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特別栽培米 生産者交流会レポート

生活クラブの「庄内遊YOU米 生産者交流会」に行ってきました。

特別栽培米の生産者さんのお話。
「特別栽培農作物」とはその地域の慣行栽培で定められている農薬・化学肥料の半分の使用量で育てられた作物のこと。

山形県の農薬の基準は20成分。
今回の特別栽培米は9成分の農薬でお米を作っている。

不要なものは使いたくない、それでも

最初聞いた時は正直「農薬9成分もかあ・・・」って思ったけど、そこにはやっぱり農薬を使わざるを得ない理由がある。

今回参加してくださったのは庄内の子育て世代の生産者さん。
「子供たちに安心できるお米を」「未来につながる農業を」という想いがお話の節々で伝わってくる。
生産したお米を消費財や牧場の飼料として出荷し、親生会から残渣物や絞りぬかなどを回収し肥料にしてまた米の栽培に使うという循環型農業に取り組んでいる。
鳥海山の裾野に広がる自然豊かな庄内地区。
20〜40年前に降った雨が大自然の濾過装置で豊かな湧水となって生産地を潤す地域で、「自然の恩恵を肌で実感しているからこそ、循環型農業に邁進しているんだ」という言葉がとても印象的だった。

消費者と直接繋がり、その想いを汲みながら日々お米を作る生産者さん。農薬を減らせる限り減らしたいという気持ちは人一倍だと思う。

1成分の重み

1つでも使用する農薬成分を減らせないか。
日々農地での実験や試行錯誤をしているが、消費者との約束に応えてお米を届ける為、収量を大幅に落とすことは本末転倒。

カメムシに吸われてしまった斑点米は売り物にならない。
また、年に3回(!)も繁殖するというイナゴの食害で一帯がやられてしまうこともあるそう。
待っている人に届けられなければ、なんの為の努力なのか。
カメムシ、イナゴの対策にはどうしても農薬を使わずにはいられない。
農薬1成分でカメムシもイナゴも簡単に消えていく。

せめて使用量を減らしてみようと取り組んだ結果、害虫が耐性を持ってしまい長期的にもっとたくさんの薬が必要になったりと、理想と現実は一筋縄では行かない。

温湯消毒の話も初めて詳しく知った。
種子を薬で消毒してしまえば簡単に病気を防ぐことができるが、温湯消毒を採用することで、手間はかかるが1つ成分を減らすことにつながる。
そんな手間と労力と引き換えに、使えば楽になる農薬を1つずつ引き算している。

9成分はせめぎあった結果。これがギリギリだという。
1成分、使わないことの重み、使うことの重みがここにある。

産地の課題

マイクロプラスチック肥料の問題が話題になっている。
環境にも、人体への影響にも、恐ろしいことだ。
けれど、農業従事者が高齢化し減少している今、それを使わないことがどんなに負担のあることなのか。

「作る人たち」の苦労が縁遠くなり、理想論を掲げた情報だけが入ってくる現代。
「毎日食べるお米だから、無農薬がいいな。環境にも配慮したものがいい」
そんなふうに簡単にいうけれど。

それがどんなに大変なことなのか。
その現状を知った上で、現状がどうであれ、理想を掲げて日々努力し手を動かし続けてくれている人に感謝をし、応援したい。
もちろん、少しでも未来に嬉しい食品を食べられる未来を作りたい。

食べて応援する。それが私に唯一できることだから。

知って選べば、どれも正解!
今日も楽しい食選びを!

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