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紫色の夜を超えていこう~僕らのマジックアワーラン~

今年3月にspitzの新曲が出た。
タイトルは「紫の夜を超えて」
紫の夜ってどういうことなんだろう?天邪鬼なマサムネさんのことだから、また本人にしかわからない何かなのかなあ、くらいに最初は思っていた。
この曲はTBS系列 NEWS23 のエンディングテーマとして今年1月からテレビで流れている。アナウンサーの方がこの曲を紹介した時に「どんなニュースがあっても、この曲が最後に待っていてくれます」と言っていたとspitz友達が教えてくれた。ニュース番組で流れる情報は、心が重くなることも多いと思う。いいことも悪いことも、まずはそのまま受け止めてくれるなら心強いね、素敵なコメントだなって思えた。テレビがないから、この番組のエンディングで、どんな感じで流れ出すのかは未だにわからないままだけど....。

最初にガツンと衝撃を受けるわけではなく。
spitzの曲は聴きやすくてさらっと耳に流れてくる印象もあるのかな。でも、聴いていくうちにじわじわ馴染んで、繰り返し聴いても飽きることはなくて、時間を積み重ねていくと新たな面が見えたり受け止め方が変わることもあっておもしろい。紫の夜を超えても、最初は特にこれといったインパクトもなく(すみません)聴き続けていた。
そして、何だろう?と思っていた紫。
「夜明け前の空、少しずつ明るくなる中で紫色になる時間もあったりする。もう少しで夜が明ける時間。今の状況(主にコロナ禍で起こっている様々なことかな)も明ける方向にむかっていくし、むかっていくんだよ。そんな時間を超えていこう。」
インタビューなどの話を聞いて、こう思えた時。
紫の夜を超えて という曲が、なんて心強くいてくれるんだろうと思えた。

そんなことを思っていた4月下旬。twitterで紫の空の写真を目にした。
はっ!紫色の空だ、本当にこんな空があるの⁉
その写真にある道路標識には”小金井街道””所沢街道”。めっちゃご近所!
そしてハッシュタグには#朝ラン#ランニング の文字!走るひとだ。
仲間!と、一方的に親近感を感じ興奮して、思わず聞いてしまった。
「紫色の空は、何時頃に出会えるのですか?こんな空色に会ってみたいと思いました。」
すぐにお返事がきた。「早起きして日の出の30分ほど前に会えます」
日の出の30分前!4月下旬の日の出は5:00くらい?.......ということは、4:30には外にいなければ。4時台にランニング、起きられるのか?でも、もう少しでゴールデンウィークだ、連休中にチャレンジしてみよう!と決めた。そして、その方が投稿している朝焼けの写真にはマジックアワーという言葉もよく出てきている。マジックアワーってなんだろう?


日没前や日の出後に数十分ほど体験できる薄明の時間帯を指す撮影用語で、光源となる太陽からの光線が日中より赤く、淡い状態となり、色相がソフトで暖かく、金色に輝いて見える状態である。Wikipediaより

オレンジ色、金色、紫色、紺色など徐々に染まり方が変わっていくともある。紫色...そんな時間をイメージしている曲だったんだ。

紫色の夜を超えてみたい。

以心伝心?ランニング仲間から声がかかる。
紫の空を見たい、連休のど真ん中にみんなを超早起きさせるオンラインランイベントしようー!と。即OK!やろう!わくわくしてきた。

2021年5月3日
4時起床、寝坊はせずに一安心。準備をしていると、すでに外は明るくなり始めている。いつものコース、川沿いをぐるっと1周する予定で家を出る。
川に着いたときには、すでにかなり明るい!

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この時、すでに4:30を過ぎていた。東京の日の出は4:47、日の出までもうそんなに時間もない。あの色、日の出の30分前って言ってたよな~少し出発遅かったかなあと思いつつ、この時間で遅かったかなって考えてる事が可笑しくなってしまう。
それにしても何て清々しいんだろう。空気がかきまわされてしまう前の、静かな癒しの時間、鳥の鳴き声、川の流れる音がそのまま伝わってくる。ほとんど人とすれ違うことはない、ちょっと特別な気分。ゆっくり走り続ける、気持ちよい。
と、5分もしないうちに目の前に現れた空にびっくり。紫がかっている⁉

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さっきまで見ていた穏やかな明るさからの変化。癒しを感じていた心が一気に興奮しちゃって走るスピードが速まる。真っすぐそこに向かって走り続けよう。途中、木や家に隠れて視界に入る空の面積が小さくなる、あの色が消える、ちょっとあせる。そこを抜ければ...あれ?左側が赤い。

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黒目川、という川沿いを走っていたのだけど、自分が思っていたより蛇行しているらしい。いや、地図を見れば真っすぐでないことは知っていたし、普段走っていても感じていないわけではない。写真を見てもカーブしているじゃん..でも、1~2kmの距離の中でもこんなに変化があることにあらためてびっくりした。
いつも走っているコース、視界が拡がる場所やそうでもない場所はあるし、太陽が昇る方向は知っていたのだけど不思議な気持ちになった。
さて、日の出はどこで迎えることができるだろう。
とりあえず、走り続けてみる。そして、また5分もしないうちに真っすぐ前で明るくなり始めている。

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5:00、ランニング部のみんなとzoomで集合することになっていた。ここで、その時間を迎えることにする。日の出の時間は各地違う、それぞれの場所の空色が映し出される。走り始めた30分くらいの間に、どんどん変化していく空色。数十分だけの、まさにマジックタイム。物理的には離れていても、それぞれ空の下で、同じ太陽に向かってこの時間を味わっている。

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ここまで早起きのランニングは、なかなか日常のランニングにするのは難しいけれど、またこの朝の時間を味わってみたい。空を見渡すことを考えると、日の出の時間に合わせて走ってみたい場所がいくつかある。

お休みだった昨日、そのひとつに行ってみた。
天候の影響か、この前とは違う色の空があった。朝霧と相まって、ちょっと幻想的な気分になる。

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ここは黒目川のもう少し上流に位置するところ。ここでは、赤い色が右側に見えていた。川沿いを走る楽しみ、また増えたかも。
ちなみに、この前より散歩したり走っている人がちらほらいて、どちらからともなく、おはようございますの挨拶が自然に出てきた。この時間にすれ違うって、ちょっと秘密めいた素敵な時間を共有している感覚。
またランニング部のみんなとも走りたいな、走ろう。季節や天気、ちょっとした時間の違いで、まだ見たことのない空色がたくさんあるはず。

この日も折り返し戻る頃には、すっかり日が昇っている。日が昇ってしまったら、いつもの時間だ。川沿いもランナーや散歩をしている人が増えてくる。1日が始まる。
紫の夜を超えたら...いつもの、普段の、日常の景色がそこにあった。

少し動くのも恐れてた日々突き破り
紫の夜を超えていこういくつもの光の粒
僕らも小さなひとつずつ    spitz「紫の夜を超えて」より

もう少し?あと少し?
まだわからないことも多いけど
ちいさな光の粒々。これからも走り続けてみよう。

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紫色や小さな生き物に目がいきがちな今日この頃