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個展を終えて

個展『アバヨーイ』16日を持ちまして終了いたしました。
沢山の方にお越しいただき誠にありがとうございます。過去最大級の台風接近に伴いギャラリーも1日休業しましたがそれでも多くの方に見て頂けたことお礼申し上げます。

15の春について

個展前に少し触れましたが日本には高校のない島が多数あり、子供たちは進学のために島を離れなくてはなりません。
沖縄から東へ約360キロ離れたところにある絶海の孤島南大東島も同じく高校がありません。
島には「ボロジノ娘」という女の子だけの民謡グループがあり、中学を卒業する年の3月4日三線の日にステージに立ち旅立ちの唄を歌います。

アバヨーイ

八丈島の方言でさようならを意味するアバヨーイ、南大東島村役場の職員だった濱里保之さんという方が歌を作られ、子供たちにより語り継がれています。
15の春、旅立ちの唄、家族のあり方など色々と調べていくうちに気がつくとこの事を考えるようになり、いつしかこれを自分の手で描いてみたいと思い個展のテーマにしました。
人口1300人の島にこんなに素敵な風習がある事を、また、15歳で自立しなくてはならない事実を微力ですが多くの方にお伝えしたくて二年前から準備を始めました。

準備期間と製作期間

約2年前に個展が決まり、そこから1年間はゆっくりと南大東島のこと、ボロジノ娘のこと、琉球音楽や三線のこと、沖縄の離島問題のことを勉強し、実際に三線も弾くようになりました。
個展まであと1年という頃に漫画で子供たちの心情を描いてみようと思い立ち初めてのネームにチャレンジ。当時、娘も漫画と同じく中学3年生だったので受験に対してのプレッシャー、友達関係、家族との関係、ちょっとしたことでイライラしてしまう自分への苛立ちなどを見ていたのでそこも踏まえて漫画に取り入れたつもりです。

展示のアイデア探し

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個展のテーマは15の春
舞台は南大東島
このふたつから自身のテーマを設けました。
それは  『風』
風で様々な事を表現出来たらな
原田マハさんの作品で「風のマジム」があります。
南大東島のさとうきびで国産ラム酒を作るサクセスストーリーですが、主人公の伊波まじむが初めて島に下り立った時風が吹きます。
あっ、ちなみにまじむとは沖縄の方言でまごころの事だそうです。
僕も会場で風を感じてもらいたいと思っていたので正面には大判を飾りました。また、音も楽しんでいただきたく三線も飾りました。ポロンと弦をつまびいたり実際に構えて弾くかたもいらっしゃいました。その音だけで目の前の風が沖縄の風に変わるのではないか。そんな期待を込めて。
それと、先ほども触れた漫画。
10ページの漫画ですがどうしてもこれは原画を展示したかったので僕の原点でもある紙と鉛筆で描きおろしました。途中、iPadやつけペン、スクリーントーンなど使ったりもしましたがイラストレーターならではの漫画という立ち位置でやらねばと思い直しそれらに戻しました。
展示作品では額のガラスを外してもらいました。反射を防ぐためでもありますが、原画のもっている温かみなどを直に感じてもらえたらいいなという想いと、ギリギリまで近づいてマスキングの跡や線を見て欲しかったからです。
個展の経験は少ないですが今回の展示はやり残したことなくできたと思います。

目線

子供たちの目線で描くつもりでしたが、紙の中にいる子供たちを見守る感じが絵に反映してしまったようで結局のところ親目線で描いたかもしれません。
無理もないのかなとも思いますがここが次なる課題ですね。目で見えない部分の描き分けをもっと追究していかなくては。
それでも個展を終えて、家族のあり方を再度考えるようになりました。ですので僕自身はこれでよかったのかなと思います。
絵を通して何か少しでも感じてもらえたならばこの上ない幸せです。
これから先ひとりで生活をしていく子供たちの期待と不安を漫画にしましたのでどうぞご覧ください。

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最後に
HBギャラリーのみなさま
6日間ありがとうございました!
とても楽しい個展でした。
               
コバヤシヨシノリ

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