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エッセイ⑤ 私の貧しい読書環境。青空文庫で片岡義男の作品が無料で読めることを知った。それから最近考える、小説の「地味な設定」。

☆写真は昨日私のバルコニーから見えたカナディアンロッキー

カルガリーには日本語の本を売っている本屋がないし、あったとしても金がないから買えない。ネットでも金のかかる小説は読めない。

だから最近「試し読み」というのにハマっている。作家名や本のタイトルを入れて、「試し読み」で検索する。大抵最初の10ページくらいを読むことができる。そのくらい読むと、作品の雰囲気や文体なんかがつかめる。十分読書した気分になる。ショートショート集だったら、一つの作品丸ごと読めることもある。私の場合、試し読みをしてから、本を買ってその先を読んでみたくなる、ということはあまりない。それは自分が書く側であるため、他の人の作品にそこまで関心がないからだと思う。

最近、「青空文庫」でまだ著作権の切れていない作品も、無料で最後まで読める、ということを知った。片岡義男の作品をいくつか読んだ。彼がなぜ無料で公開したのか、考えてみた。公開されているのは、代表作ではなく、多分そんなに売れなくて絶版になっている作品だと思う。古本屋の片隅に埋もれているよりも、ネットで公開して多くの人に読んでもらいたかったんじゃないか? だったらそれは相当賢い。私は読んだことのない彼の他の作品も読んでみたくなった。いい宣伝効果だ。

話しは変わるが、最近noteなどのネット小説を読んでいて、世の中の小説に、設定が地味な作品が多いということに気付いた。よくあるのが、過疎化された地方に住む年寄りの話、だったりとか、社会の底辺で地味に働いて、無意味な日々を送ってる人の話だったり、なんだか例を上げるのも憂鬱になるくらいの地味な設定の作品が目に付く。どうしてそこまで地味なことを書きたいのか分からない。私の小説は設定はやたらに派手だと思う。

しかし、そういう超地味な小説の中に、時々素晴らしい作品がある。どう説明していいのか難しいが、途中で読むのが止まらなくなるような作品だ。あれはなんなんだろうか? 人生の真実? みたいなものがあるんだと思う。

最近、メンタルの調子が悪くて、地味な設定の重たい純文学は読みたくないが、noteなどに発表されている、多分プロ一歩手前くらいの作家にいい作品がある。もちろん欠点もあるけど、それが気にならないほど読ませる小説がある。それはとても書くのに参考になる。プロの作品だと設定の地味さがもっと重い。説明は難しい。それはプロが分かっててやってる地味さがわざとらしいんだと思う。

私の小説はいつも東京で、アートとかファッションの世界とか、派手なメンタル疾患の話とか派手な実存の問題だったりが出て来る。東京以外の設定が考えられない。でも実は私が育ったのは、北陸の超ど田舎だ。そういう土地の話も書けなくはない。一度やってみようかな? でもそれをやると、もっと鬱が酷くなりそうな気がする。でもその作品に真実がこもれば成功ではないか、とも思う。問題はストーリーの舞台や設定ではない。よく考えてみよう。


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千本松由季 Official Blog

小説書き。生きづらかった日本を脱出して単身カナダへ。恵まれた自然の中でプロを目指して執筆中! 書いた作品は70作以上。短編はマガジンにまとめました。長編はこちらから⇒ https://ehappy888175296.wordpress.com/

エッセイ 2019年8月より

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コメント5件

こみこ みこ様。コメントありがとうございます! 文学に未来を感じたいというのは同感します。設定がど暗くてもいい作品はあるのですが、そういうのを読みたくない時もありますよね。
良い1日をお過ごしください(^^)
私は派手で華やかな設定は苦手です。
けれども、最近読んだ芸能界を舞台にした漫画だと、ドラマ撮影の準備中や芸能事務所と稽古場と打ち合わせ、会議の様子、芸能人だけではなく、テレビマンやスタッフ、マネジメント関係者やその家族までといった、堅実なところや生活感があるところを書いていて、読んでて楽しかったです。
多分、華やかなとこだけ切り貼りしたようなのだと、私の場合、白々しくなるんだなと思います。
また、地味な設定の場合だと「作者の視点まで地味」だと面白くないなと思います。地味な生活のシーンを描写したあとに「俺の生活は地味としか言いようがない」と一人称の語りが入るようなのです。
木勢様、コメントありがとうございます! 読んでてくらーくなるほど地味な設定でも、光るもののある小説もありますよね。そういうのを私も書いてみたいです。
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