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校閲レディが教える文章術 とにかくこの3ポイントを!

文章作成に赤字はつきもの。「気をつけてるつもりなんだけど……」という人は多いと思います。
気をつけてるし、見直しもしている。でも、赤字は減らない。おまけに、読みにくいと言われる、意味分かんないと突き返される。

いったい、どうせえっちゅうねん!?

と思ったことがある方はおそらく、「見直す」ポイントが違うのではないかと思います。
そこで、校閲レディから見た「文章作成のポイント」について書いてみます。ポイントは3つだけです!

1. 主語と述語を確認する

よくある文章のねじれは、助詞や受身の形が合わないために起きています。たとえば、こちらの文章です。

A:●●社の新商品が発売された。
B:●●社の新商品を発売された。
C:●●社が新商品が発売した。
D:●●社が新商品を発売した。

文法的に正しく主語と述語が対応しているのはAとDのみです。

ですが、文章を書いている時に、「逆の見方も入れておこうかな」「同じ語尾が続くから変えた方がいいね」といったことを“ふと”思いつき、語尾だけ変えてしまう。すると、助詞が置き去りにされて、主語と述語が合っていない「ねじれ文」が出来上がります。(例でいうBとC)

そこで、まずは主語と述語だけを確認しましょう。具体的には、
・主語と述語の対応は正しいか
・助詞は正しいか
・係り受けがわかりにくくないか

を見ていけば、ほとんどのねじれは発見できます。
(※話をシンプルにするために、「主語」と「述語」としています。専門的な区分けでは他の呼び方をする場合も含みます)

2. 一文に主張はひとつ

はっきり言って、読みにくい文章には特徴があります。
それは、「一文が長い」こと。

自分の書いた文章を、客観的に読み直すことができるのは、ひとつの技術だと思います。なのに、主張がいくつ入っているかまで考えるなんて、ムリ!と感じる人も多いでしょう。
ですから、ちょっと乱暴ですが、「一文は60字まで」を目安にしてみてください。文章がスッキリするはずです。

これまでの経験上、一文が100字を超える文章は主語と述語の間が長いため、一読して意味が分からない・言いたいことがたくさん詰め込まれていて結局何の話か分からない・修飾語が多くて暑苦しいことが多いと感じます。

ちなみに、上の文章が100字です。長い……。
長いと感じるということはつまり、読み手に負担をかけているということです。
契約書などの法律文書が読みにくい理由は「読者に理解してもらうこと」を目的としていないからだと思います。

でも、noteを公開して自分の想いを知ってもらいたい時はもちろん、ビジネスメールや企画書を書く時には、「読者」を想定しなければなりません。次の文章に進んでもらうためには、当然、負担は減らした方がよいですよね。

文章がシンプルになると、「1. 主語と述語を確認する」もチェックしやすくなります。

3. 言葉同士がケンカしていないか

最後のポイントは、近くに並んだ言葉同士の相性チェックです。
例で見てみましょう。

○似た意味の言葉の重複

大事なのは自分の気持ちのみだけではない。

「のみ」も「だけ」も、どちらも「そのこと一つに限る」意味を持っています。じゃあ、一個でよくね?という話です。

○逆の意味の言葉が隣り合っていないか

5日前以降はキャンセル料がかかります。

言いたいことは分かるけれど、一瞬混乱してしまう使い方です。
「前」と「以降」は視点が逆を向いているので、近くに置くと読者が迷子になっちゃう。

キャンセルは5日前までにご連絡ください。それ以降はキャンセル料がかかります。

と、文章を分けてあげれば、一読してすぐに意味が分かります。

意外と見落とす、というよりも、あまり深く考えずに言葉を盛ろうとすると、この「言葉同士がケンカしている」状態にはまります。要注意。


3つの術を超える、究極の技

細かいことを言えばもっともっとありますが、とにかくこの3点さえ押さえれば、読みやすくなります。

が。
究極の技が……、他にあるんです。

それは、ここで紹介した3つの技を「徹底すること」

そして、「継続すること」

実は、最後のふたつが一番難しい。

今まで誰かに文章を見てもらったことがない人は、指摘を受けることに慣れていません。だから、モリモリ赤字の入った校正紙を手に、

「キィィィィ~~~~」

という表情になり、それに気づいた校閲レディも内心、

「ヒィィィィ~~~~」

となる……。
そんな悪循環をなくしたいと心から思います。

これが文章に悩む方の参考になれば幸いです。

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