落ちている事や足りない事。そこに何かを足していくとしたらどんな事でしょう?

これも進化思考全体から見ると一部に過ぎません。ここまでが「適応」というプロセスになります。
この適応のプロセスは、子どもと一緒に関わっている人と一緒に考えたり、信頼できる第三者と作業すると自分だけでは気づかない事に気づける可能性が高いかと思います。
ここまでで、自分の子どもとの関わり方についていろいろな気づきや思いが出てきたら今度はその関わり方を進化させてみませんか?

6 関わり方の変異

「進化思考」には適応の他に変異というプロセスがあります。今度は自分の今の関わり方を変異というプロセスで考えてみると思いがけないヒントを得る事が可能性が広がります。
変異のプロセスは下の図のように子どもとの関わり方について9つの点から考えてみる事。

「進化思考」より抜粋

図に質問があるように、子どもとの関わり方で今の関わり方を変えてみる事が出来ないかを考えてみるワークだ。ちょっと突飛かもという位の方がヒントを得られます。

例えば「変量」。今どうしても口うるさく子どもに何かを言ってしまうのであれば、一定期間を設け極端に子どもに口出しする回数や時間を減らしてみるとか?

「擬態」。いつも「あの人の子どもとの関わり方っていいなあ」と思う人がいるとしたら、その人の関わり方を真似してみるとしてみるとか?

「分離」。兄弟がいて、いつも上の子や下の子と比べながら子どもと関わっているのであれば、関わり方を切り離し、その子に合ったその子だけの関わり方を考えてみるとか?

「逆転」。いつも何かを教えたり指導したりしているなら、逆に子どもから何かを習ったり指導してもらうとか?

「欠失」。つい手を出してしまうなら、一日でもいいから全く何も子どもの世話をしない日をつくってみるとか?

「融合」いつも子どもに合わせたお出かけばかりだったら、思い切って親御さん自身が心から楽しめる場に子どもを連れて行ってみるとか?

こんな感じで関わり方を考えてみてはいかがでしょう?実際にやってみてもいいかもしれません。ここにあげたのは私が考えた一例で正解などはありません。

これも誰かと一緒にゲームのような感じで考えてみると子どもとの関わり方に対する感覚が違ったものになってくるかもしれません。

7 どうするかは自分の選択

ここまで「子どもとの関わり方」のワークについてまとめて来ましたが、子どもと親御さん自身の未来をきりひらき、親子それぞれが幸せな人生を歩むための選択は自分次第なのだと思います。

私が子育てをしていた頃とはくらべものにならない程変化のスピードが速く激変する「正解のない」時代に、子どもとの関わり方も単に「変化」ではなく「進化」させて行く事が大事なのかもしれないと感じています。

8 まとめ

自分自身の子育ての失敗から来る後悔と家庭科教師として学校で感じて来たもどかしい思いから、子育てを終えた今、自分に出来る事を考え「進化思考」を使ったワークショップを開催させていただきました。

今回、このような貴重な機会を与えていただいたコミュニティの運営スタッフの皆様、実際にご参加いただいた皆様には心から感謝しています。

時間の都合でワーク全体を紹介出来なかった事は残念でしたが、この記事の内容が少しでもお役に立てば幸いです。

そして、最後までお読みいただいた皆様、ご自身でもワークに取り組んでいただけるよう説明を入れたつもりですが、分かりにくい内容でしたら申し訳ありません。

このワークはあくまで「進化思考」をベースにしたもので「進化思考」自体のワークの内容とは異なりますのでご了承下さい。

また、ここで紹介させていただいたワークショップ全体を個人でオンラインなどで開催出来ればと思い現在企画中です。興味を持っていただいた方には、ぜひご参加いただければと思います。

長文をお読みいただきありがとうございました。この内容が「子どもとの関わり方」に不安や迷いを抱える方が何かの参考にしていただければとてもうれしく思います。〈終わり〉