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エッセイ カルガリーで双極性障害57 来週カルガリーで草間彌生のフィルム上映会が。双極性障害と芸術的才能とは?

☆写真はグレンボウミュージアムのサイトより。来月はアレキサンダー・マックイーン。

まだオーバードースが止まらない。昨日セラピストに会った。そしたら「君の仕事は書くことじゃない、まず身体を治すこと、小説を書くのは二番目の仕事だ。」と言われた。そういう風に考えたことはなかったので、凄く新鮮な気分。どうしても小説家にならないといけない、と思い込んでいた。

私はカナダに移民して来てから双極性障害と診断されたので、余り苦労を知らない。カナダでは子供達は幼い頃から、精神障害は脳のケミカルの問題で、遺伝性も強く、そういう患者を差別してはいけないと学校で習う。世間の人々も、双極性障害はたかだが百人に一人の、珍しくもない、しかも今では良く効く薬がたくさんある、そんな病気だと知っている。

カルガリーにはOBADというNPOピアサポートグループがあって、色々世話を焼いてくれる。いつかカルガリー大学が、ケイ・ジャミソンという「双極性障害と芸術家」について研究している学者を招聘したので、みんなで行ってみたことがある。私は彼女に直接質問するという貴重な体験をした。

来週、統合失調症だと言われている Yayoi Kusama(草間彌生)のフィルム上映会が、ダウンタウンの博物館であるので、OBADでチケットを買ってもらってみんなで見に行くことになっている。

ここで問題なのは、別に双極性障害だからといって、チャイコフスキーになれるわけでもなく、ジャクソン・ポロックになれるわけでもなく、マライア・キャリーになれるわけでもないという当たり前のこと。双極性障害と芸術的才能に全く関係がないとする学者も多い。っていうか、全然関係ないし、双極性障害なんてなんの才能もないろくでなしの馬鹿ばっかりだ、という学者の方がずっと多い。統合失調症もしかり。

私見を述べると、双極性障害と芸術的才能の関係が、興味深いのは確かだ。私はここんこと色んな怪しい薬を混ぜ合わせて、昏睡すること四日間、起きること二日間、その後また一日寝続けた。精神科医に「君はラピッドサイクラー(躁とうつが急速に交代する症状)だから」と言われて新しい薬が出て、自分ではラピッドサイクラーだとは信じてなくて、そしたら皮肉なことに初めてラピッドサイクラーを体験した。

十分おきに気分が変わる。十分間布団を被って、私は死ななくてはならない、と震え、いきなり、やっぱり例のラインの新しい文学賞を取るのは自分だ、と興奮し、また十分後に死を考える。今週は本当によく自殺したヘミングウェイの孫で女優だった彼女のことを考えた。私はそれを英語で短い小説にした。ある人の自殺にここまで拘泥して、またマスコミの大注目する新しい文学賞を取れると100%信じ、また、ヤバい薬を飲んで壁に激突する。そういうことができるのを才能と呼ぶなら、偉い才能だし、馬鹿と呼ぶなら、とんでもない馬鹿だ。

英語のサイト ケイ・ジェミソン『Touched with Fire (1993)』
双極性障害と芸術家の家系について研究した本。新しい本ではないが興味深いから、誰か翻訳してくれるといいな。




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千本松由季 Official Blog

小説書き。生きづらかった日本を脱出して単身カナダへ。恵まれた自然の中でプロを目指して執筆中! 書いた作品は70作以上。短編はマガジンにまとめました。長編はこちらから⇒ https://ehappy888175296.wordpress.com/

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